愛犬があまり食べなくて、体重が増えない…とお悩みの方や、獣医師からもう少し体重を増やした方が良い…と言われたけど、「食べないのにどうやって体重を増やせと?」と言いたくなったという飼い主さんは少なくありません。
犬の体重管理というと、減量(=ダイエット)のご要望が圧倒的に多いのですが、まったく逆の、少食・好き嫌いが多いなどの理由から、理想体重に足りなくて困っている…体重をもう少し増やさせたいけど、どうすれば…というご相談もいただきます。
痩せ方なのに食べないし…心配…
だからって、おやつや愛犬が喜んで食べるものばかり与えていると、偏食犬にさせてしまうので良策ではありません。今回は、健康的に体重を増やす方法や、瘦せ過ぎている愛犬を少し太らせたい時のドッグフードの選び方などをご紹介します。
なお、いろいろ書いてありますが、犬の個体差もありますし、愛犬の体質に合うものを教えてほしい・相談したいという方は、お気軽にお問い合わせくださいね!
- 愛犬の体型が痩せ型かどうかを見極める目安「BCS」ってなに?
- 痩せている犬に起こりがちなトラブルや心配ごと・デメリットとは?
- はじめに!愛犬の体重が足りていない原因を考えてみましょう!
- 愛犬にもう少し体重を増やさせたい!太らせたい!どう対処する?
- トッピング(おやつ・茹でた野菜や肉・ウェットフード)は慎重に!
- 愛犬の体質や体調・年齢・生活スタイルを意識した食生活を♪
愛犬の体型が痩せ型かどうかを見極める目安「BCS」ってなに?
愛犬の体型、今の状態で大丈夫なのだろうか?と、心配になることはありませんか?そんな時は、犬の体型が痩せ型なのか、標準なのか肥満気味なのかを確認する、「BCS(Body Condition Score)・ボディーコンディションスコア」を参考にしてみてください。
BCSでは、
- 見た目(上から見た体型と横からみた体型)
- 手で触った時の肉付き
から、5段階(もしくは9段階)で判定します。
5段階の方が見慣れている人が多いでしょうが、もう少し細分化している9段階の方が、目安として確認しやすいとは思います。以下、引用しますので、気になる方はご参照ください。
引用元:博多犬猫医療センター
愛犬の体を一度チェックしてみてね!
チェックするポイントは、
- 上から見たウエスト周りのくびれ方
- 横から見た腹部から後ろ足にかけての引き締まり具合、吊り上がり具合
- 胴囲・腹囲を触った時の手で感じる骨の感覚やお肉の量
などです。
あまりにウエストが締まっていたら痩せている、手で触った時に肉・脂肪が多くて骨がわかりづらかったら肥満気味など、ある程度の目安が判断できます。ただし、理想体重は犬種や骨格、運動量によって異なりますので、この結果だけで判断しなくて構いません。
同じ犬種でも、そもそもの骨格や運動量で必要カロリー・筋肉量も異なります。スリムな犬種もがっちりした犬種もいますので、絶対的にBCSが正解というわけではありません。特殊な犬種の場合は、獣医さんに適性体重・理想体型を聞いておくとよいでしょう。
とはいえ、獣医さんによって考え方はピンキリです
ただし、獣医さんによっては、少し太ってる方が良いという医師も、体重に厳しい医師もいるということは頭に入れておいた方がいいかもしれません。
もちろん特殊な犬種でなくても、獣医から理想体型のアドバイスは聞くことはできますし、避妊・去勢手術時に、執刀医から皮下脂肪量について説明させるケースもあります。(我が愛犬も術後に皮下脂肪の説明がありました)
いずれにせよ、犬の図鑑やインターネットサイトにあるような、その犬種の標準体重・標準体格の情報を参考にするのではなく、その子の持って生まれた性質や日々の運動量によって、ベストな体型は違うということは意識しておきましょう。
痩せている犬に起こりがちなトラブルや心配ごと・デメリットとは?
