ドッグフードより手作りフードの方が良い?その発想…栄養学的にはNGです!
「○○ちゃん(くん)は、ママさんの手作りフードなんだって」
と、知り合いのわんちゃんが手作りごはんを食べていると聞いたら、みなさんはどう思うでしょう?
と感じますか?作る手間などを考えると、手作りごはんこそ愛犬への愛情表現に感じる人もいると思います。
しかし、手作りフードって、本当にとっても犬の栄養学を学んで詳しい人か、愛犬に足りない栄養素を把握できていて、サプリメントなどを与えている人でもない限り、私はおすすめはしません。栄養不足やバランスが悪くなる危険があるからです。
今回は、そんなよくある質問、「市販のドッグフードより、手作りごはんのほうが良いのかしら?」という疑問にお答えしていきます!よかれと思ってやっていた手作りフードが原因で、愛犬が健康を損ねるなんて不幸がなくなりますように。
「手作りフード」は愛犬への愛情の証とは限りません!むしろ逆!
犬を飼っている知り合いが、「うちは愛犬のごはんは手作りしているの♪」なんて話をしていると、

わぁ~すごーい!愛だね~
と、まるで飼い主の鑑のように感じることってありませんか?普通に考えたら手間だし、人間のごはんだけではなく、犬のごはんまで作るマメさに尊敬の念すら感じてしまったり、それだけ犬を大事にしているように見えたりすることもあると思います。
しかし、本当にそうなんでしょうか?本当にそれが犬に良いことなのでしょうか?実はそれ、愛犬にとってはありがた迷惑なことかもしれません。
免責事項にも記載しているとおり、手作りフードは一時的にはありなのですが、当サイトは長期的に与えるフードとしては、手作りフードはおすすめしていません。

相応の理由があるからです
私も犬の管理栄養士の資格を2つ有しているので、手作りフードで犬に必要な栄養価を計算する(レシピを考える)ことはできます。しかし、自ら愛犬のフードを手作りすることはありません。理由は手間・面倒とかそんなことではなく、それなりの理由があるからです。
手作りフードが悪いということではありませんが、手作りフードにはメリットとデメリットがあります。それを秤にかけると結果、デメリットになることの方が多いからなんです。
それをわかってもらうためにも、まずは手作りフードのメリットとデメリットをご紹介します。
この記事でいう手作りフードはご家庭で作るもののこと
前置きとですが、ここでいう手作りフードとは、ネットで栄養士監修となっているレシピを見ながら作るものも含め、自宅で飼い主さんが独自に作るフードのことを長期的、あるいは毎日与える状態のことを指します。(少し触れたように一時的な手作りフードであれば可です)
市販されている、ペットフード安全法の条件をクリアしている総合栄養食の手作りごはんは、対象外になる項目もあるのでご了承ください。(販売できる時点で一定の栄養価水準をクリアできているため)
市販のものであっても、デメリットとして該当する話もあるのですが、トータルの栄養バランスという意味では、家庭で作る手作りフードと、メーカーが作って市場できている手作りフードはまったく異なります。そのため、市販の手作りフードを批判するような意味ではありません。
愛情たっぷり?!愛犬のための手作りフードのメリットとは?
最近ではインターネット検索や犬の専門誌で、「犬のための手作りフードのレシピ」も多数掲載されています。それを見ていると、作ってあげたいなという気持ちも湧いてくる飼い主さんも多いのではないでしょうか?
人間が食べるものと同じような美味しそうな見た目からして、愛犬もきっと喜んでくれるだろうって思いますし、なんだか贅沢な感じもして、たまにはそんな食事を愛犬に与えたくなる気持ちも、とってもわかります!
まずは、手作りフードのよさ・メリットから確認してみましょう。(※誤解を招きたくないので、前置きですが、手作りフード=愛犬への愛の証という見方はしないでくださいね。)
飼い主さんの手で選んだ新鮮・安全な食材を与えられる
市販のドッグフードには、
- ヒューマングレード(人が食べるクオリティー)の食材を使用
- 無農薬食材、肥育ホルモン剤は不使用、オーガニック
- 無添加、着色料や保存料などの添加物を使っていない
- 低アレルゲンのものでできている
などもありますが、そういった場合、フードそのものが高くなってしまう傾向があります。
かといって安価なフードの場合、
など、犬の健康のためにはあまり与えたくないフードも多数あるのが現実です。
犬の食べ物に気にかけている人にとっては、自分で選んだ食材をカスタマイズして愛犬に与えられる手作りフードの方が、安心できるのではないでしょうか?自分が厳選した食材で1から作ると、どんな食材が入っているのか把握できますしね。
安全面でいえば、手作りであれば添加物なども使用せず、できたてのものを与えられるので、安心にもつながることでしょう。
嗜好性が高く、食いつき・消化吸収率のUPが期待できる!
市販のドッグフードは、工場で高温の熱処理をして加工しているため、食材の栄養や香りが手作りフードよりも幾分だけ落ちてしまうことがあります。あくまで幾分ですが。
そのため、食いつきが悪い子にとっては、香りもよく旨味が強い、フレッシュな食材からできた作りたてのものを食べられるということは、メリットであることは間違いありません。
最近では市販フードでも、香りや栄養成分を壊さないために、低温低圧製法を採用しているフードも増えてきています。しかし、一般的な高温高圧製法よりも手間も時間もかかることから、価格も高くなってしまいがちです。

