犬にNGなキシリトールを含む食材とは?キシリトールとの正しい向き合い方

ドッグフードの知識・選び方

ご存知だと思いますが、キシリトールは犬の禁忌とされる食材です。そのため、キシリトール配合のアイテムに手を出さないよう気を付けている飼い主さんは多いとは思いますが、市場には今もキシリトールを含む犬用のアイテムが出回っています。

ただ、そういったものを与えないのは重要なのですが、犬に与えがちな野菜やフルーツにも、キシリトールを含んでいるものがあることをご存知でしょうか?

え!結構愛犬に与えてたんだけど?!

というような、ネット記事などでも犬に与えて良いとされている野菜やフルーツにも、実はキシリトールを含むものが多々あります。そこで、今回は、

  • 犬がキシリトールを食べてしまった時に起こる症状
  • どのくらい摂取してしまうと危険なのか?(キシリトールの摂取量について)
  • 万一、食べてしまった時の対処法
  • キシリトールに特に注意が必要な犬の特徴
  • 意外にもキシリトールを含む野菜やフルーツ

について考えていきます。

なお、いろいろ書いてありますが、犬の個体差もありますし、愛犬の体質に合うやり方を教えてほしい・相談したいという方はお気軽にお問い合わせください。( 当サイトのアドバイスは有料です

お問い合わせ・ご相談はこちら

そもそも「キシリトール」ってなに?どういった物質なの?

キシリトールは、もともとは天然(自然の中にも存在する)の甘味料(糖アルコール)です。天然とはいっていますが、市場に出回っているキシリトール製品は、人工甘味料に該当します。天然のものを素材として、人工的に生成されているためです。

糖アルコール(キシリトール以外の糖アルコールを含む)には、

  1. 唾液(よだれ)の分泌を促し、口腔内の細菌を洗い流す
  2. カルシウムと結合して、歯の再石灰化(歯のエナメル質の修復・強化)を促す
  3. 虫歯の菌といわれる「ミュータンス菌」の活動を弱める
  4. 甘味があるのに、体内に糖分として吸収されにくい

などの効果・作用があります。1~3の作用のおかげで、歯のケアのためのアイテムとして有効とされているのですね!(4については追って紹介します)

糖アルコールにも種類がいくつかあるんだよ

通常、食事をすると、口腔内の細菌が食べ物の糖を分解して酸を作り出すため、酸性が強くなるのですが、この、酸が歯のエナメル質(歯を保護するバリア)を溶かしてしまい、虫歯を進行させる環境になってしまいます。

反面、唾液は弱アルカリ性の性質があり、口腔内の酸性とアルカリ性が中和され、歯が守られるのです。

虫歯を防ぐための「中和」と「ケア」がカギ
口の中が酸性になったとしても、唾液の働きによって中和され、歯の表面は「再石灰化(修復)」されます。このバランスが保たれていると、歯の溶けにくい・虫歯になりにくい環境となります。しかし、酸性の状態が長く継続することや、再石灰化が間に合わない場合に虫歯が進行していきます。そういった際には以下のような対策が効果的です。

・キシリトール入りガムで唾液分泌を促進
ガムを噛むことは、口の中を中性に戻すための効果的な方法です。ガムを噛むことで唾液の分泌が促進され、口の中のpHが中和されます。特に人工甘味料であるキシリトールは砂糖ではなく虫歯菌の餌にならないため、安心です。

引用元:青山クオーツデンタルクリニック

だから歯のケアに良いといわれてるのね

長々とキシリトールの作用を紹介しましたが、シンプルに、キシリトールには虫歯になるメカニズムを阻止する働きがあると思っていたらOK!余談ですが、食後に水を飲むと、食べかすや歯についた糖分を洗い流せるので、虫歯の予防として効果が期待できますよ。

また、直接歯には関係ない話なのですが、上記で挙げた4つ目の作用について。

糖アルコールは小腸で体内に吸収されにくい特徴があります。そのため、血糖値に影響することがほとんどありません。ですので、糖質の制限が必要な糖尿病や、肥満・血糖値の乱高下の予防に貢献する甘味量としても利用されることがあります。

 

 

なぜ犬にキシリトールを与えてはいけないの?どんなことが起きる?

先ほどのキシリトールの説明で、「キシリトールは糖として吸収されにくいので、血糖値コントロールにもいい」というお話がありましたが、これは人間・猫・うまの場合の話です。犬・牛・ラット・山羊においては、実は真逆の作用が起こることがわかっています。

大事なお話なので、少し長くなってしまうのですがお付き合いください。

人間の場合、砂糖などの糖類を摂取すると小腸で体内吸収され、膵臓から分解されるインスリンで分解され、体に必要なエネルギーに変換されて、体内に送り出されるというメカニズムになっています。

知っておいて損はないお話です!