痩せていることが原因で、健康上の意味でも不利になること・命に係わること・注意しなければならないことがいくつかあります。食べてくれないとお悩みの方には、大変酷なお話ですが…。
先にどういったデメリット・心配があるのかまとめてみますと、以下のようなことが挙げられます。
なんとも心配になる内容ばかりですね…。
あくまでこれらは代表的な内容ですが、ここから派生して骨折しやすくなったり、お腹を壊しやすくなったりと、さまざまな不調が出てしまう危険もあります。
それぞれ詳しく確認してみましょう。
不調からの回復力の遅さ…免疫力の低下は病弱になる危険がある
万一なにかあったとき、回復力の遅さ・免疫力の低下の心配があります。
そもそも痩せていると、免疫機能も弱ってしまい、感染症にかかりやすくなってしまったり、ちょっとした不調ですら回復が遅くなってしまたりする危険性があるのです。
痩せているということで、ただでさえ不調に陥りやすく、長引きやすい体調になっているため、長期的な治療が必要になった時に、体力がもたず耐えられなくなってしまうケースも…。
肝機能が低下して、体内に毒素が溜まりやすくなる
第二に、肝機能が弱くなることも心配です。
痩せている=栄養が不十分ということですから、臓器の機能も低下してしまいます。特に、肝臓のような毒素を分解する機能を持つ臓器が正しく機能しなくなると、体に毒素が溜まりやすくなってしまい、やはり健康を損なう結果に繋がりかねません。
発育・骨格形成上のトラブルが起こると生涯のリスクに繋がる
第三には、まだパピーや成犬でも若年層に該当する子や、妊娠中の犬の場合には、発育の障害が出てきてしまう可能性も否めません。
成長過程にある犬は、そもそも未発達な機能・骨もある時期です。そんな1番機能が発達する時に栄養が十分取れていないのですから、栄養が足りず発育が遅れてしまいます。
妊娠中の犬は母体・胎児の双方に影響が出てしまう可能性がありますし、出産という大仕事に耐えられない危険も否めません。
ビタミンやミネラルなど不足すると大変なことに…
また、若年層ではない場合(シニア犬を含む)であっても、栄養が足りていないことから、コラーゲン生成がうまくできず、脱臼などの関節の不調や、もろい骨になって何度も骨折する、動く元気もなくなってしまう・動きたがらなくなる症状が出てしまう可能性もあります。
特に、犬種によってはもともと関節が弱い子(パテラになりやすい超小型犬や大型犬)もいますので、そういった犬種を飼われている場合は、一層注意してあげなければなりません。
丈夫な骨があってこそ、元気に遊べるのですから、関節に負担がかからないよう、筋肉と丈夫な骨を形成していけるようにしていきたいところですね。
低血糖による衰弱・虚弱が原因で、一層元気がなくなってしまう
最後に、栄養が足りていない状態になることで起きる低血糖も心配です。
低血糖はその名のとおり、血液の糖が足りなくなっている状態のことを言いますが、これにより、
など、どんどん元気を奪う状態になってしまいます。
糖質は犬の3大栄養素のひとつでもあり、エネルギー供給源になる栄養素です。そんな重要な栄養素が欠乏するわけですから、命に係わるといっても過言ではないのです。
さらに、低血糖によって動こうとしないことから、床ずれなど別の病気や症状が出る可能性もあります。
痩せているというだけでもこれだけの心配な要素があるのですね…。愛犬が健康的に歳を重ねられるよう、理想体型を保ってあげるのは飼い主さんが管理すべき範囲ではないでしょうか。
はじめに!愛犬の体重が足りていない原因を考えてみましょう!
瘦せているということは、簡単にいうと、代謝と摂取するカロリーのバランスがあっていないということです。ただ、そのような状態になるにはたくさんの原因が考えられます。
たとえば…
など、本当に多岐にわたる理由があり、それぞれ異なる原因から、食べない・食べても栄養が吸収できていない、栄養が足りていないなどの状況が起きてしまうのです。
原因は愛犬の状態や飼い方によって違います
フードの好き嫌いが激しい子や、おやつは食べるのにフードをあんまり食べないような子もいます。それは、おやつの与え過ぎも考えられますし、フードが魅力的なものでない場合もありますし、その子その子の違う原因が考えられるのですよね。
どのような経緯でそうなってしまっているのか、本能的に(先天的に)持ち合わせている素質から食べないのか、後天的なトラブルや不調・飼い主さんの間違った食事の与え方が原因で食べない(グルメ犬に仕立て上げてしまった)のか…。
愛犬の体にトラブルが起きていないか?など、痩せている・食べてくれない原因がどこにあるのか、最初にしっかり見極めるようにしてあげたいところです。(その原因によって、対処法は違ってくるため)
食べても食べても痩せている…病気が疑われる場合はただちに動物病院へ!
