いつもと変わったこともしていないし、食べているものも変わらないのに、なぜか突然愛犬がお腹を壊した…という経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?原因に心当たりがある場合もあれば、まったくなにが原因かもわからないケースもあると思います。
もしかしたら、心当たりのない・原因不明のケースの方が多いかもしれません。というのも、便の状態の変異(下痢、軟便)・嘔吐やえずくなど、犬が胃腸の調子を悪くする原因は本当にたくさんあるからです。
犬がしゃべって、「ここがこう痛いんだ…」「吐きたい…」と教えてくれたらいいのですが、犬は痛みを我慢して痛いという感情を出さない習性がありますし、飼い主さんの見ていないところ・見えないところで、お腹の不具合の原因があるのかもしれません。

人間だって、なぜお腹を壊しているかわからないことありますもんね
心配な場合は、なるべく早く動物病院に連れて行くことをおすすめしますが、一過性の不調にすぎず、病院に行くまでもないケース・行っても原因がわからないケースもあります。実際に病院に行っても、様子見となってすぐに体調が戻るケースもゼロではありません。
そこで、今回は、犬の胃腸の不調の原因・考えられることやご自宅でできること、お腹を壊したときにどうしたらいいのか?なども詳しくご紹介していきます。
なお、いろいろ書いてありますが、個体差もありますし、愛犬の体質に合うやり方を教えてほしい・相談したいという方は、お気軽にお問い合わせくださいね!
愛犬がお腹を壊した…胃腸が不安定になる原因とは?
犬のうんちは健康のバロメーターともいわれており、毎回しっかり愛犬のうんちの状態を確認しておくのはとても大事なことです。
健康的な排便がある場合は良いのですが、ある日突然、便の状態が悪くなることも少なくありません。
どんな変化か、わかりやすいものを挙げてみますと、
などがあります。
フードを替えたり、いつもと違うものを食べたりしたら、うんちの色や硬さが違ったり、回数が変わったりしてもおかしいことはありませんが、かといって、原因が食べ物のせいだけとは限りません。
食べ物に原因があるのかもと考えるのも大事ですが、食べ物のせいと決めつけるのは危険です。

毎回同じ症状とは限らないし…
ほかにも、直接、便に変化が見えない場合でも、お腹を壊す予兆として(もしくは、うんちの変化とセットで起こるケースもありますが)、
などの、胃腸に負担がかかっている症状が出る場合もあります。こういった症状は、消化器に不調が起きている時に起きることが多いため、しばらくは愛犬の変化・症状・お腹の負担に留意しておいたほうがようでしょう。
ちなみに、胃腸のために草を食べるのはいいことと勘違いしている方もいます。食べてすっきりするなら悪いことではないのですが、その前に健康な犬は草は食べません。そのため、草を食べてよくなったとしても、食べないといけない理由があったことにフォーカスをしてみるといいですね。
いずれにしても気になる症状ですが、こんなことになるのにはどういった原因が考えられるのでしょうか?少し踏み込んで考えてみます。なお、もし症状が2、3日続くようであれば(続いているようであれば)、この内容を読む前にまず、動物病院に相談に行きましょう。
なんらかの細菌を口にしてしまった・誤飲誤食・暴食などによる消化不良
散歩中、どれだけ飼い主さんが注意していても、目に見えない菌などを愛犬が口にしてしまうこともあります。たとえば、草むらの中にはノミ・ダニのみならず、細菌・病原菌が潜んでいる危険がありますし、ほかにも、除草剤や虫よけの薬品をまいた後の草むらなども非常に危険です。
あるいは、拾い食いなどで傷んだものを口にしてしまうこともゼロではありません。石などを食べちゃう子もいますし。お子さまがいらっしゃるご家庭では、お子様のおもちゃを愛犬が誤食してしまったなんて話も…。
口にしてはいけないものを咥えていた愛犬を見て、焦って「こら!ダメよ!はなす!」と、強く叱ってしまって、犬も取られまいと慌てて丸飲みしてしまったなんてこともよく聞きます。