しかし、糖が多すぎるとインスリンの分泌が追いつかなくなったり、過剰に出し過ぎてしまったりして、その結果、

  • 高血糖(血糖値が高い状態)
  • 血糖値の乱高下が起きて血管を傷つける血糖値スパイク低血糖
  • 体内で余った糖が尿にまで出てきてしまう糖尿病

などになってしまう危険があるのです。

そういった作用が起こるからこそ、人間にとっては、砂糖を糖アルコール(砂糖と同等の甘さを持つキシリトールや、エリストリール、マルチトール、ソルビトールなど)で代用すると、血糖値コントロールに役に立つといわれています。

犬においてはどうなの?

しかし、犬においては人間とは逆に、犬がキシリトールと摂取すると、膵臓からインスリンを出す働きを促進させてしまい、過剰に分泌させることがわかりました。人間の場合は、インスリンの分泌を抑えられるのに対して、犬の場合はそうはなりません。

大量にインスリンが分泌され、一気にインスリン濃度が上がると、今度は血糖値が急降下して低血糖に陥ります。摂取量にもよりますが、摂取後30分~1時間ほどで低血糖の症状が出る危険がありますので、その時には症状がなかったとしても、しばらく注意が必要です。

なお、キシリトール以外の糖アルコール(エリストリール、マルチトール、ソルビトールなど)では、この症状は起きません。万一、糖尿病などで、犬に糖質制限をする必要がある場合には、甘味はキシリトール以外の糖アルコールで取らせるようにしましょう。

 

 

キシリトール中毒を起こした場合、犬にどんな症状が出るの?

一気にインスリンが分泌され、高濃度になったのち、一気に低血糖に陥るというお話がありましたが、この状態をキシリトール中毒といいます。

キシリトール中毒になると、具体的には…

  • 低血糖:フラフラ・嘔吐・痙攣・ぐったりする・意識障害
  • 肝壊死(肝臓の壊死)・急性肝不全:肝機能が停止する

など、命にかかわる状態になりかねません。

パピーや小型犬、もともと病弱な犬、老犬などの場合は、低血糖だけでも死に至る危険があるので注意しなければなりません。

舌や肉球が白くなったり、体が冷えたりしていたら注意!

一般的に肝臓は沈黙の臓器と言われています。症状が出ている=すでに進行してしまっている可能性がありますし、キシリトール中毒から引き起こされた肝臓の障害・トラブルは、摂取から数日後に発症するケースもありますので、油断は禁物です。

さらに、膵臓も肝臓に次ぐ沈黙の臓器と呼ばれる臓器であり、同じく、血液検査などで数値の異常が出ていたり、なんらかの症状が出ていたりする時点で、すでに病状が進行している危険があります。

インスリンの分泌は膵臓からおこりますので、キシリトール中毒のようにインスリンの過剰が続いてしまうと、膵臓にも負担をかけかねません。絶対に独自で判断せず、必ず獣医に診てもらうようにしてください。

 

 

犬はどのくらいの量のキシリトールを摂取したら中毒症状が起きる?

心配なのは「どのくらい摂取したら危険なのか?(摂取量・危険量・致死量)」についてではないでしょうか?

これは、あくまで目安にすぎませんので、“参考までに”として考えてほしいのですが、

  • 体重1kg当たり0.1~0.5gでキシリトール中毒に(1kgあたり100mg~500mg)
  • 体重1kg当たり0.075 ~ 0.1gで低血糖を引き起こす(1kgあたり75mg~100mg)

といわれています。

ただし、どのくらい摂取すると致死量となるかについては、明確にはわかっていません。というか、明確化することはできません。

犬の体質によっても違うからね!

というのも、キシリトール中毒に関しては個体差があり、それ以上摂取しても問題がなかったというケースもありますし、体質やその時の愛犬のコンディションによっては、もっと少なくても危険度が増す可能性もあるからです。

ちなみに、人間が歯のケアとして食べているようなキシリトール系のガムには、1粒に1.3g程度のキシリトールを含有しているとされています。(メーカー・商品によっても前後はあります)

つまり、3kg~4kgほどの体重のわんこが、誤って飼い主さんのキシリトールガムを口にしてしまったとしたら、それだけでキシリトール中毒になる危険があるということです。10kgのわんこであっても、低血糖を引き起こす可能性もあります。重々ご注意ください。

 

症状が出ない子もいる?特にキシリトールに注意をしたほうが良い子とは?