運動量と食べている量に、さほど問題もないにもかかわらず、食べても痩せていっている場合には、糖尿病であったり、消化器官の病気があったり、寄生虫の影響なども考えられます。
運動量と摂取カロリーが見合っていないがゆえに痩せてしまっていることも考えられますが、ドッグフードのパッケージに記載されている給餌量(もしくはそれ以上)を与えているのに痩せていく…という場合には、フードを替えたり与え方工夫したりしても、改善することはありません。
いさぎよく、動物病院の獣医にご相談くださいね。
愛犬にもう少し体重を増やさせたい!太らせたい!どう対処する?
太り過ぎもよくないのですが、痩せている・体重が足りないというのも困りものです。か弱い子になって、病気や不調を繰り返すのも飼い主さんとしては心配でしょうし、痩せ型だからそこのリスクもありますしね…。
などの場合、どうすればいいのでしょうか?
もう少し体重を増やさないといけない子・太らせたい子のために、飼い主さんができることをご紹介します。
愛犬が1日に必要なカロリーを把握・管理しておくことが重要!
ドッグフードのパッケージに記載してある給餌量は、あくまで「目安」に過ぎません。
フードのパッケージに、「○kgの子は1日△グラム与える」という表記がありますが、余白に「運動量や虚勢・避妊手術をしているかどうか、年齢などによって必要な量は異なります」というような文言が書いてあると思います。
避妊・去勢をしている子か否か、ドッグランなどでよく走っている子もいれば、散歩の量が多い子、あまり運動をできない子、室内犬として大人しく過ごしている子もいるので、給餌量に個体差が出るのは当然のことです。
年齢によって運動量・代謝量は違うでしょうし
年齢と共に運動量は落ちてくるものですし、基礎代謝は月齢とともに落ちてくるものです。天候が悪くいつもより運動ができない日もあるでしょう。おやつを与えないご家庭もあれば、おやつを与える量が比較的多いご家庭もありますよね。
このように、ご家庭によって犬の飼い方は異なり、自分の犬の飼い方がパッケージに記載してある給餌量の目安に合うかどうかはわかりません。特におやつを与える量って、喜んで食べるからとついつい与える量がエスカレートしてしまうこともありますし…。
他のわんちゃんの飼い主さんと話すことはあっても、そんなに毎日その子の生活を見ているわけではないので、どんな生活(運動量やどういったごはんをどのくらい食べているのかなど)がスタンダードなのかなんて比較もできませんし。
自分のとっての当たり前が他の人と同じではないですもんね…
そういった前提で、とりあえず、給餌量の目安を参考にしつつ与えているうちに、
という風に、なんとなく傾向がわかってくることもあるでしょうが、できれば…なんとなくではなく、愛犬の理想体重・生活スタイルに合わせた1日に必要なカロリー量を飼い主さんには把握しておいてほしいな…というのが本音です。
なぜなら、必要カロリーを把握していないと正しい体重管理ができなくなってしまうから。以前もサイトで書いたのですが、私も昔、パッケージに記載してある給餌量をあてにし過ぎていたせいで、愛犬が食べても食べても痩せ気味が改善されていないことがありました…。
必要カロリーをわかっていなかったからです…
カロリーの計算方法を覚えてから当時の食事量を確認してみたら、まったくカロリーが足りていなくて、そりゃ太らないよね…という状態だったことがわかり。。必要なカロリーをわかっていなかったがために起きたことであり、フードを増やす必要があったパターンです。
他社のサイトで、「愛犬の体重を増やしたいならフードの量を増やしてみる」なんて記載があったのですが、それはあくまで食べる量が足りていなかった子のみに通用する対策ですので、もともと食べない子には無理に量を食べさせようとしないでくださいね。
インターネットサイトでも、必要カロリー数の算方法は紹介されています。が、当サイトでも必要カロリー数の計算などもした上での、フードアドバイスが可能です。以下のお問い合わせフォームよりご相談頂けましたら、計算してご案内しますので、お気軽にお問い合わせくださいね♪
カロリーが高めのドッグフードを与える!ただし成犬にパピー用は…
食べるには食べるけど、本当に小食であまり量を食べてくれない…その結果痩せてしまっているような場合には、少量食べるだけでも多めにカロリーを取ることができる、カロリーが高めなドッグフードを与えてみましょう。
そもそも日本で売られているドッグフードの平均カロリーは、大体330kcal~375kcal程度がスタンダードです。
個人的にも375kcal以上のフードを見ると、「高カロリーなフードだな」と思います。そのため、そういった高カロリーなフードをご相談いただいた方に提案する場合は、かなり気をつけてご紹介しているくらいです。つまり…扱いに注意が必要ということ。
高カロリーなフードは食べる子を選びます
たとえば、以前食べていたフードと、今回食べさせるフードの100gあたりのカロリー数にかなりの差があったとしたら、これまでと同量のフードで良いはずがありません。具体例として、
- 5kgの成犬
- 適度に運動している
- 避妊・去勢手術を終えている
という条件で、1日に与える量(1日に必要なカロリー)にどれだけの開きがあるのかを計算してみますと…(A社のフードもB社のフードも実際に販売されている実在するものです。ちなみにA社は一般的にもかなりの高カロリーフードです)
A社のフード | B社のフード | |
フードのカロリー | 440kcal/100g | 346kcal/100g |
1日に与える量 | 85.12g | 108.25g |
上記のとおり、20g以上の差が出ることがわかります。犬にとっては20gの誤差はかなりのストレスになる可能性も…。
量を食べたがる子にとっては20g分の空腹はキツイ!
