「犬に◯◯は与えちゃいけないんだよ!」「△△って犬に良いんだって!」そんな話を聞いたことはありませんか?そして、それが本当かどうかも調べないで、漠然と「◯◯ってよくないんだ」「△△は良いんだ!」と認識していないでしょうか。
私が知る限りでも、こういう犬友トークはありますし、犬友から言われて「へーそうなんだ」と、なんとなくその言葉通りに認識している飼い主さんは多いと思います。
でも…それって本当にそうなんでしょうか?間違いかもしれませんよね?その聞いた話・読んだクチコミなどは本当に正しいことなのか、判断できますか?

あの人、犬のこと詳しいし、あの人がいうならそうなんだろう!
実際は、都市伝説的に、漠然と◯◯はどうだ!という考えがひとり歩きをしていることもあり、間違えた認識が広まっていることも多いものです。
今回は、犬の食事にまるわることで、飼い主さんが陥りやすい勘違い・間違いをまとめてみました。ご自身も間違えた認識をしていないか、確認してみてください。
ただし、いろいろ書いてありますが、犬の体質には個体差があり、是非が異なるケースもあります。愛犬に合う考え方を教えてほしい・相談したいという方は、お気軽にお問い合わせくださいね!
間違えた犬のごはんの考え方や常識に注意!誤解しがちなこと8選
ドッグフードもぴんきり、考え方もぴんきり、どの意見を採用するか・信じるかは飼い主さん次第ではありますが、漠然としか理解しておらず、間違えて覚えてしまっていることがあると、正しい判断はできなくなってしまうものです。
ここでは飼い主さんが陥りがちな間違いや、都市伝説的に漠然と広がっている勘違いなどをピックアップしてご紹介していきます。
犬に間違えた食生活をさせていないか確認しながら、今後の愛犬の食生活の参考にしてください。(考え方が多様にある内容もありますので、ご自身が好きな考え方を採用し、信じればいいので内容は強制ではありません。ご了承ください。)
飼い主が陥りがちな間違い①塩は犬に与えてはいけない
ECサイトのクチコミなどでよく、犬に塩は絶対にダメというようなことを書いてあるのを見かけます。しかし、犬にとって少量の塩分は必要なミネラル分ですので、「塩が入っている=悪い」という認識は大間違いです!
その前に、塩分なしで総合栄養食は作れません。摂取量には気を付けないといけないというのが正解で、取ってはいけないというのは誤解です。
もちろん、不調があるわんこなど、塩分の摂取量を控えておいたほうがいい犬種はいます。特に病気の場合は、塩分の摂取量は注意する必要があるケースも多いのですが、完全にゼロにしろというわけではありません。

メーカーからしたら、とんでもない風評被害では…
にもかかわらず、そういったことに気を付けたいわんこでもないのに、塩分=犬には悪というようなことを書いている人が多く、さらに、犬の栄養学にうといかたは、そういった間違えたクチコミを鵜呑みにしてしまいます…。
実際に私も知人から、◯◯は塩が入っていないから犬に与えて良いんだってという話をされたことがありました。こういう間違えたアドバイスがSNSなどでも派生していくのが、今の世の中なのでしょう…。
私がAmazonやYahoo!、楽天などでも見たことがあるクチコミは、
などどいう内容が多く、塩を目の敵にしたようなものが多く感じました。

どういう子にどうだめか説明してたらまだしも…
クチコミ・レビューなどだけではなく、あまり犬の栄養学をわかっていない人が書いたであろう記事にも、塩はダメみたいなことが記載されているケースもありますが。そんな間違えたクチコミを拡散している人に、なぜダメか、どういう子にダメかなど、説明してほしいものです。
それに原材料の一覧に、「塩」と書いているものだけではありません。
- 食塩
- 岩塩
- シーソルト
- 塩化ナトリウム
- 塩化Na
- ナトリウム
- Na
- 海塩
など、直接、塩とわかる表記になっていないもの、全部、「塩」の意味です。

原材料表記をよく見てみてください
それもわかってこのようなクチコミを記載しているのか…。と考えると、わかっていないから、このような間違えたクチコミや評価を書いて、あたかも正しいかのように拡散してしまう人がいるのでしょう。
これを読んだ飼い主さんには、少なくとも、そういった間違いを鵜吞みにしたり、さらにはそういった間違いを拡散したりするようなことはないようにしてください。
ただし、フードで塩分を取っているのに、おやつでも上記のような成分を取ると、過剰摂取になってしまう危険があります。おやつに配合されている塩分ナトリウム(=塩)には十分に注意するようにしてください。(フードは主食、おやつは注意しようということです)
飼い主が陥りがちな間違い②うちの子は食が細い…おやつは食べるけど
フードはたくさん食べようとしないけど、おやつは食べる。その場合そのわんこは、食欲がないわけではありませんし、食が細いわけでもありません。この場合は好き嫌い(食べるものをえり好み)している可能性があります。
もしくは、口の小さな犬種(チワワやポメラニアンなど)や老犬の場合は、
なども原因かもしれません。