栄養価を取るか…値段を取るか…
しかし、手作りであれば温度調整も自分で管理できますし、食材の香りが飛ばないよう低温調理をしたり、栄養素を壊さないようコントロールできたりもします。
素材本来の味や栄養素を最大限に活かせるため、食いつきもよくなりますし、何より消化もスムーズにできて、胃腸に負担をかけるリスクも減りますし、
- 食いつきが悪い子(フードジプシーなど)
- 胃腸の調子が悪い子
などにとっては、なかなかのメリットといえるでしょう。
愛犬のために作ってあげる「喜び」を感じられる
手作りフードを採用している人のほとんどが、おそらく感じていることだと思いますが、「愛犬のフードを手作りしてる!」ということが嬉しいのも少なからずあるのではないでしょうか?
特別感がありますし、たしかに「愛情表現」ともいえるのかもしれません。
自然のものを使って、時間をかけて愛犬のために作っているって、愛情をかけていいことをしている感じもありますもの。

私の愛情伝わってるかしら~
人間からしたら市販のドライフードなんて、美味しそうに見えないし、独特なフード臭があって、味気なく感じることもあるでしょう。それに比べて、手作りフードは見た目も美味しそう・ヘルシーそうに見えますもんね。香りもいいし、人間的に「五感から感じる美味しそう」はクリアです。
そういった満足度としては、手間とは思いつつも、自分が作ったものを愛犬が美味しそうに食べてくれる姿を見られるのも、飼い主冥利につきるでしょうし、悪い気はしないのではないでしょうか?
愛犬にアレルギーが出る食材を排除・管理できる
愛犬に食物アレルギーがある場合、手作りフードであれば、アレルゲンを自主的に排除することができます。
というのも、せっかく良いなと思うフードに出会ったのに、愛犬にアレルギーが出てしまう食材が配合されていて、泣く泣く諦める経験をしたことがある方もいるかもしれません。
成分やフードの説明はすごい良さそうなのに、愛犬にアレルギーが出てしまって、また1から選び直さないといけない…なんてなると、飼い主さんも「この食材さえ入っていなければ…」と悔やむ気持ちになると思います。
そこで、それなら、

じゃあ、愛犬が食べられないものを省いて自分で作れば良いじゃない!
ということも、可能ですよね。
実際に色んな市販のフードを試したけど、アレルギーが出たり、すぐに飽きてしまったり、好き嫌いが多かったりすることから、もう市販は諦めて、手作りフードに切り替えたという飼い主さんもたくさんいます。
買っては食べないを繰り返して、フードを無駄にするのももったいないですもんね。市販フードでダメなら作れば良いという積極性のある姿勢や、愛犬のためにそこまでするガッツは個人的には尊敬します!(※でも、これは得策でありません。)
市販のドッグフードが入手できない時にも、手作りフードで対応できる!
みなさん、災害などでいつものフードを用意できなくなることがあるかもしれないと考えたことはあるでしょうか?
最近では、各国の有事や新型コロナの蔓延という世界的なことや、円高なども影響もあり、ドッグフードは値上がりをし続けています。フードによってはここ2、3年で1.5倍から2倍程度の価格にまで値上がりしているケースもあるほどです。
また、そういった情勢的なことのみならず、世界的な異常気象も増えて、結果、飼料の不作により、飼料も値上がり、連動してあらゆるものが値上がりしていますし。