今回は意図的にかなりな高カロリーなフードと比較しましたが、400kcal前後(380kcal以上)のフードって結構あるんですよね。
ですので、太りやすい子や量を食べたがる子の場合、こういった高カロリーフードはおすすめできないのですが、逆にいえば、量をあまり食べられない子・体重を増やしたい子にとっては高カロリーフードは最適ということになります。
このように、フードそのもののカロリーを考慮した上で選ぶというのも良策です。先ほど触れましたが、少食な子に無理やり量を食べさせようとするのは厳禁ですので注意してください。内臓に負担がかかるだけです。食べないなりに効率よく栄養を摂取させることを優先しましょう。
量を増やすのはカロリーが足りてない時の対策なだけ!
ただし、パピー用として販売されている、高カロリー・高栄養価のフードを成犬に与えるのはあまりおすすめしません。
というのも、パピー期は一番成長する時期だからこそ、「これからの発育に必要な栄養素」「成長スピードに合わせるために高カロリーフード」になっているわけであって、成犬のために作られたフードではないからです。
脂質も高めになっているものが多いので、仮に成犬にパピー用のフードを与えて体重が増えたとしても、筋肉量が増えて体重が増えるということではなく、皮下脂肪がたくさんついて、不健康な体重の増え方をしてしまうだけになってしまいます。
健康的な体重の増え方ではないということ
著しく痩せてしまっている、瘦せている期間が長すぎて衰弱してしまっている、体内の脂肪が足りていな過ぎるなどの状態であれば、一時的にパピー用のフードを与えて、効率よく脂肪をつけさせるという意味では、即効性もあるでしょうが。
パピー期に必要な栄養価・成分と成犬に必要な栄養は異なりますので、高カロリーフードだからという理由だけで、パピー用のドッグフードを与えてしまなわいように注意してください。
主原料がフレッシュミート(生肉・生魚)のドッグフードを選ぶ
当サイトでも何度かご紹介していることですが、フードの主原料がフレッシュミート(生肉・生魚)でできているフードを与えるようにしましょう。牛肉にアレルギーがないのであれば、高カロリー・高たんぱくで他のお肉よりも効率よく栄養が摂取できますよ。
食べてもあまり体重が増えない、あるいはあまりフードを食べようとしないなどの場合、主原料(フードに一番多く使用されている食材)がミールやパウダー、乾燥○○肉といった「肉を加工してできたもの」であったり、小麦やイモ、コーンなどが主原料になっていないでしょうか?
犬が本来食べていたもの(食べるべきもの)がそんなに使用されていないフードとなると、そりゃ犬も喜んで食べようとすることはないでしょう…。
だって美味しい香りがしないんだもん!
