「犬に人の食べ物を与えてはいけない」と、よくいいますよね。
愛犬が嬉しそうに・味しそうに食べる姿を見ていると、こちらも嬉しい気持ちになりますし、人間と同じものを与えて家族の一員と感じる気持ちが強くなったり、一緒の食べ物を与えることを犬への愛情のように感じたりする人もいるかも知れません。
しかし、人間用に味付けをされた食べ物を犬に与えるのは、絶対にやめてください。もし、やっているのであれば、ただちにその習慣はやめましもう。じゃないと、かわいい愛犬が病気になってしまいます。
命にもかかわるので本当にやめて!
脅しではなく、人間用に味付けされたものを食べさせるのは、愛犬の健康を害してしまう行為です。健康を損ねさせ、病気にさせてしまいかねません。
または、人の食べ物を与えるのはよくないことはわかっている場合でも、少しくらいなら大丈夫と油断していないでしょうか?喜ぶ姿が見たいからと、「ちょっとだから良いよね、毎日じゃないし」と、ちょこちょこ与えている方も注意してください。
でも、なぜ、人の食べ物を犬に与えてはいけないのでしょう?そこには健康被害のほかにも、さまざまな理由がありました。今更…なんて思わず、今一度おさらいも兼ねて、なぜ人の食べ物を犬に与えるべきではないのかを考えていきましょう。
栄養価の偏りに注意!肥満や塩分過多から健康を損なってしまう
結論からお伝えしますが、人間用の食べ物を犬に与えていると、
など、命にかかわる病気や不調を愛犬に患わせてしまう可能性が高くなります。ちょっとくらい大丈夫、愛犬が美味しそうに食べてるのが可愛くてつい…と、人間の食べ物を犬に与えているせいで、愛犬の健康寿命が短くなるなんて悲しいですよね…。
そもそも、犬に必要な栄養素と人間に必要な栄養素は異なります。そのため、わざわざトータルバランスの考えられたドッグフード(=総合栄養食)を与えているわけです。
総合栄養食は犬に必要な栄養を計算し、バランスを考えて作られている食べ物なので、病気やアレルギーなどがない場合は、量を守ってこれと水さえ摂取していたら健康的に生きられるようにできています。ほかのものは要りません。
いらないことはしなくていいのです。
それなのに、人間のエゴでおやつを与え過ぎていたり、不要なトッピングをしたり、人が食べるために味付けされた料理を与えたりしてしまうと、いうまでもなく栄養を取りすぎてしまうのです。
人間の舌は味覚を感じる味蕾が、犬の5倍もあるといわれており、味付けをすることで味のバリエーションをたくさん感じることができています。
反面、犬は人間ほど味の違いを感じない生き物ですし、体の大きさも生活も、生体としても人間とは違う生き物ですので、人が食べているものと同じものを食べていたら、そりゃ体も壊すわけです…。
実際の数値を見たら一目瞭然です!
塩分について、以下のように数値化して比較してみました。
人の食べて良い量と、犬が食べて良い量に、どれだけ違いがあるのかおわかりいただけるのではないでしょうか?