ドッグフードも情勢・気候に左右されます
ただの値上がりだけならまだしも、この異常気象や天災、世界情勢から、物販がストップする可能性もありませんか?実際に、山林火災でフードの工場が燃えて、製造が不安定になったフードもあります。
などは、いつ起こるかわかりません。
特に、物流に関しては人間の食べ物が優先されるため、犬のごはんは二の次になってしまうことでしょう…。
そんな中でも、とりあえず食材だけでも確保できて、手作りフードのノウハウがあれば食い繋ぐことはできます。

このドッグフードじゃないと食べない!
という状況になっていると、万が一、そのフードがない状況になってしまった場合、打つ手なしですが…。手作りフードを食べられる状況があれば、そういった窮地にも対応できるので、サバイバルという意味でも、手作りフードは必要なことなのかもしれません。
手作りフードを食べることで、ドライフードよりも水分補給ができる!
補足的にお伝えしますが、愛犬が1日にどれだけ水を飲んでいるか把握していますか?食べ物の栄養だけではなく、水分の必要量も個体差があります。
そして、ちゃんと計測してみると、案外、必要量の水分を取れていない子もいるんです。もしくは、お水をあまり飲まない子・飲もうとしない子もいます。
腎臓のトラブルから水分排出がうまくいなかい状態にある子などでもない限り、水分はできれば理想量は摂取しておかなければなりません。

実は私も以前は水分量はそんなに意識してませんでした…
手作りフードは、ドライフードとは違い水分含有量も多いので、食べるだけで水分摂取ができるというのも、メリットといえます。あまり水を飲もうとしない子にはピッタリなんですよね♪
隠れ水分不足の子もいますし、シニア期になると水分をあまり取ろうとしなくなる傾向もあります。シニア期はちょうど消化器官も疲れ出す年頃なので、手作りフードの消化の良さも含め、一石二鳥といえるでしょう。
冬にあまり水分を取らない…そもそも水分をそんなに取ってない…などの場合は、ヤギミルクなどを使用して水分摂取を促すのもありですが、手作りフードで水分を摂取する作戦もありですね。
胃腸(消化器)の負担を軽減できる・胃腸を休ませられる
硬いドライフードを食べることで、消化活動が活発になることから、胃腸が常に活動している状態になる反面、手作りフード(ウェットフード)を食べるとこで、胃腸の消化活動を和らげることができます。
一部の調査では、手作りフードを食べている子の方が長生きしたというデータがあるのも事実です。ただ、これはこれからご紹介するデメリットをクリアでいてきる前提だとお考えください。市販の手作りフードでAAFCOの規定をクリアできている前提の話です。
消化しやすく、栄養素の吸収が穏やかにできるということは、胃腸が弱ってきている子にとっては有利といえるでしょう。
愛情ではなくただの自己満足かも?!手作りフードのデメリット
これまでご紹介してきた手作りフードのメリットを、180度覆すほどのデメリットも存在します。大袈裟ではなく、メリットがすべてチャラになってしまうほどのデメリットです。
これまでせっかく褒めてきた、手作りフードのメリットがすべて裏目になるほどのデメリット…。
脅しではなく本当に考えてほしいことなので、これからご紹介することは、頭の片隅にでも入れておいてもらえると嬉しいです、愛するわんちゃんのためにも…。
【超重要】ビタミンやミネラルの栄養素に偏り・不足が起きてしまう
ほとんどの市販のドッグフードは、ビタミンやミネラルが添加されています。ここでいう「添加」は、化学合成添加物ではなく、天然由来の問題なく犬が食べられるサプリメントのようなポジションの成分のことです。
ドッグフードについて何年、何十年も研究を重ねてきているフードメーカーですら、犬に必要な栄養バランスを考えていくと、天然の食材だけで満たすことはできません。
一部、ビタミンやミネラルの添加ゼロで作られているフードもあるのですが、栄養の保証成分としては、極めて低い傾向があり、ギリギリAAFCOの規定をクリアしているレベルに過ぎないものが多いのは事実です。
むしろ、パピーに与えるのか成犬に与えるのか、シニア犬に与えるのかによっては栄養が足りないこともあります…。つまり、本当に天然の食材だけでビタミンやミネラルまでバランスよく配合するのは、極めて難しいことなんです。手作りフードでは到底無理だと思ってください。
フードメーカーですらそれができないから、あえてビタミンやミネラルを添加しているわけで、自宅でやろうとしたら、かなりの栄養学の知識がある人でも相当難しい話ということなんです…。
手作りフードで詳細のビタミン・ミネラルのバランスまで計算して、足りない分の栄養素は添加しよう…なんて、研究施設でももっていない限り、相当、栄養学に詳しい人でなければ簡単にできることではありません。