主原料がフレッシュミートではないとよくない理由は、食いつきだけではありません。
フレッシュミートをそんなに食べていないということは、つまり良質なたんぱく質が摂取できていない状況になっているわけですから、体内で栄養が吸収されにくい状態になっています。そんなに栄養を吸収できることもなく、ただただお腹を満たしているだけの状態になるのですもの…。
しかっりと、質のいい・栄養バランスの良いたんぱく質を摂取して、健康的に筋肉量を増やすためには、フレッシュミートのドッグフードであることは、フードの金額(予算)にもよりますが、個人的には欠かせない条件として考えています。
ドッグフードの成分の「繊維量」「灰分」が多すぎるフードは避ける
繊維はお通じをよくするために欠かせない成分であり、胃腸に毒素をため込まないためには必ず一定量、食べ物から取る必要がある成分ではありますが、繊維量が多いフードは痩せ型のわんちゃんにはおすすめできません。
そもそも、繊維とは体内に吸収されることのない、胃腸のお掃除隊のような成分です。
消化した食べ物を体外に排出する役割があるわけですが、繊維が多すぎると、満腹感は出て、繊維からなんの栄養も体内に入ることはないものの、消化だけが活発化して、栄養の吸収に至る前に便として排出しようとする作用が生まれます。
お腹いっぱいになった気がするだけ…
もちろん、便の量も増えます。お腹を満たして、すっきり出すという作用があるので体重管理(ダイエット)用のフードとして販売されているフードは、繊維が比較的多い傾向がありますが、繊維が多すぎると胃腸に負担がかかるので、あまりおすすめしません。
ダイエットフードの選び方についても別途書いていこうと思いますが、繊維が多すぎると栄養を吸収する前に消化が優先になってしまうことがあるので注意してください。
念のため以前の記事でもご紹介しているのですが、AAFCOの栄養の基準は以下のとおりですので参考にしてくださいね。
水準がわかっているとフード選びに役に立ちます
AAFCO推奨・成犬 | AAFCO推奨・パピー | |
タンパク質 | 18.0%以上 | 22.5%以上 |
脂質 | 5.5%以上 | 8.5%以上 |
粗繊維 | MAX4% | MAX4% |
灰分* | 設定無 | 設定無 |
水分 | 10%以下 | 10%以下 |
また、灰分(ミネラル)も繊維などを含み、消化に関係する成分も多いのですが、灰分が多すぎるとお腹を壊してしまう子もいます。AAFCOには灰分全体の理想値はありませんが(細かい成分の割合、比率などはあります)、10%以上になっていると高いと考えておいてよいでしょう。
灰分のバランスが悪いがゆえに、消化がうまくいっておらずわ栄養がしっかり取れていないことも考えられます。胃腸の負担になり消化吸収が安定していないこともあるので、成分表示を与える前に確認してから、フードを選らぶようにしてください。
低GI食品を使ったフードではなく高GI食品を使ったフードを!
「低GI」って聞いたことがあるでしょうか?
簡単にいうと、低GIとは糖化しにくいもののことを言います。要は、体内で糖に変わりにくいということなので、太りにくいということです。
太りたい子にとっては低GI食品をたくさん食べていても、そんなに効率よく体重を増やせない食品ということになります。(ここでGIとはなんぞ…ということを書いてしまうと、とんでもない文章量になってしまうので、細かい内容は以下参考リンクでご確認ください。)
太りにくい低GIを売りにしたフードもあるもんね
逆に考えると、高GI食品は、少したべるだけでも体重を増やしやすくなる食材ということです。GI値が高い食品で、犬が食べて良いもので挙げてみますと、
などがあります。原材料を確認して、こういったGI値の高めの食品が多く使用されているフードを、食べるようになるだけでもデブエットには有効ですので、試してみる価値はあると思いますよ♪
高栄養価の「ヤギミルク」や「トライプ」をプラスして与える
ヤギミルクやトライプをフードにプラスして与えるのもひとつです。
まず、ヤギミルクについてご紹介しますが、ヤギミルクのフレッシュタイプ(液体で販売されているもの)は高価な上に保管も難しいので、粉タイプのヤギミルクでかまいません。(※ヤギミルクを摂取しただけでカロリーが劇的に増えるわけではありません)
ただし、粉・パウダータイプのヤギミルクの場合、水で溶けにくいものもあるので、飲ませて与えたい方は溶けやすさにも注意しましょう。水分もたくさんとらせたいなど、飲む目的でヤギミルクを与えようとお考えであれば、溶けやすさは重要ですもんね。
水で薄めて飲む・トッピングで食べるという使い道がある!