一生懸命かみかみしてたら、満腹になっちゃった
単純にそのフードが好きじゃない可能性もありますが、何度かフードを替えてもおやつは食べてフードはそんなに食べないようであれば、フードに原因がある可能性は低いと考えておいた方がベター。フードが嫌いなのではなく、おやつの方が魅力的だからなのでしょう。
フードを食べにくそうにしていないかなどもみながら、フードクラッシャーで砕いたりふやかしたり、無理のない範囲の運動を増やしたり、欲しがっていたとしてもおやつは飼い主さんが正しく節制するようにしたりと、工夫してみてください。
そこで、フードを食べないからといって、トッピングアイテムやウェットフード、手作りごはんををフル活用したり、フードを替えてばかりしたりしていると、わがままを助長してしまう危険があるので、正しく原因を判断していきましょう。
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飼い主さが陥りがちな間違い③クチコミや評価が良いフードは犬にいい
ドッグフードのことはわからない…と、ドッグフードの評価サイトやランキングサイトの情報、クチコミ・レビューをあてにするのは自由ですが、鵜吞みにするのは大変危険です。
気持ちはわかります。なにがどういいかなんてチンプンカンプンという方もいるでしょうし、あのサイトではこう書いてあったのに、このサイトではこう書いてあるし、何が正解かわからない…となんてこともありますよね。
でも、ランキングサイトや評価サイトで記載されている内容は、そのフードを買わせるために上手に誘導されているものもありますし、いくら評価が良いからとはいえ、犬によって体質も違うのですから、評判が良い=愛犬にも合うとは限りません。

見るべきはネットではなく犬の体質
今の時代、気になることはすぐにインターネットで調べられますし、困りごとが解決できるともあります。…が、ネットには嘘も間違えた情報も、個人の利益目的の情報も飛び交っていることを心しておきましょう。症状が悪化しかねない誤情報もあります。
ネット上の広告収入については、これまでも当サイトで度々解説してきたので詳細は省きますが、なにより一番お伝えしたいのは、その情報を鵜吞みにしたことで、
などの、犬にも飼い主さんにもよくない状況を生み出してしまうことです。

フードを替える時は愛犬の体質を知るチャンスです
闇雲に評判から選んでいても、困ったことがあるたびに、大事な犬の体質を知ろうとする努力よりも、目先の情報だけで解決しようとする悪循環になりますし、飼い主さん暴走してしまいます。こういうものを食べたらこうなった…という愛犬の情報を探るチャンスなのに…。
逆に、もしそのネット情報の記載のとおりにして解決できたとしたら、またも「あのサイトにこう書いてあってよかった!」という、間違えた情報を拡散してしまうこともあるかもしれません。なにより、この状況で一番かわいそうなのは犬です。
そうではなく、いろんな体質のわんこがいて、あの子にはよくても、この子にはダメなものもある、うちの子はこういうものを食べるとこうなるなど、ネットの情報ではなく愛犬に向き合ってあげてください。そして、困った時は信頼できる獣医やペット栄養士に相談できると良いですね。
飼い主が陥りがちな間違い④療法食はできるだけ与えたくない
当サイトでは、獣医の指示や判断なしに療法食を与えないようにお伝えしてきました。もし、独自判断で与えたとしても、必ず後からでもいいので、獣医には療法食を与えている旨を伝えて、扱い方をしっかり確認しておきたいところです。
その前に、今与えているフードが総合栄養食なのか、療法食なのか(そもそも療法食を知らない…という方もいますし)をしっかり把握してく必要があります。が!療法食がなんぞやということを知っている場合でも、誤った認識をしている方も多いのもです。
療法食は不調や疾患がある場合に食べる、栄養成分が調整されたフードのことを指します。一般のフードとは異なり、健康な子が食べるものではありません。病気でもないのにケアするつもりで、与えている人もいますがそれは間違い。よさそうだからと与えるものではありません。