ほかのわんちゃん・猫ちゃんの排泄物も危険です…
また、犬に良かれと思って牛乳(人間用)を与えているという方もいらっしゃいますが、牛乳の乳糖が合わず、お腹を壊すこともあるので注意が必要です。はたまた、雨水や海水を飲んで、お腹を壊す子も実際にいました。
ほかにも、かわいさのあまり食べさせ過ぎている(給餌量がオーバーしている)方も少なくありません。食べたがるから・かわいくてついつい…なんて与えていると、体重もオーバーしますし、消化がうまくできなくても無理もないはずです。
ドッグフードの給餌量やおやつな量は、飼い主さんがしっかり把握しておけば、管理できることですので、この機会にぜひ、必要カロリーの計算方法があることをお見知りおきいただけると幸いです。
水分の取り過ぎ!暑い日や遊び倒した日・緊張した日などは要注意!
暑い日の場合は、水分をしっかり摂取させないと…と思う飼い主さんも多いと思いますが、水分を摂り過ぎていたら、うんちが軟便になるのも無理はありません。便は、大腸の働きと水分が大きく関係しているため、水分が多くなると便に異変が生じてるのも当然です。
ほかにも、フードをふやかして与える時に、水を多く入れ過ぎていて、必要以上に水分を摂取させてしまっている方もいました。
あるいは、不慣れなトリミングや苦手な病院などに行って緊張して帰ってきてから、水をがぶ飲みした…なんて子も多いもの。怖い思いや緊張からパンティングが激しくなり、一気に喉が渇き、緊張から解放された瞬間に、浴びるように飲んでしまうのでしょう。

大きな音や不慣れな場所は緊張するんだ…
ほかにも、雷や花火大会など、大きな音が苦手なわんちゃんは多く、そういった臆病な子の場合は、怖さのあまり震えて、パンティングがひどくなることもあります。この場合も同じく、恐怖から解放された後に、一気に水をがぶ飲みしてしまい、お腹を壊すこともしばしば…。
緊張や恐怖以外にも、楽しすぎて夢中になっている場合も注意が必要です。ランで大はしゃぎした時、水をがぶがぶと飲んでしまったり、海やプールなどの水遊びや、雪遊びでかなりの水分を摂取してしまったなんてこともあります。
楽しいあまり、水分摂取を忘れてしまい、後から一気に飲んでしまう子もいますし、逆に興奮のあまり、「飲み過ぎよ?」というほどがぶがぶ飲んでいる子も…。このように必要以上に水分を摂取した場合には、便が緩くなるのは体内の働きとして普通の現象なのです。
体質的に冷えに弱い・急な気温差・冷房での体の冷えなど「冷え」が原因
冷たいものを食べたり飲んだり、寒暖差が激しいエリアに住んでいて、急に寒くなったり、厳しい寒さが続いたり。または、昨今の異常な夏の暑さの対策として、真夏日には冷房の効いた部屋に長時間いたり…。
個体差もあるにせよ、気温の変化に敏感な体質のわんちゃんもたくさんいます。もともと寒さに弱い犬種もいますし、犬の特徴(シングルコートや短毛種など)的に寒さに弱い傾向がある子もいて、さらに昨今は異常な気候の変化もあるので、犬だって不調をきたしてもおかしくないんですよね。
日本ではかつては、犬は外飼いが当たり前になっていたこともありますし、今ほどさまざまな犬種がいたわけでもありませんでしたので、犬に対する考え方がアップデートされておらず、

犬に寒さ対策なんて必要ないよ…
と思う方も多いかもしれません。たしかに、愛犬への過剰な装飾など、やりすぎはよくありませんし、不要なおしゃれをさせる必要はありませんが、でも、今は昔とでは、気候も違えば、当時日本にいた犬種とは全然違う、海外の原産国の犬も飼われている時代です。
体質的に寒さに弱い子もいるという認識がある上で、ある程度の防寒対策はしてあげる必要があります。犬の平均体温は38.5~39.5度ほどですので、それよりも下がらないようにしてください。犬の体温が38度を下回っている場合は大変危険です。
また逆に、猛暑日など、過去にないほどの暑い日があったとしても、氷をたくさん食べさせるのはよくありません。適量の氷であれば、短時間で効率よく体を冷やす効果もありますが、お腹を壊さないよう様子を見ながら与え、たくさんは食べさせないようにしましょう。
騒音・恐怖・留守番の長さ・かまってもらえない・運動不足などのストレス
繊細な子の場合には、ちょっとした騒音ですらストレスに感じてしまうこともあります。雷や花火が苦手なわんちゃんは多いものですが、そういった明らかな大きな音だけではなく、近所で工事が始まって、不慣れな音が聞こえ続けていて、恐怖やストレスを感じていることも…。
また、「変化」に敏感な子もいて、たとえば、
なども、犬がストレスを感じる原因です。
ご家庭の致し方ない事情・急用などから、犬に割く時間が減ってしまうこともあるでしょう。でも、そんな家庭の事情は、犬には理解できません。急に一緒にいる時間が減った、運動量が減ったなども犬にしたら大きなストレスになります。
仮に、犬が不慣れなお留守番をしている時に、