小型犬は1日に100㎎のナトリウム量、中型犬は500mg、大型犬は1.5gが適量
(参考:POCHI ザドッグフード)
男性7.5g未満、女性6.5g未満、高血圧の予防・治療のためには6g未満が適量
(参考:三田市健康コラム)
ミリグラムとグラムの差って相当です
よく、犬に塩分はダメと言いますが、犬も多少の塩分は必要なのです。完全にゼロというわけではありません。しかし、それは上記のとおり本当に微量のお話。
こうやってみたら、いかに人間のために味付けをされている食べ物が、犬に必要な栄養を軽くオーバーしてしまっていることがわかりますよね。
美味しそうに食べるから…嬉しそうにしてるから…食べたそうにしてるから…ちょっとくらい…その思い違いで、愛犬の健康を奪ってしまわないよう、飼い主さんは、いくら愛犬がかわいくても、心を鬼にして、人間の食べ物は与えないようにしてください。
犬によくないもの・アレルギーリスクのあるものを摂取させる危険性
いきなり余談ですが、この写真↑フリー素材からダウンロードして、わざと使用していますが、もう、ほんとよくない画像だと思います…。こんなことしてしまっていないでしょうか?心当たりがある方は、ただちにやめてください。
話が戻りますが、以下のような犬が食べてはいけない食べ物ってありますよね。
犬が食べると体を壊してしまう食べ物って、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
人間の食べ物に使用されがちな食べ物もありますので、愛犬に与えようとしている、まさにその人間用の食べ物に使用されている可能性もありますよね?ペーストなどわかりにくい形状にされていることもあるので、「多分大丈夫だろう」という判断で与えるべきではありません。
大丈夫だったとしてもやっぱり塩分が…
また、犬の体質にもよりますが、アレルギーを引き起こしやすい食べ物(アレルゲン)もあります。詳しくはこちらに記載していますが、犬に与えるのは厳禁とまではいわなくても、食べ続けるのは避けたい食べ物があり、言い換えると、率先して与えるべきではない・与える必要はないということです。
特に、アレルギーについては、人間の花粉症と同じく、今は(これまでは)大丈夫だったとしても、突然、キャパオーバーしてしまい、アレルギー症状が出ることもあるため、注意しなければなりません。
本当にどうなるかわからないので、体質によっては食べ続けても大丈夫なこともある可能性もある反面、油断して食べ続けていたら、案の定アレルギーになってしまった…なんてことにもなりかねませんので、気をつけておくに越したことはないと思いますよ。
「人間のものは自分も食べられる」という誤解から生まれる問題行動
「人間が食べるものは、自分(犬)も食べられるんだ!」と学んでしまうと、問題行動に発展してしまうことがあります。
たとえば、
などが代表的ですが、他にも、思うようにならないと拗ねる・噛む・いたずらをするなどもあるでしょうね。一歩間違えれば、小さな子どもが食べているものを食べようとして、ケガをさせてしまう、ほかの人の食べ物までもらおうとする…なんてことも考えらます。
なんでくれないんだよぉ!プンプン
食べたい気持ちが強くなって、NOの指示すら聞けなくなってしまう子もいますし、コマンドを聞けたとしても、「前はくれたのに!」とストレスに感じてしまうこともあるでしょう。食が細い子でもない限り、犬にとって食べたい気持ちを抑えつけられるのは苦しいことです。
愛犬に「人間の食べ物はもらえて当たり前」と学ばせてしまっていたら、厳しい意見ですが、それは飼い主さんの責任ですし、自制すべきことではないでしょうか?飼い主さんがしっかりしつけとしてコントロールしてあげるべきことです。
気持ちはわかりますよ、たしかに食べたそうな顔で愛犬にジーっと見つめられたら、可哀想になってきてしまって…愛しく思えてきて…思わず、
しょうがないなぁ、食べる?
かわいいなぁ、ちょっとだけね!
と…、ついつい与えたくなるでしょうし、与えることが愛情表現と思っている方も中にはいるかもしれません。しかし、これは正しい愛情表現ではありません。愛犬の寿命と健康を奪う、危険なことだということを自覚してください。
そして、本来は与えるべきではないのですから、いつかは与えないようにしなければなりませんし、人の食べ物は食べてはいけないということを、教え直す必要があります。始めからそんな習慣がなければ、犬だってこんな嫌な思いはしなくて良いのにです。
一度食べさせてもらえると覚えたものを、食べさせてもらえないと理解させるのは、犬にとっては非常に酷なトレーニングになります。そんな酷なことを愛犬にさせないよう、元から与えないようにしておくのが、最大の愛情表現ではないでしょうか?
嗜好性の高さに慣れてしまい、フード難民になってしまうことも…
人間の食べものは、犬にとって嗜好性も高く、「興味をそそられるとってもおいしいもの」として映っています。犬の食べ物(ドッグフード)よりも、味付けも香りもしっかりしてるため、食べたいと思うのは当然ですよね。
そんな美味しいものを覚えたわんちゃんは、人間の食べ物より香りが弱い食べ物(=ドッグフード)に興味を持たなくなってしまう可能性があるのです。可能性もなにも、実際にそういう子はたくさんいます。
人間の食べ物ばかり食べていて、一般のドッグフードを食べなくなってしまったら、手作りフードを与えないと食べなくなってしまうかもしれません。しかし、手作りフードには思いがけないデメリットもあるので、注意しなかればなりません。(←気になる方はクリックしてください)
美味しい香りのじゃないと食べないもんね!