フードにふりかけるだけでも良いので、トッピングアイテムとして使いたい場合は、溶けやすさは気にする必要はありません。
しかし、ヤギミルクを与える時に注意してほしいことがあります。いくら「ヤギミルクは犬に良い」と言われていていたとしても、どんな犬にも良いというわけではありません。具体的な注意点を挙げてみますと、
などがあります。
よかれと思ったことが裏目に出ることもあります!
ヤギミルクは、カルシウムやカリウムが多いこともあり、与えすぎると尿結石になることがありますし、もとから腎臓・肝臓などの内臓に不調がある子にとっては、ヤギミルクの成分である、リンやカリウムなどがさらなる不調につながってしまう危険も…。
それと、犬を飼っている方と話していて、たまに耳にするお話なのですが、ヤギミルクは高くて継続して与えるのは無理!と、市販の人間用の牛乳でもいいや…同じミルクなんだから大丈夫と考え、牛乳を与えているという方がいらっしゃいます。
確かに牛乳が大丈夫な子もいるにはいますが、犬の健康を思うと率先して与えないでも良い・牛乳を与えるくらいなら、むしろ与えない方がいいというのが個人的な意見です。
牛乳とヤギミルクはまったく成分が異なります
そもそも、乳製品にアレルギーが出てしまう子もたくさんいます。
また、ヤギミルクが良いと言われる理由は、
などがあり、ミルクであればなんでもいいといい話ではありません…。
よく、インターネットサイト(当サイト以外)でも、牛乳でお腹を壊してしまう子がいるということが警告されていると思いますが、成分が体に合わず、消化がうまくできないことからお腹を壊してしまうことってあるんですよね。
チーズや脱脂粉乳などの乳製品が合わない子もいるしね…
ただし、いくらヤギミルクは牛乳よりアレルギーリスクは低いとはいえ、ヤギミルクでもアレルギーが出てしまう子はいます。
そもそもたくさん与えれば良いというものではありませんし、初めてヤギミルクを与える場合や、まだ慣れていないうちは少量ずつ、愛犬にアレルギーの諸症状が出ていないか様子を見ながら与えるようにしましょう。
なお、太ることが目的でヤギミルクを与える場合には、低脂肪や脂質を抜いた脱脂タイプなどを意図的に選ぶ必要はありません。良質なヤギミルクのよさを最大限に活かしたものを選んであげるようにしましょう。
犬の管理栄養士いち押しのトッピングアイテムはトライプ配合タイプ!
続いてトライプについて。個人的にお気に入りのウェットフードとしてもご紹介したことがあるのですが、高栄養価なフードととして「トライプ」を使用したものを与えてみるのもアリ!!
安心して与えやすいものだと、K9 NaturalやZIWI Peak(ジウィピーク)などがおすすめです♪
おやつやトッピングアイテムとしての使用のみならず、ちゃんとした総合栄養食として与えることができるので、栄養のバランスをキープすることもできますよ。犬の非常食にも大変使いやすいと思うので、ちょっと高いのですが、使ってみる価値はありです!
たくさん食べられない子の場合は、フードの回数や量・与え方に工夫を!
これはどんな子にも適した対処法というわけではないのですが、少ししか食べてくれない・量を食べようとしない場合には、フードを与える回数や量を調整して与えてみるのもあり!
たとえば、1日に100gを食べないといけない子で、1回50gを1日2回給餌していたとします。でも毎回食べずに残しているのであれば、この際、25gを4回与えるサイクルに替えてみましょう。もちろん、30g、30g、40gの3回などでも構いません。
消化がうまくいっていないことが理由で、お腹が空かず食べないこともあり、一気に50gは食べられないから残しているだけなのかもしれません。サイクルを少し替えてみるだけでも食べ方が変わる可能性もあります。
消化スピードやサイクルも個体差があるんですね
実際に、お腹を壊しがちだった子が、1回の量を減らし、回数を増やしたことで安定するようになった子もいますし、試す価値はあるのではないでしょうか?
おやつは食べるのにフードを食べてくれなくて、体重が増えないようであれば、おやつ代わりにフードを使って、遊びながらひと粒ずつでも良いので食べさせてみるのもいいと思います。
たとえば、
- 知育玩具にフードを入れて遊ばせてみる
- フードをお部屋に隠して、見つけさせる遊びをする(宝探しごっこをさせてみる)
- コミュニケーションをしながらご褒美にフードの粒を与える(食べた時に褒める)
などの工夫をしてみてはいかがでしょう?