ひとりで寂しいしなぁ…早く大好きな家族に会いたい…
と思っているタイミングで、天候が悪くなり雷が鳴っていたら…ダブルパンチなストレスになってしまいます。こういった経験がトラウマになって、これまではできていたのに、おとなしくお留守番できない子になってしまう可能性も…。
強い不安を感じた時と似た状態になると、お腹を壊したり、問題行動をとってしまったりするケースもありますし、病院で痛いことをされた(怖かった)、引っ越しをして環境が変わった、不慣れなことをした・不慣れな場所に行ったなどの、日常と違うことが起きた時に不調がでる子もいます。
年齢とともに犬も変化してきますので、これまではできていたことでも、できなくなってしまうこともありますので、愛犬が恐怖やストレスを感じていないか、感じない生活ができているかも、この機会に考えてみるのも良いですね。
体質に合わないドッグフード・サプリメントの食物アレルギーによる反応
- 粗繊維が多いフード
- 灰分(ミネラル分)が多いフード
- ハーブなどを多く使用しているフード
を食べている場合、お腹が緩くなってしまうこともあります。特に、ダイエットフードは繊維が多いので、便の量も増えやすいです。
この場合は、フードの成分による影響が考えられるので、繊維がもっと少ないもの・灰分が低いもの・ハーブがあまり使用されていないものなどに替えれば、お腹の不調は治る可能性があります。
ご参考までに、ドッグフードのパッケージにある、「粗繊維(繊維)」4%以上になっている場合は、少し繊維が多い方だと思っておいてよいでしょう。ダイエットフードの場合もっと高い(16%など)ものもありますが、健康な犬であれば8%以下程度で十分です。

粗繊維だの灰分だのはこちらの記事をチェックしてね!
また灰分に関してはAAFCOでパーセンテージが決まっているわけではありませんが、平均的に7,8%程度のものが多い印象ですが、少なからず10%以下のものを選ぶとよいでしょう。(あくまで目安で、絶対こうじゃないといけないというわけではありません)
こういった成分の話ではなく、食物アレルギーが出る食材があって、うまく消化できなくなってしまいお腹を壊すというケースもあります。フードを替えてしばらくはよかったのに、数日してからお腹が不安定ということであれば、食物アレルギーを疑ってみてもよいでしょう。
ただし、食物アレルギーは判断は簡単にできるものではありません。それに、ひと言で食物アレルギーといっても、
など、どういったタイミングで症状が出るのかは、本当にピンキリな個体差があります。

アレルギー検査をしてもわからないこともありますし…。
今まで食べていて問題なかったのに、突然合わなくなることもあり得るので、やはり、簡単に判断できるものではないということなんですよね。
このようなアレルギー症状はごはん(フード)のみならず、愛犬が口にするもののすべてで起こる可能性があるので、おやつやサプリメント、トッピングアイテムなども、成分や原材料をチェックしておきましょう。
また、一番は日ごろから、アレルギーリスクの高いものが使用されているフードは与えないようにしておくなども有効ですので、気になるかたはこちらも確認してみてくださいね。
回虫(寄生虫)・原虫や感染症、膵炎・腸炎・腫瘍など病気の可能性も…
一番心配なのは、病気があったり、線虫(回虫・寄生虫)がお腹にいたり、原虫(ウイルス)などの感染症にかかっていたりするケースです。健康が脅かされている症状として、便に異常が出ているということですので、様子見をしている場合ではありません。
線虫は母犬から引き継いでしまっているケースが多いのですが、ブリーダーやペットショップなどからお迎えしたからといって、絶対安全ということではありません。販売前に検便で虫がいないか検査を受けてきた子でも、生活を共にしてから寄生虫が発見されることもあります。
また、考えたくないことですが、消化器の病気から健康的な便ではなくなることもありますし、ちゃんとした生活をさせているご家庭であっても、遺伝子レベルの原因から、病気になってしまうこともゼロではありません。