先ほども少し触れましたが、人間の味を感じるセンサー(=味蕾)は、犬のそれの5倍もあり、色んな味を感じることができますし、さらに、視覚でも嗅覚でも美味しそうと感じることができていますよね?
反面、ちょっと雑な言い方をすると、犬は味蕾も少ない人間ほど味はわかっていません。一切味をわかっていないわけではないですが、香りで食べているので、人間の食べ物に慣れてしまうと、そのくらいの香りがするものにしか興味を示さなくなってしまうのです。
何与えても食べないから、唯一食べてくれる手作りフードにした(人間の食べ物にした)」なんて人もいるかもしれませんが、それはフードジプシーに拍車をかけ、食べられるものを激減させる危険行為!かえって、将来的に愛犬を苦しめることになるのでご注意ください。
味付けをしていない野菜やフルーツ・茹でたお肉も気を付けて!
「塩などを味付けをしない、茹でた野菜やお肉だったらいいでしょ?」と、お考えの方も多いのではないでしょうか?
その考え方、半分正解ですが、半分は大間違いですので注意しましょう。
食いつきがよくない時など、ちょっとしたトッピングアイテムとして、あるいは、おやつとして、茹でた野菜やお肉を愛犬に与えるなんて方は多いと思いますし、たしかに変なおやつを与えるよりはよっぽどいいとは思います。
フードに気をつけてるのに、おやつで失敗している方も多いです…
しかし、味付けをしていなかろうが、塩ゆでなどもしていなかろうが、以下のことには絶対に注意してほしいんです。(実際に私も見てきて、それはちょっと…と思った実体験も含みます)
いくら犬が食べても良いとはいえ、愛犬の体重、体型、体質、年齢、運動量などによって、量をコントロールしなければなりません。犬が食べても良いんだってと言いながら、許容以上の量を与えていないでしょうか?
おやつとして与える場合には、1日に必要なカロリーの1割までにするのが理想的とは言われていますが、それはあくまで目安です。
細かいビタミンやミネラルが過多になる危険も…
繰り返しになりますが、ドッグフード(総合栄養食)はそれと水だけで犬に必要な栄養が賄えるようにできています。そのため、おやつを与える前提でつくられているものではありません。(トッピングを前提としたフードもありますが)
逆にいうと、おやつを与えたりトッピングをするのであれば、栄養がオーバーしてしまうということです。わんちゃんがどんなドッグフードを食べているのかにもよりますが、プラスアルファでお肉や野菜から栄養を取ってしまうと、想定以上の栄養を取っているとこになります。
病気や不調、病気ではない未病の状態などに、想定外の栄養を取ってしまって、症状が悪化してしまっているわんちゃんも、残念ながらゼロではありません。体質や愛犬の体調をしっかり見極めたうえで、与えるにしても量はコントロールするようにしましょう。
犬は食べ物を選べない!犬の体は飼い主さんの与える物がすべて!
愛犬が可愛いのであれば、健康に長生きしてもらいたいと思いますよね。かわいいからこそ、飼い主さんが愛犬を甘やかしてしまうのではなく、しっかり健康を管理してあげましょう!
そんな気持ちが出てくるのは、もちろんわかります。愛犬が嬉しそう・美味しそうに食べてる姿を見られると飼い主さんも嬉しいですもんね!
気に入ってくれてて嬉しい!
でも、そういったちょっとずつの積み重ねが原因で、今はなんの不調もないとしても、歳を重ねるごとに、一気に愛犬の体にガタが来てしまうかもしれません。
犬は家族です。でも、人間の赤ちゃんではないので、食事はしっかり犬の生態を考えてあげましょう。
犬の体は人間が与えたものでできています。つまり、犬の食事は飼い主さんの責任です。本当に愛犬が愛しくて大事なら、こういった間違った飼い方をしないようにしましょう!
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