まず、たとえめちゃくちゃ元気で、誤食などをしてもこれまでになんの心配もなかった子や、アレルギーなどもなく丈夫な子であっても…どんな子であっても、キシリトールを含むアイテムには注意してください。

少量だから大丈夫だろう!

など、油断していい話ではありません。特に、

  • 超小型犬(あくまで目安ですが3kg以下など)
  • もともと膵臓に不調が見られる子
  • 肝臓に心配がある子(血液検査で引っかかったことがあるなど)
  • シニア(老犬)やパピーなど、全体的に体力や免疫力が弱い世代

などの場合は、いっそう注意したほうがいいです。

さらに、先ほど少し触れましたが、すぐに症状が出ていないからと油断しないようにしてください。キシリトールによる体内への影響は、摂取から数日経ってから遅れて出てくることもあります。

繰り返しになりますが、個人判断することなく、キシリトールの誤摂取に気づいた時点で、すぐにかかりつけ獣医に相談するようにしましょう。

 

愛犬がキシリトールを摂取してしまったらどう対処すべき?

これまでにもくどいほどお伝えしていますが、愛犬がキシリトールを摂取してしまったら、すぐにかかりつけ獣医に相談してください。

ちょっと様子を見よう…と思うかもしれませんが、これまでの解説のとおり、キシリトール中毒は、時間とともに悪化していく危険や、新たな症状が出てくる危険があります。

一時的な低血糖だけで終わる可能性もゼロではありませんし、低血糖から復活させるための応急処置として、愛犬の意識があるようであれば、砂糖を溶かした水分を取らせるなどの方法を紹介しているサイトもありますが、あくまでそれは急場しのぎの対策です。

必ず獣医に診てもらってください

意識がないような低血糖の症状が出ている場合には、砂糖水を摂取させることが誤嚥につながる危険もあるので、そういった対処はせず、ただちに獣医に連れて行く(もしくは、電話などで指示を仰ぐ)ようにしてください。

低血糖の初期症状は、ただ疲れているだけなのか、ただ具合が悪いだけなのかとの区別がつきにくいものが多いです。少し進行すると、血流の障害が起きることから、体が冷えてきたり、舌や肉球が白くなってきたりすることがあります。

また、肝不全の初期症状もわかりにくいのですが、進行とともに、食欲不振、鼻血や嘔吐、痙攣、お腹が膨らむ腹水の症状などが見られる傾向がありますので、獣医に連絡する際には、そういった症状の有無も伝えられるようにしておきましょう。

 

 

なぜ今も市場にキシリトールを含む犬用製品が出回っているの?

こんなにも危険なキシリトールを含む犬用のオーラルケアアイテムですが、なぜ今もなお市場に出回っているの?という質問を受けたことがあります。たしかにそうですよね!

はじめに結論からお伝えしますと、現時点での日本では、

  • 今、手元にあるもの(すでにストックで持っているもの)までは販売OK
  • ただし、なくなってしまえば新たに製造・販売するのは禁止する

ということになっています。でも…まだかなり出回っている印象がありますし、まったくもって犬用アイテムのキシリトール配合シリーズが消える様子もありません。。

その理由のひとつに、キシリトールが犬にはだめということを知った飼い主さんが増えているので、「今、手元にある在庫」自体が減らないということもあるのでしょう。

売られているからって買わないようにね!

それ以外にも、日本のペットフード安全法では、ペットに害があるものを入れて販売することが禁止されてはいるものの、人間にとって害がないものに対しては、「犬に与えるのは危険です!」というような表示をさせる義務は定められていません。あくまで、自己責任ということです。

つまり、すでに販売されているものに関して、販売側は「キシリトールは危険ですよ~」なんて説明する必要もなく、犬へのキシリトールの危険性を知らない無知な飼い主さんが購入してくれたら、ラッキー!もうけもん!というわけで…。

歯磨きを嫌がる・苦手な犬は多いもので、飼い主さんも愛犬の口腔ケアに苦戦している方も多いのではないでしょうか?そういったきっかけから、キシリトールは犬には危険ということを明記していない商品を見て、

人間の歯のにもいいんだし、犬にもいいんだろう!