その子のもって生まれた性質・体質です…
余談ですが、最近では、遺伝子検査を受けていることをアピールしているブリーダーやペットショップもありますが、遺伝的な愛犬の体質を把握しておけば、これから共に生活していく上で注意しておきたいことも明確になってきますよね。
無茶な繁殖をさせた結果、劣性遺伝・遺伝的疾患のある犬を生み出さない、悪質ブリーダーによる不健康な繁殖を防ぐことにもなるとは思いますが、遺伝的不調がある子を産まないよう操作するようなセンシティブな内容ですので、賛否あるのも事実です。
いずれにしても、病気や感染症、線虫などの影響からお腹を壊しているのかどうかは、飼い主さんの独断ではできるものではありません。動物病院へ行き、獣医に相談してみてくださいね。
体質・老化・肥満・食べ物・運動量などが原因の腸内フローラの乱れ
人間でも同じことがいえるのですが、犬でも、体重の変化、年齢、運動量などから、腸内フローラが乱れることがあります。体重や年齢と、それに見合う運動量はそれぞれ違いますので、その子に合った生活ができているかが重要です。
運動をすることで、腸も活発に動いて消化が促されます。余談ですが、人間も座りっぱなしのお仕事をしている方の方が、便秘になりやすいといわれていますが、腸の動きが抑制される姿勢になって、腸の働きを妨げているからなんですよね。
それに、もともとの体質的に、腸内の善玉菌バランスがよくない子や、消化器は丈夫ではない子もいますし、食べ物によっては乳酸菌量と食物繊維量が不釣り合いになってお腹が緩くなってしまこともあります。

お腹のために乳酸菌という発想はNG!
「お腹に良いから乳酸菌を取る」ということをご存じの方は多いのですが、実はこれ半分正しいけど半分間違っているんです。乳酸菌が働く原理を正しく理解していなければ、いくら乳酸菌を摂取させても、お腹の調子はよくなりません!
乳酸菌が活躍できるのは、食物繊維の摂取量とのバランスが取れていることが大前提です。つまり、繊維も取れていない状態で、乳酸菌だけをせっせと取っていたって整腸作用は期待できないというのは当たり前。それより、食べ物そのものを見直していく必要があります。
このように、犬のコンディションによって、腸内環境が乱れている場合には、生活スタイル(食べ物・運動・年齢などすべて)を見直すことからはじめましょう。
好き嫌いが激しく、空腹のあまり胃が荒れてしまって胃酸が出ている
フードジプシー(フード難民)、好き嫌いが多くフードが安定しない、わがままをして食べようとしない、偏食…と、フードを食べようとしないことでお悩みの方の多いものです。空腹にもかかわらず、グルメ化してしまってあまり食べてくれない子の場合、胃液を吐いてしまうことがあります。
空腹なのに食べないのは、食べられないほどの原因があるか、飼い主さんが食べない愛犬のために過剰に嗜好性の高いものを与えていった結果、「もっとおいしいもの出してくれないと、食べない!」と抵抗したら、おいしいものを出してくれることを知っているから。
愛犬を思って一生懸命にやっていたつもりのことで、愛犬のフードジプシーを加速させているケースは珍しくありません。我慢比べになりますが、正しく対処していけるようにしましょう。
「どんな便か」は重要な情報!原因の切り分けにも有効な情報です!
少し触れたように、ひと言で「愛犬のお腹の調子が悪い」といっても、どんな症状がでるのかは異なります。
たとえば、便の状態が軟便で回数も多くておかしいという意味もあるでしょうし、逆に便秘気味でお腹がおかしいということもあるでしょう。同じ「お腹の調子が悪い」といってもまったく異なる状態ですものね。ほかにも、
など、「便の異常」といっても、症状は異なります。
このような詳細の情報は、原因を探る時にきわめて大事な情報になりますので、しっかり不調の状況のメモを残す・便の写真に残す・検便に回せるように便は捨てないでおくなどをするようにしましょう。