必ずなにかしらの成分バランスが崩れます…
- 手作りで天然のものを食べている
- 添加物を一切使用してないものを食べている
- 毎日飼い主さんの愛情たっぷりのものを食べている
と思うと、とっても愛されているわんちゃんのように思えるかもしれませんが、手作りフードを長期的に与えるということは、栄養バランスという意味では、非常に偏ったごはんを与えていることになります。
愛犬が若いうちはまだいいのですが、歳を重ねるごとに、特定の栄養素が欠落する状態が続いてきたわけですから、必ずなにかしらの不調が出てしまうと思っておいた方がいいかもしれません…。(もちろん、なんのトラブルもない子もいます!)
ネットに出てくる手作りフードレシピは長期的に与える前提ではない
インターネット・雑誌などで紹介されている、愛犬の手作りフードレシピは、長期的に与えることを前提としているものではありません。
一回のごはんとして、もしくは不調などのケアが目的の場合は、その症状が軽減するまでを前提に考えられたフードに過ぎないので、栄養バランス的には長期的に与えるのは不向きです。これは、毎回レシピを変えて作っていようが関係ありません。
今の時代、インターネットで調べたら、たくさんの手作りドッグフードのレシピが公開されています。

どれも美味しそうに見えるよね~
たまに気分転換で手作りフードを与えてみたり、お誕生日などちょっと豪華にしてあげたかったりと、なんらかの理由から手作りフードを与える機会には、サッと調べて作れるのでとっても便利ですよね。
しかし、そんな特別感・愛情たっぷりに見える手作りフードですが、お伝えしているように、それだけを毎日食べ続ける前提として公開されているレシピでもありません。
そのため、長期的に手作りフードばかり食べることによって、栄養をバランスよく取れなくなってしまいます。確実に栄養バランスに偏りが出てきてしまうので、メインはあくまでドッグフード、プラスアルファで手作りフードもありというスタンスでいた方がよいでしょう。
病気を緩和させる「療法食」を食べたがらなくなる危険があり
愛犬になんらかの不調があり、獣医師の判断により療法食(一般的なフードではなく、病気や不調を治療するためのフード)を与えるように指示をされることがあります。
これは、栄養の配合を変えたり、原材料を変えたりされた、症状の軽減のための専門フードといいましょうか。健康な犬が食べるものではない特殊なフードなので、一般的なフードとはかけ離れた配合や原材料になっているのです。
手作りフードの嗜好性の高さに慣れてグルメになってしまい「他のフードなんていらない!」とする子も実は多くて、そのレベルになってしまうと、病気を緩和させるための療法食すら食べようとしなくなる危険もあります。

療法食を食べないのはかなり厄介
食べ物を替える(気をつける)だけで、症状を軽減できる病気や不調もあるので、できれば療法食で上手に体質改善をしていきたいところです。普段食べているものとはまったく異なる療法食ですから、いざ与えてみても、食べたくないアピールをしてしまいます。
手作りフードと並行して市販フードも与える、食いつきが悪い時に少し手作りフードをトッピングをする程度に抑え、市販フードに対する抵抗を減らしておかないと、何かトラブルがあって療法食を獣医師から出されても、食べないという最悪の事態を招きかねません。
療法食を出されるということは、普段の食事通りには食べられない・食べさせない方が良いタイミングということ。それを食べない(食べたがらない子に仕立て上げてしまう)と、愛犬にとっても飼い主さんにとっても、良いことはないのではないでしょうか。
相当な栄養に関する専門知識がない限り、簡単にできることではない
先ほどお伝えしたように、手作りフードで詳細のビタミン・ミネラル分のバランスまでしっかり把握して作ることは、栄養学のスペシャリストか、成分の研究施設を持っているような人でしかできません。
さらに、天然の食材だけで愛犬に必要な成分を、全体的にバランスよく配合するなんて到底無理なことです。必ず、ビタミンやミネラルのサプリメントは入れてあげる必要があります。サプリメントを使用するにもなにがどのくらい足りないか知っている必要があるわけで…。
しかし、すべてを把握した上で、かつ、不足する成分をしっかりバランスよく添加してあるのが市販のドッグフードの良いところ!(販売にはペットフード安全法が定める栄養基準をクリアしなければなりません)