成分をコントロールして不調を軽減します
しかし、健康な子にとっては栄養バランスが崩れてしまうものだとはいえ、不調がある子にとっては健康を取り戻すための救世主のようなものです。
にもかかわらず、「栄養バランスが崩れているフード」「健康な犬が食べるフードとは異なる」「健康な子は食べてはいけない」というような情報の印象が強いためか、療法食=悪いものかのように考えている方もいます。必要がある個なのに与えなくないというのは間違いです。
たしかに、自身の愛犬が療法食を食べないといけない状況というのは、受け入れがたいことかもしれません。でも、療法食を獣医の指示に従って正しく与えれば、健康に戻れることもあるのですし。

すぐに療法食を出すのも違いますけど…
また、犬のご飯のことを少しわかっている人の場合、療法食の原材料を見て「こんな原材料のフード与えたくない」と思う方もいるかもしれません。療法食は犬が食べられるもので、成分を抑えるのが優先なので、保存料や気になる原材料が配合されているケースもあります。
原材料が良い療法食もありますが、扱っている動物病院が少なく、(先生によっては取り寄せてくれる良い先生もいます)嫌だなと思う療法食もあるでしょう。しかし、一生食べさせるわけでもないのですし。正しく、治療のために与える必要がある時は与えてください。
酷な話をしますが、療法食が必要になったのは、愛犬の体質だけではなく、飼い方が悪いせいということもあります。獣医さんからの提案の療法食、断るも与えるも飼い主さんの選択ですが、間違った考えで愛犬の健康を害してしまわないようにしましょう。
飼い主が陥りがちな間違い⑤フードジプシー・難民なのはその犬の特性
うちの子はフードジプシーで、安定してフードを食べてくれない…、好き嫌いが多い、おやつやトッピングは食べるのに、肝心のドッグフードは食べてくれない、フードジプシーで悩んでいる、何を与えてもすぐ飽きてしまう…などとお悩みの方も多いものです。
しかし、上記のような場合には、「好きなものだけを食べたい!」とわがままをしている可能性があります。
あるいは、これまで高たんぱくなフードや高脂質なフードや、香りが立ちやすく、食いつきも上がりやすいウェットフードを食べてきていたり・チーズやミルクなど乳製品を使った食いつきの良いおやつを食べてきていたりするなども注意が必要です。

もっと僕が好きなもの出して~!
嗜好性の強いものに慣れてしまうと、食べ物をえり好みをしたり、グルメ化したりすることもあります。もちろん、高たんぱくなフードになれていようが、チーズやミルク系のおやつを食べてきた子が必ずえり好みするということではありません。
ただ、問題なのは、そういった嗜好性の高いものの与え過ぎや、フードを食べないからと心配になって、食べるもの(=嗜好性の高いおやつやウェットフードなど)ばかり与えてしまうことです。そのせいで、犬はどんどん好きなものだけを食べる癖がついてしまいます。
残念ながら、そういった対応がきっかけで、グルメ化するわんこもいるものです。そして、酷な話ですが、それを助長したのは飼い主さんというケースもあります。心配のあまり一生懸命なだけなのでしょうが…。

ただ心配なだけなのに…
食べないのが心配になるのはわかるのですが、だからって、
などの悪しき習慣を、飼い主さん自らが愛犬につけさせてしまっていないでしょうか?食べたらもうなんでもいい…この際手作りフードであってもなんでもする…そんな風に一生懸命になっているようであれば、まず、その心配を一度やめてください。
そして、我慢比べになり、心配かもしれませんが、心を鬼にして食べないなら与えたくないよう徹底して食べるように対応を変えてみましょう。犬にこれを食べるしかないというように仕向けるのも大事なことです。
飼い主が陥りがちな間違い⑥手作りフードや薬膳フードは犬の体に良い
漠然と、毎日犬に与えるごはんは、手作りのごはんの方が犬には良いと思っていないでしょうか?(※ここでいう手作りフードは自宅で作るもののこと)人間だって、出来合いの総菜や外食、冷凍食品などばかり食べるよりは、作って食べる方が良い印象がありますよね。
結論からいうと、ご自宅でインターネットで掲載されている犬用手作りフードのレシピを見て作ってみたり、犬の手作りレシピなどの本に掲載されているものを作ったりというのを毎日与えるのは、栄養が偏り、健康管理が難しくなので注意が必要です。
たまに与えるくらいであればいいと思いますが、毎日与えるのであれば、市販されていてAAFCOの栄養基準を満たしていることが保証されているものを与えましょう。