獣医に聞かれたら答えられるようにしておこう
なお、上記のような便の状態はもちろんですが、ほかにも、いつから始まったのか、頻度はどのくらいか、草を食べる(食べたがる)かなども、獣医さんにとっては、どこに原因があるのかを精査するために必要な情報ですので、答えられるようにしておくといいですね。
1回だけ異常な便をしたのか、毎回ではないのだけど、定期的に同じようなことを繰り返しているのかなど、どういった間隔でその状態になっているのかなども、大変有効な判断材料になりますので、正しい情報を伝えられるようにしておきましょう。
また、お腹の不調の場合は、愛犬が食べているフードに関する情報も伝えた方がいいケースもあります。たとえば、フードを替えてからこうなったのか?何グラム食べているのか?何回食べているのかなどです。こういった内容も正しく伝えられるよう、準備しておきましょう。
2、3日しても改善しないなど、心配な場合は必ず獣医に相談を!
犬の便の異変は、緊急を要する便の異常と、一過性のもの(少し様子を見たら治るもの)があります。語弊があるかもしれませんが、たった1回だけ、ちょっといつもと違った便をしたからといって騒ぐ必要もないケースと、たった1回だろうが、急いで対処すべきものとがあるのですね。
たとえば、水下痢を頻繁に(短時間に)繰り返す・便に虫がいる・明らかに便に血が出ている・未消化の状態の便が出てくるなどは、様子見をするのではなく、なるべく早めに動物病院に連れて行くようにしましょう。
ただし、ちょっと軟便かな?少しいつもより匂いが強いかな?ちょっといつもより硬いかな?くらいであれば、ご自宅で2、3日様子を見ても構いません。

飼い主さんは落ち着いて状況を把握しましょう
飼い主さんは、急ぐべき状態なのか・様子を見て良い状態なのか、冷静に状況を把握して、判断することが大事です。焦っても仕方ないとはいえ、本当は急ぐべき症状にもかかわらず、様子を見る期間をとって、愛犬が苦しむ時間が長引かないよにしてあげましょう。
もちろん、心配であれば動物病院に行っても良いですし、判断が難しいのであれば、動物病院に電話して、症状を伝えた上で病院に連れて行くべきか聞いてみるのもあり。その際、なにか便の変化が出るような原因はあったのかなども、伝えられるとなおよしですね◎
ただし!経過観察をしておいても良いような症状であったとしても、
など、便以外の不調を伴っているようであれば、なるべく早く動物病院に連れて行くようにしましょう。

様子を見ているうちに悪化する子もいますしね
ひと言で「便がおかしい」といっても、その「おかしい」はどんな内容なのかも違いますし、飼い主さんによってもリアクションが異なります。犬を飼い慣れている人もいれば、心配性な人などさまざまですからね。
はたからみたら、それだけで騒がなくていいよと思うようなことでも、過剰に心配してしまう方もいますし、逆にもっと心配した方が良い状況ですよ?と思うことですら、ほっとけば治ると悠長に構えているケースもありますし…。
「ただお腹を壊しているだけだから、薬飲ませてたら大丈夫」「一過性のものだろうからしばらく様子見ておいて大丈夫」と高を括らず、心配な症状があれば、獣医やしかるべく知識を持った人に相談してみてください。いずれにせよ、3日以上続いていたら、病院に連れて行ってあげましょう。
その日1回目のうんちは正常…2回目以降の排便の後半だけゆるめってどう?
よく、その日の最初のうんちは良い感じなのだけど、2回目、3回目のうんちになると徐々にゆるくなっていく、もしくは、最後のほうだけゆるめになるなんて話を耳にします。(我が家の愛犬でもたまにあります)ちなみに、この症状は毎回ではないんけど…という方が多いです。
結論からお伝えしますと、その日の最初の1回目のうんちが正常であれば、そんなに心配する必要はありません。(※2回目・3回目のうんちがあまりに軟便だったり、そういう状況がずっと続いている場合は除く)
最初の方は良い感じなのに、後半は少し軟便気味になる原因は、年齢や運動量、性格(興奮しやすい子なのか)、水分摂取量などさまざまな理由が考えられます。

その日1回目のうんちから軟便なら気にかけてあげましょう。
そもそも、犬のうんちの回数≒ごはんの回数とされており、たとえば、1日のごはんが2回の子はうんちも1日2回であることが多いです。あくまで目安ですので、コンディションや食べているもの・食べた時間によっては1日1回の子もいますし、3回の子もいます。
いずれにせよ、朝一番(その日1回目)のうんちは、ゆっくり穏やかに落ち着いて寝た後にする便なので、安定した形状のものになることが多いです。
しかし、目覚めてからは、散歩やドッグランにいったり、いつもより多めに運動をしていたり、なにか気になるものがあって興奮したり、暑い日にはいつもより多めに水分をとっていたり…と、さまざまな「刺激」があると思います。