トータルバランスという意味では手作りフードより上!
もちろん、市販のフードでも、
はあり、それは避けるようにしなければなりません。
しかし、市販できるというとこは、AAFCOの基準をクリアしているからこそ、販売する許可が与えられているわけです。一方、手作りフードはAAFCOの基準なんて関係ありません。
愛犬に必要な栄養素をしっかりクリアできる手作りフードなんて、極めて難しいこと・ほぼ不可能という考えでいた方が良いと思います。相当な知識が必要です。

よさそうだけでやるのは自己満足かも…
さらに、食材それぞれの性質も気にしないといけません。たとえば調理法。高温で調理すると熱に弱い栄養素は壊れて、思う通りの栄養を保てないこともありますし、長時間茹でると、食材の栄養素が流れ出てしまうこともあります。
低温調理(食材の栄養素を壊さない調理法です)をする環境は整っているでしょうか?時間がかかる調理法をする覚悟はあるでしょうか…。
挙げればキリがないくらいですが、食材そのものも特性や調理法の知識を持ち合わせていなければ、手作りフードなんて本当に容易にできることではないのです…。
とにかく手間!しかも、日持ちしないし継続が難しい上にコストもかかる
手作りフードは毎日手作りしているという人もいるでしょうし、作り置きして冷凍しているという人もいると思います。もちろん、それは悪いこととは言いません。
しかし、毎日作っている人の場合、もし…
- どうしても体調を崩してしまい、作れる人がいなかったら…
- 食材の買い忘れがあったら…
- 急用ができて作れないタイミングがあったら…
- 高温多湿な日本ですから、ちょっとした隙に菌がついてしまったら…
冷凍保存の場合、もし…
- 長期停電が起きてしまったら…
- 手作りフードの在庫を切らした時に限って、飼い主さんが体調を崩していたら…
- 冷凍保存の管理状態が悪く、フードが傷んでしまったら…
- 冷凍庫に空きがなくなっていたら…
こう考えてみると、手間や心配事など、デメリットになることもあるものです。
そもそも手作りフードは日持ちしないので、定期的につくらないといけませんよね。こういった突発の時、冷蔵庫・冷凍庫に空きがない時のことを考えておく必要があります。
そして、ちゃんとバランスよく配合しようと思うとあれもこれも必要…ということになり、コスパ的には結果的にドッグフードより割高になってしまうケースも…。

安い食材は農薬たっぷりかも?
食材にそれなりにこだわったり、愛犬に必要な栄養を取らせようとすると、肉に魚、野菜にサプリメントなど、とんでもない量の食材も必要になります。
愛犬のために、そこまで考えて作り続けていく覚悟はあるでしょうか。
愛犬が喜んで食べるから…愛犬が偏食するから…と手作りフードになっている人もいるのは重々承知ですが、手間は愛でもある反面、栄養不足になる上に、飼い主さんの負担にもなりかねないので、無理してまで与える必要はないと考えています。
愛犬のグルメ化!フードジプシー・フード難民を加速させてしまうかも…
先ほど少し触れましたが、食いつきにお悩みの方、好き嫌いにお悩みの方が、手作りフードに至っているケースもあります。メリットでお伝えしたように、手作りフードは香りもよく嗜好性が高いので、犬の食欲の本能を刺激することにもつながりますからね♪
しかし、食べない・好き嫌いが多いからといって、手作りフードに寄せてしまうのは実は、かえって好き嫌いを助長してしまったり、食に対するわがままさを加速させてしまったりすることもあるのです。
それは、手作りフードの嗜好性の高さゆえでもありますが、飼い主さん自身が愛犬の偏食を助長させている状況にもなりえるわけで…

もうこれ飽きた!他のもっと美味しいの出して!

また食べなくなった…次は何をあげよう…
というように、飼い主さんが愛犬に寄せすぎることにより、もっともっと!という習慣を愛犬に着けてしまうのです。
食べないというのは、飼い主さんとしても一番心配なことだと思います。命に関わることですもんね。「どうにかして食べてくれるのであればなんでもします!」という気持ちは、同じ犬を飼う人としてもわかります。
でも、食べないのであれば、まず、食べる工夫をしてあげる必要があります。それをしないで、とにかく愛犬が食べるものを!と探しているようであれば、愛犬は「イヤイヤしたら、違う美味しいの出てきた!」ということを覚えてしまうのです。