特に食いつきが悪いからという理由で与えるのは危険です
手作りフードにはもちろん、嗜好性の良さや水分が摂取できる、消化の負担が軽減できるなどのメリットはありますが、それ以上のデメリットもあるので、簡単にできるとこではありません。(なお、当サイトは免責事項にも記載していますが、手作りフードは推奨していません)
また、漠然とよさそう…という印象で間違えているケースがあるのは薬膳フードの是非です。誤解しないでいただきたいのですが、個人的には、薬膳の考え方は好きですし、理にかなっていると思います。
ただし、原材料の多さや、穀物の多さなど、合わないワンコも多いので、薬膳フードだからいい!という安易な発想で与えるのではなく、体質に合っているかを確認した上で給餌するようにしてくださいね。
飼い主が陥りがちな間違い⑦ガムやパウダーを与えていたら歯ブラシは不要
歯みがき(歯ブラシで歯を磨く)が苦手、させてくれないとお悩みの方は多いものです。そんな中、歯みがきガムやパウダー、歯磨きシートに、舐めるだけにジェルなどといったアイテムも販売されていますよね。
もちろん、なにもしないよりはいいのですが、パウダーやガム、歯磨きシートやジェルなどを使っているからといって、歯みがきをしたことにはなりません。
一番効果があるのはやはり、ブラッシングです。

ブラシが一番できないのよ…
できないからといって、硬いおやつばかり与えるのも違います。歯みがきガムは胃腸に負担がかかるものが多く、たくさん食べるのはおすすめできません。
パウダーやジェルなど販売されているアイテムの広告に使用されている、とってもきれいな犬の歯の写真。あれ、よく見てみると小さく注釈が書いてあるものも多くて、そのアイテムだけでそんなに歯がきれいになるということではないのがおわかりいただけると思います。
愛犬の体にどういった作用があるかわからない成分を、歯磨きだからといって与えていることで、不調につながるリスクがあることも頭に入れておきましょう。困ったら解決できる(であろう)アイテムなんでも採用するのではなく、まずは基本に戻ってシンプルに考えるのも必要です。
飼い主が陥りがちな間違い⑧ウェットフードのほうが栄養価が高い
ウェットフードのほうが、ドライフードよりもおいしそうな香りがして、見た目もドライフードよりも食べ物感があって、愛犬の食いつきも良いし、きっとウェットフードの方が栄養があるのだろう…と考えてる方もいるようですが、実際は全く逆です。
人間からすると、ドライフードなんて味気もない茶色いただの粒にしか見えないかもしれません。しかし、犬にとってドライフードは、必要な栄養がギュッと詰まった命をつなぐ大事な食べ物です。
実際に比較して考えてみましょう。Aという実在するウェットフードと、Bという実在するドライフードで、5kgの避妊・去勢手術が済んだ標準体重・標準運動量の子に与えるという設定です。まず、この子の1日に必要なカロリーは、375kcalとなります。(計算方法はこちら)

実物で比較したほうがわかりやすいよね
Aウェット | Bドライ | |
100gのカロリー | 116kcal | 365.7kcal |
5kgの子の給餌量 | 323.3g | 102.5g |
たんぱく質 | 13.1%以上 | 26%以上 |
脂質 | 5.4%以上 | 16%以上 |
繊維 | 0.8%以下 | 4.5%以下 |
おわかりいただけただけますか?
Aのウェットフードは、1日に323.3gも食べないといけません。その上、ウェットフードをこれだけの量を食べさせようと思うと、とんでもないコストになってしまいます。それにウェットフードえ水分摂取ができる分、水分摂取量が減ってしまう可能性も否めません。

水分摂取量も変ってくるかも…
ウェットフードは、胃腸の負担軽減ができる、歯が弱い子や食欲がない子でも食べやすいなどのメリットもありますが、上手に使わないと、
など、不調を起こす原因になることもあります。災害時など、
愛犬もよく食べたがるし、見た目もごはんらしくておいしそうだし…と、間違えた認識で多用してしまわないよう注意してください。
漠然としか知らない・確証のない常識やうわさを信じないように!
お伝えしたお話は、本当に多い間違い・勘違いばかりです。しかも、それを信じているせいで、犬がかわいそうな目に遭っているケースもあれば、風評被害を被っている人がいたり、逆にそういった世の中を利用して、私腹を肥やしている人もいたりします。
正しい知識がないまま、漠然と「へ~!そうなんだ!」とわかったような気持ちになって、犬のことを知ったような気持ちになることもあるでしょうし、良い情報だと思ってそれを周りにいうのも自由です。(いいことではありますが…)
しかし、それを信じるのか、鵜呑みにするのかは、聞く側・その情報を見た側の判断次第でなんとでもなります。間違えた情報を拡散することも、振り回されることもなく、愛犬のために正しく判断できる知識をつけるのも愛情ではないでしょうか。
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