こういった刺激は腸の運動を活発にさせます
このように、刺激が加わることで、腸の働きが活性化するため、便が下りてきやすい状態になっているんですね。これは排泄の仕組みに関係しているのですが、私もそこは専門ではないので、引用してご紹介しますと…
●小腸(十二指腸、空腸、回腸)
胃から十二指腸へ運ばれると膵臓から分泌された膵液、胆のうから分泌された胆汁と混ざりあって更に消化が進みます。膵液にはトリプシンやリパーゼといった消化酵素が含まれ、胆汁にはリパーゼの働きを助ける胆汁酸が含まれています。
また、小腸粘膜から分泌されるマルターゼなどの消化酵素によって、より吸収されやすいものへと消化・分解されていきます。栄養素は十二指腸に続く空腸から回腸でそのほとんどが吸収され血液中へと取り込まれています。また、水分の80%程度が小腸で吸収されています。
●大腸(盲腸、結腸、直腸)から肛門
小腸を通過した後の残りの水分を吸収し、便を固形化します。結腸や直腸では便の一時的な貯蔵の役割をも担っています。こうして一定量に溜まった便が肛門から外へ排泄されているのです。

小腸・大腸とそれぞれ役割があるんだね
消化器官を食べたものが通過していき、便に変化していくのですが、小腸や大腸での消化されているタイミングに、興奮して腸に刺激がいくと、働きが活性化されます。結果、固形化されきっていない便が、下りてきやすくなるというわけなんです。
腸と脳の働きは連動しているため、興奮しやすい子は腸に刺激が伝わりやすく、こういった症状が増えることもあるかもしれません。ほかにも、運動(散歩やラン)も腸に刺激になりますし、物理的に、多めに水分をとっていたら、吸収されなかった余剰の水分が排泄としていつもより多くなるのも当然のことです。
犬は食べたフードを消化するのに、4時間~6時間程度かかります。そのため、上記のように、消化している過程で、腸に刺激が加わりやすい状況になっているとゆるめの便になることもあるので、総合的に判断するようにしましょう。
重要!「療法食」でお腹のケアをする場合には必ず獣医に相談を!
昨今、インターネットで、獣医の許可や指示がなくても、療法食が買える状況になっています。療法食とは、不調・疾患のある犬のために作られたフードのことであって、食べるお薬と思っていただいてよいでしょう。
治療の一環として、症状を緩和させるために食べるものであって、本来は獣医の管理・指示のもと与えるべきフードです。そのためお伝えしているように、健康なわんちゃんや、医師の指示がないわんちゃんが食べるべきものではありません。
健康な子に与えていると、栄養バランスが崩れて、かえって不調を引き起こす原因になりかねないものだからです。

栄養を調整されている食べ物だから
たとえば、腎臓に疾患がある子の場合はナトリウムやたんぱくを控える、肝機能に疾患がある場合は消化吸収率の良いたんぱく質を取り、脂質は取り過ぎないなど、一般的な健康な犬のためのフードとは異なる基準で作らなければなりません。
普通に健康な子にとっては、なにかの成分が著しく欠落してしまったり、過剰摂取になってしまったりするわけで、だからこそ、獣医さんの指示や治療方針のひとつとして与える食事なのです。そのため、
といって、個人の判断で与えるとこはないようにしましょう。療法食は、獣医の指示・管理があってこそということをお忘れなく!