もっと美味しいもの出さないと食べません!
と、要求をする(=食べない)ことで、食べたいものを出してくれるという考えができて、超グルメ犬に育ってしまいます。
アレルギーなどのいたし方ない理由なら、フードを替えるほか仕方ないこともありますが、アレルギーでもないのにただ好き嫌いをするからというだけで、手作りフードに至ってしまっていると、本当に食べられるものがなくなってしまいます…。
大好きなもの(おやつなど)しか食べないなんてなってしまうと、栄養バランスが崩壊して、シニア期以降の衰弱も他の子以上に早く進み、結果可哀想な目に遭わせてしまう危険も…。手作りフードは愛情と見せかけた表裏一体のものです、いいものという考えはしないようにしてください。
手作りフードから水分がとれるため、逆に水分補給をしなくなる危険も…
先ほど手作りフードは水分補給ができるとお伝えしましたが、反面、それがゆえに、余計に水分を取ろうとしなくなる可能性もゼロではありません。
本来、水は水でしっかり取る必要がありますし、生きるために絶対的に必要なものです。
しかし、中途半端にフードから水分が取れてしまっているがために、逆に水をあまり取らない子に仕立て上げてしまうことがあります。

食べ物から取れてるから飲まないでいいや
犬としても、それなりに水分が取れている感覚になってしまい、飲まなくても大丈夫という感覚になってしまうのです。
そうなってしまうと、今度はただの水では水分を取ろうとしないことに繋がり、水入れを置いておいても興味を示さなかったり、犬用ミルク・ヤギミルクなど嗜好性のある飲み物じゃないと興味を示さなかったりしてしまうことも…。
犬に必要な水分量の計算方法もあるので、気になる方はご連絡いただければお伝えします!あなたの愛犬はしっかり水分を取れているでしょうか?手作りフードで水分不足になっていないか、確認してあげてください。
市販の手作りフードはOK!栄養添加もバッチリなのでおすすめ♪
前置きにご紹介したとおり、市販の手作りフードもあります。市販で販売されているもの(ご家族で作ったものではないもの)は、栄養価もしっかりしているので、与えて大丈夫です!
ただし、あまりの嗜好性の高さから手作りフードを甘え続けていると、ドライのドッグフードを食べなくなる危険があるのは同じです。そして、市販の手作りフードはなかなか高いというのも頭の片隅に置いておいていただければ。

美味しいからもっと食べたい!
ちなみに手作りフードはカロリーが低めなので、かなりの量を食べさせないと、1日に必要な栄養価が摂取できません。つまりかなりのコスパ悪めなフードになることでしょう。。
そして何度も言いますが、あまりの嗜好性の高さですから、シニア犬や病後などで食欲があまりわかない時などに与える程度でいいと思います。普段からこんなの食べてたら、いざ本当に食べなくなってきた時に与えるものがなくなってしまうからです。
こういった手作り系のフードは、なんかあった時の最終兵器として考えておいた方がいいかもしれませんね。
相当な理由がない限り手作りフード一択は避けた方が良い!
これまでの解説のとおり、漠然と、手作りフード=良いものと考えるのは、危険です。
メリットとデメリットを加味した上で、採用するようにしましょう。
- 歯が弱くて粒のフードが食べられない
- シニア犬で食が細くて手作りフードしか…
- アレルギーがあまりに多くて…
- 病気をしてしまって…
など、相当な理由がない限り、手作りフードだけで生活することは避けた方が良いです。

特別な日にちょっとだけ贅沢に♪
というくらいなら全然OKです!消化も楽で胃腸の負担も軽減できるメリットになります♪
ですが、食べないから、好き嫌いをするから、など正当な理由がなく、市販のドッグフードを与えないということは個人的にはおすすめしません。
そう考えると、栄養価のバランスのあったドッグフードを愛犬に与えるのが一番ではないでしょうか。

絶対と考えるのではなく上手に付き合って考えていこう
なお、手作りフードに関する考え方は賛否あります。獣医ですら手作りフードを推奨する人もいますが(そういう本を読んだこともありますが)、それは違うんじゃない?という危険なことを書いている方もいました。
ヴィーガンの人がいたり、ベジタリアンがいたり、グルテンフリーを推奨している人、薬膳の考えを推奨する人、プラントベースな人など、それぞれの方が好きな考え方は違います。
あくまで考え方は人それぞれあって良いので、ご自身が良いと思うものを採用したらいいと思いますが、「こうやるのが一番いい方法だ!」と信用し過ぎることなく、愛犬に合う考え方を採用していきましょう。
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