フードを食べることを遊びの一環・楽しいもの、いいことがあるものという印象を与えていきます。褒める時、遊ぶ時に上手にフードを使って、楽しく食べるように工夫してみましょう。
食いつきが良くなる工夫がほどこされたフードを与えてみましょう!
フードの製法や原材料によって食いつきが変わることはよくある話です。以前書いた「知ってて損はない!ドッグフード用語や基礎知識」にもご紹介していますが、以下引用しますと
ドッグフードの製法もたくさんあります。一般的なフードは大体、高温製法ですが、他にも、低温製法、フリーズドライなどもあり、それぞれ特徴(メリット・デメリット)があるものです。
とあるように、高温製法・低温製法・フリーズドライとある中で、嗜好性がいいのは低温製法やフリーズドライといえます。
フードの香りが立ちやすいんだ!
なので、量をあまり食べようとしない子でも、あまりの香りの良さに思わず食べてしまうのとがあるんですね!
先ほどご紹介した、K9 Naturalもフリーズドライなので、かなり食いつきはアップすると思います。カロリーも少量食べるだけで取れるので、食べなくて困っている・少量しか食べないけど体重を増やしたいという方にはうってつけのフードではないでしょうか?
なお、低温製法のフード以外にも、独自の方法で香りを残す製法をしているアーテミス(ARTEMIS)は我が家の愛犬もめちゃくちゃ喜んで食べていますよ♪製法ひとつで食いつきって変わるものです。
歯や歯茎の不調から食べないようであれば粒のサイズを変える
歯が気持ち悪い・痛い、歯茎の歯周病から噛む力が落ちている・噛まないなどの理由があって食べられない子の場合には、
などもありです。
フードの粒の形については「知ってて損はない!ドッグフードの正しい選び方・成分や原材料の見方」の記事でも触れていますので、参考にしてみてください。
フードの粒(サイズや形)が嫌で食べない子もいますので、少しサイズや形が違うものに切り替えてみるのも、ひとつの手として試してみる価値はあると思いますよ。
トッピング(おやつ・茹でた野菜や肉・ウェットフード)は慎重に!
嗜好性の高い茹でた野菜やお肉などをトッピングをして、食べる量を増やすようにする・カロリー摂取量を増やすというのも、体重を増やしたい子にとってはあり。…なのですが、注意しなければならないこともあります。
というのも、以前書いた、フードジプシー・フード難民の子に対する対処法の記事でもご紹介しているのですが、もし、体重が増えない原因が、本当に小食・食に興味がないのではなく、単に好き嫌い・わがままをして食べないということだとしたら…。
トッピング作戦をしても、トッピングの美味しいもの(香りが良い嗜好性の高いもの)だけを食べて、他は食べない…ということをしてしまうことになりかねないからです。トッピングを使うことで、その悪い癖を助長してしまいかねません。
あの美味しいやつだけなら食べるよ
食べて欲しいドッグフードの粒は避けて、美味しいところだけ食べる…。そのような状態になっていては、体重が増えることはもちろんありませんし、なんなら栄養もさらに偏って、不健康な状態になってしまいます。
そのため、トッピングアイテムを使って食べる量を増やすというのは、好き嫌いしないで少量であろうがフードは食べる子であれば大変有効な作戦ではある反面、好き嫌いをしてあれは食べる、これは要らない…とも選んでいる子には良策ではありません。
もし、トッピングアイテムを使ってさらにカロリー摂取をさせたいのであれば、否応なしにフードの粒も食べるような工夫をしてあげるようにするか、フードを替えるなどをしてみてはいかがでしょうか。
愛犬の体質や体調・年齢・生活スタイルを意識した食生活を♪
最初の話に戻るようですが、体重が減る、体重が理想体重に足りていない状況になるにはさまざまな原因が考えられます。特に、不調がある時・加齢・運動不足などは、体重に関係してくることですし、その子その子によってコンディションも異なるのは当然のこと。
日々の愛犬のライフスタイルや体質、愛犬の年齢に合わせた食事量・運動量をしっかり確認しながら、適切な対処をしていきたいものですよね。
太り過ぎは良くない反面、痩せ過ぎも生命にかかわることもたくさんありますので、まずはしっかり愛犬の理想体重を把握して、その上で、日々のボディーチェックや1日のカロリー摂取を意識しながら、愛犬に健やかな食生活を送れるようにしてあげましょう!
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