独自判断で与えたことによって、症状が悪化する危険も…
余談ですが、療法食は治療の一環で食べるお薬みたいなものとお伝えしましたよね。でも、正確にはお薬(医薬品 )という位置づけではありません。そのため、療法食に関する流通の規制はなく、ネットで販売されていたとしても、薬事法違反などにはならないのです。
ただし、お伝えしてきたように、療法食は健康な子が食べ続けてしまうと、健康を損なう原因にもなりかねないことから、昨今では大手フードメーカーも、危険な流通をしないように販売規制をかけるようになってきています。
そのくらい、扱いに注意が必要なフードですので、繰り返しになりますが、絶対に、個人の判断で療法食を与えることのないように注意してください。
フードの与え方でお腹の負担を軽減しよう!自宅でできる対処法6選
病気などが疑われることもなく、検査をしても問題がない場合や、あくまで一過性の不調にすぎない場合、あるいは、病院に行くか様子見をしている段階に、飼い主さんが愛犬の不調を取り除く(軽減する)ためにできることはあるのでしょうか?
犬のうんちは健康のバロメーターですから、早く健康的な排泄に戻ってほしいですよね。それに、もしかしたら、痛みがあるのを我慢しているかもしれませんし。飼い主としては、愛犬の不調を取り除くためにできることがあれば、してあげたいですよね。
ここからは、急ぐ必要のないケースという前提で、愛犬の便やお腹に気になる症状が見られた時に、家庭でできる、ごはんにまつわる対処法をご紹介します。なにもしないよりはやってみる価値もあるので、参考にしてみてください。
胃腸を休めるために、ごはんを1食(もしくは1日)抜いてみましょう
胃腸に不調が見られる場合には、なにより胃腸を休ませてあげることが重要です。食べるのが大好きなわんちゃんを飼われている方であれば、心苦しいかもしれませんが、愛犬へのごはんを1食抜いてみてください。ひどいようであれば1日抜いてもかまいません。
便に異常が出ているということは、胃腸が疲れている・胃腸が荒れているということですから、胃腸を休める=ごはんを抜くことで、負担を軽減することができます。
特に、下痢など消化が追い付かず、食べたものがどんどん出てしまっている場合や、フードが未消化の状態で出てきているような場合には、まずは胃腸の活動を抑えるようにしてみましょう。(よくなってきたら、消化の良いものから与えていきます)
給餌量や給餌回数を調整して、胃腸への負担を軽減させてみましょう
早食い癖があって、消化器官に負担がかかってしまうことによりお腹を壊してしまったり、もともと消化器官が丈夫ではなくて、一気にたくさんの量を食べらえない子もいたり、食べる時間・間隔がよくなくて、お腹に負担のかかる食事リズムになっていたりする子もいます。
愛犬のごはんの時間に偏りがあるご家庭もありますし、理想的なごはんサイクルで給餌できていないケースもあり、実際に私もそういった飼い方のわんちゃんの相談を受けたことがありました。
理由はそれぞれ異なりますが、その子にあった消化サイクルの量・回数で給餌するのも良いですね。

ごはんは消化が安定しやすい量・回数でいいんだね!
念のためご紹介しておきますと、犬のごはんの理想的なタイミング・サイクルは、給餌回数や1食の給餌量によって異なるのですが、成犬であれば、
- 1日2回:12時間おき
- 1日3回:7~8時間おき
- 1日4回:6時間おき
というサイクルを目安にしておくと良いのですが、「7:30に食べたら次は必ず19:30に!」というきっちり時間を守れということではなく、前後1時間程度の誤差はあっても構いませんし、運動量に合わせて多少前後したって問題ありません。
また、生活スタイル・運動量などによっては、給餌するグラム数をきっちり合わせなくても大丈夫です。

愛犬の消化サイクル・生活スタイルに合わせてあげましょう
たとえば、1日120g食べている子で、1日2回のごはんであれば60gを2回、3回なら40gを3回でもいいのですが、朝夕2回散歩に行ってお昼は寝ているということであれば、朝70g、夜50gの2回、もしくは朝50g、昼20g、夜50gでも問題ありません。
世間的には、成犬の場合は1日2回の給餌が良いとは言われていますが、それが絶対というわけでもありませんし、お腹に不調がある状況だと少量を分けて食べた方が良い場合もあります。
消化が安定するまでは、胃腸に負担がかかりにくい少量ずつのフードを、何度かに分けて与えてみてくださいね。
フードをふやかす・フードクラッシャーで砕くなどで食べやすいサイズに
フードの粒のサイズが合っておらず、消化の妨げになってしまうこともありますので、食べやすく消化しやすいサイズにして与える、あるいは、ふやかして与えるのも有効です。ふやかしたりサイズを細かくすることで、消化器の負担軽減にもなりますし♪
ふやかし方や、ふやかすことのメリットなどについてはこちらの「ドッグフードをふやかすのはいつまで?パピー期まで?成犬には不向き?」という記事でご紹介しているので、気になる方は確認してみてくださいね。
そして、我が家も愛用しているのですが、フードを砕く「フードクラッシャー」というものがあるのをご存知でしょうか?
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砕くときに音がして、結構力もいるのですが、これは、持っていて損はないと思います!