という方が出てきてしまってもおかしくはありませんよね。

そもそも、なぜ犬用のキシリトールアイテムが販売されるようになったのでしょう?それは、まだ犬にキシリトールがよくないとわかる前のこと。人間の歯にいいなら、犬の歯にもいいのだろうと考えたアメリカの企業があり、犬用のキシリトール商品を販売するようになりました。

日本でも、キシリトールが歯に良いということで1997年頃にキシリトールのガムが登場した時には、話題になった記憶があります。

95年には「芸能人は歯が命」のCMがありましたな~

そして時が流れ…犬に与えてはいけないということがわかってから、アメリカではすでに製造も販売も禁止されています。しかし、4毒抜きの話で少し触れましたが、日本はアメリカの不用品の引取的な存在でもあり…アメリカで禁止されたなら、販売できる国に押し付けたらいいわけです。

犬用の舐めるだけの歯磨き粉、歯磨き効果があるパウダーなんかもありますが、中にはキシリトールを含むものがいまだにあります。原材料をしっかり確認してから購入するようにしてください。

そしてその前に、歯磨きは大変な作業かもしれませんが、日々のトレーニングで、プラスアルファの歯のケアアイテムを取り入れずとも、歯磨き(ブラッシング)そのものができるようなることを目標にしてください。

 

 

犬に与えがちな野菜やフルーツにもキシリトールを含むものがある!

ふだん犬のおやつとして与えがちなフルーツや野菜などにも、キシリトール含有のものがあるのをご存知でしょうか?先に一覧にしてご紹介してみます。

食材 キシリトール含有量/100g乾燥重量 ※1
イチゴ 0.2gから0.6g
ラズベリー 0.2gから1.0g
カリフラワー 0.1gから0.9g
ほうれん草 0.97gから1.0g
バナナ 0.1g程度
レタス 0.05gから0.13g
なす 0.05gから0.18g
人参 0.08gから0.1g
チコリー 0.25gから0.7g ※2
※1.参考にする情報源によっては多少の前後はあります。(品種や部位、原産国なども異なるため)
※2.ドッグフードにも水溶性食物繊維として配合されていることが多い

うちの子めっちゃ食べてますってものありませんか?

案外、ドッグフードに配合されていたり、おやつに配合されているものが多いのがおわかりいただけると思います。

ただし、100gあたりでいうと1gにも満たないレベルです。そのくらいであれば、体に影響することはありません。おやつとしてラズベリーを100gも食べるような子、与えるような飼い主さんはいないでしょうし。

ですので、上記のようなキシリトールを含むものを愛犬に与えていたとしても、大騒ぎする必要はありませんし、また、キシリトールが含まれているとはいえ、これらを食べたとひても、歯磨き効果はありません。

こういったものが配合されているフードを避ける必要もありません

しかし、フードで食べる量くらいであれば大丈夫とはいえ、お伝えしてきたように

  • 超小型犬(目安3kg以下)
  • 膵臓に不調が見られる子
  • 肝臓に心配がある子(血液検査で引っかかったことがあるなど)
  • シニア(老犬)やパピーなど、全体的に体力や免疫力が弱い世代
  • 血液検査などで肝臓や膵臓などの数値がよくない子

などに、おやつとしてプラスアルファで与える場合には注意は必要です。

なぜなら、いくらキシリトール含有量が少ないとはいえ、「旬のものだから♪」「うちの子、大好きなのよね!」「おいしいものを食べさせてあげたい!」「ほしそうにしてるから」と、毎日与えていたり、量を多く与えてしまっているケースが多いから。

ちりが積ればなんとか…とはよくいったもので。

たしかに、添加物や質の悪い油脂などをたっぷり使用しているおやつに比べると、野菜やフルーツであれば、自然のものだし、人間も食べるものなので安心という気持ちはわかるのですが、こういったフード以外に与えたおやつによって、不調をきたすワンコもいます。

一般的に良いといわれる野菜やフルーツの「メリット」だけフォーカスしたり、インターネットの犬向けサイトなどで「犬にも与えていい」などの紹介を鵜吞みにしたり、人間と食べ物を共有する喜びを抑えられなかったりして、愛犬を苦しめてしまっていないでしょうか?

見るべきは、メリットではなく、むしろデメリットです。デメリットも加味した上で、愛犬には与えていいのかどうかをしっかり見極められる飼い主でいられるよう、知識をしっかりつけておきましょう。

 

 

正しいキシリトールの知識を持って、正しく恐れましょう!

キシリトール=犬にとっては悪!という考えは間違いではありません。ただし、今回ご紹介したように、一般の食材にもキシリトールを含むものはありますし、摂取量や体質によっても危険度は異なります。

もちろん、犬に良いものということではないので、徹底排除したいという方は排除してもいいと思いますが、間違った知識で一生懸命こだわっていても、なんの意味もありません。

  • 人間用のキシリトールを含む歯磨きガムを愛犬が口にしてしまうことのないよう
  • 市販のキシリトールを含むアイテムを愛犬に与えないよう

という2点には注意して、正しく理解して、正しく恐れて、キシリトールと向き合っていきましょう。

タイトルとURLをコピーしました