パピーやシニア、不調時にも重宝します
また、フードのみならず、おやつも硬すぎるもの(骨や蹄など)は避ける、牛皮などの噛みちぎりにくいガムなどを与えるのも避けるようにするのもよいでしょう。
ゆっくり時間をかけて食べてくれるからと、ガムや噛むおもちゃ・おやつを与えている方も多いとは思いますが、お腹に不調が出やすい子の場合は、そういったアイテムは考えものです。硬いプラスチック製のおもちゃなどを、噛みちぎって食べてしまっている子もいますしね。
消化器官に優しいものを与えるようにする(=消化しにくいものは与えない)ということも、胃腸が不安定になりやすい子におすすめな対処法ですので、愛犬が好きだから・気に入っているから・長時間もつからなどという理由で与え続けないようにしましょう。
ウェットフードに切り替えて、胃腸に優しい食事に一時的に変更する
消化器官が活発になり過ぎていて、固形物(ドライフード)を消化できる状態にない場合であれば、一時的にウェットフードに切り替えるというのもひとつです。特に、下痢をしている子であれば、脱水にもなりやすいので、水分含有量の多いウェットフードは理にかなっています。
また、長期的に胃腸が荒れていて食欲が落ちている・噛む力も弱っているなど、固形物を食べられる状態にはなくても、ウェットフードであれば、食べやすいというのもメリットです。
シニア犬で食べられない・体調が悪くて食べられないなどの理由がないのであれば、基本的にはドライフードを与えることを推奨しますが、上手に体調や年齢に合わせてウェットフードは使用していくと良いと思います。胃腸を休ませたい時に与えてみてくださいね。
消化器ケアや整腸作用が期待できるサプリメントを与えてみる
フードに乳酸菌が配合されているようなものを食べているという場合でも、お腹の中に有用菌(善玉菌)が定着しにくい子もいるので、そういった子の場合には、サプリの使用で便の状態がよくなることもあります。
気になる方は犬用の「腸内フローラ検査キット」があるので、検査を受けてみてもいいですね!
あるいは、食べているものの成分バランスがよくなくてお腹を壊してしまうケースもあります。いずれの場合であっても、サプリメントなどで消化器ケアや整腸作用を促すのもありです。ただし、アレルギーの多い子などの場合は、乳製品由来の乳酸菌は避けるようにしましょう。
アレルギーリスクの少ないフードに替えてみる
食物アレルギーから、お腹を壊している可能性がある場合には、フードを替えてみるのもあり。
化学合成添加物が使用されているフードや、アレルギーリスクの高い食材が使用されているフード、原材料の品質があまり良いものではないフードを食べている場合、消化がうまくいかず、お腹を壊してしまう原因になることがあります。
ほかにも、フードの保管状態がよくない(販売店での扱いも含め)、ライフステージの変化とともに合わない食材が出てくるなんてもことあり得るので、替えてみてお腹の調子の変化をみてみるのもよいでしょう。どんなフードに替えたらいいかなどは、ご相談くださればご提案いたします♪
冷え対策のために服を着せるのは犬の体質・特徴によって大事なこと
「冷え」についてのところでも解説しましたが、犬だって寒くなるとお腹を壊すことがあります。そういったことをわかっていない人からしたあ、「犬に服を着せるなんて!」と、少し過保護に思われることもあるかもしれませんが、そんなの気にしなくて構いません♪
もちろん、明らかに動きにくいドレスや着物、コスプレなどのような過剰なお洋服や、必要のない帽子や装飾をさせる必要はありませんが、必要な範囲の防寒はしてあげるようにしましょう。
また、手作りフードの場合にはよくあることですが、体を冷やす効果のある食材は与えないようにするのも大切です。体を温めるためにと、わざわざお湯を飲ませるなどまではしなくて構いませんが、室内の温度管理なども含め、愛犬を冷えから守ってあげるのも良いと思いますよ♪
あまりに繰りかえすようであれば動物病院に相談しておきましょう!
すぐ治ったにしても繰り返す、治っても頻繁にお腹の不調が起こるなどがある場合には、「治ったから大丈夫だろう」で放置するのではなく、一度、動物病院でしっかり診てもらうことをおすすめします。
重篤な病気などが原因にある可能性もあるからです。
途中でもふれたように、2、3日様子を見ていて治るものと、様子を見るもなにも直ちに病院に行くべきものもあります。個人判断ではなく、心配な症状があれば、信頼できる獣医にしっかりと相談するようにしてくださいね。
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