鹿肉・猪肉などのジビエと馬肉などの新奇たんぱく源…結局犬にはどれがいい?

ドッグフードの知識・選び方

最近、「ジビエ」「狩猟」という言葉をよく耳に(目に)しませんか?実際に、ジビエを売りにした食事(人間用)を提供するお店も増えてきました。反面、野生動物の住宅地への侵入も問題化しつつありますが…。

同時に、これまではチキン・ビーフ・サーモンが主流だったドッグフードも、ジビエを使用しているものが増えてきていて、輸入フード・ドッグフードメーカーも増えると同時に、聞きなれない動物のお肉(日本ではなじみのないお肉)を使うフードも増えました。

しかし、増えたら増えたで、なにの肉がどういう子にいいのか?どういいのか?など、その主原料とされているお肉の特徴がわからない・結局どれをを選べばいいの?という声も増えています。馴染みのないお肉だと、余計に心配になることでしょう。

何肉がどういいのかしら?結局どれよ?

メディアでは、「〇〇肉は鉄分が豊富で低脂質!」などといった、漠然としたその肉の良い面を伝えるので、見る側も、漠然と「へ~。よさそう」と感じる伝え方になっています。それに、新たな食材のドッグフードを見ると、興味を持つ飼い主さんもいるでしょうし。

しかし、表面的によさそうというだけでドッグフードを選ぶのはおすすめしません。そこで今回は、実際に使用されがちなジビエ肉の栄養素や、珍しい肉(新奇たんぱく質)の栄養成分についてまとめました!

愛犬の健康にも関係する「食べ物」です。正しく理解して、愛犬に合うものを選べる知識をつけましょう!なお、いろいろ書いてありますが、犬の体質には個体差もありますし、愛犬に合うものを教えてほしい・相談したいという方は、お気軽にお問い合わせくださいね!

お問い合わせ・ご相談はこちら

 

ドッグフードに使用されることが多いジビエ肉の種類と特徴

ジビエとは狩猟で仕留めた天然の野生鳥獣の食肉を意味すフランス語です。猟師が仕留めた動物のお肉のことを指します。

日本のドッグフードメーカーが、国産ジビエ(=猟師が実際狩猟でとった獲物)を使って総合栄養食を作るのはとても大変なことなので、実践しているところは少ないのが現状です。(おやつなどはあります)

昨今の日本では、アウトドアブームと共に、遊びのハント的な意味での「ジビエ」「狩猟」という言葉がひとり歩きしてる感じもあり、ちょっとしたハヤリのようになっていますが。それはそれで、少し違うかな…という面もありつつ。

はやりで終わらせないことが大事!

本来は、生態系のバランスを守るという意味もあり、その分、狩猟でえた野生動物の命を無駄にしないという考え方のもと、猟師料理として食したり、犬用ジビエジャーキーなどとして販売されたりするようになっています。

前置きが長くなりましたが、この記事で、ジビエを流行り(真新しものへの興味)・なんとなく良さそうという概念だけで終わるのではなく、そのジビエ肉の特徴・強みを理解して、愛犬の食生活に取り入れる知識をつけるきっかけになればと思いました。

今回は日本で購入することができるドッグフードで使用されているジビエの、それぞれの肉の栄養価についてご紹介していきます。特徴がわかりやすいよう、一般的なフードの主原料に多い、チキン(鶏肉)の栄養価と比較していきますので、ぜひ参考にしてください!

比較する肉の栄養価の条件・前提は?

なお、比較する肉の栄養価の条件・前提として一定の条件を決めておきたいと思います。

  1. むね肉・皮なしの生肉の栄養価と比較する
  2. 100gあたりの栄養で比較
  3. カロリー、アミノ酸スコア、たんぱく質量、脂質量と、紹介するお肉の特徴的な成分・強みとなる成分の数値2つ

アミノ酸スコアとは、犬に必要なたんぱく質がとれるものかどうかを数値化したもののこと。100となっているのが理想です。

なお、採用する数値は以下の文献などを参照します。

日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)アミノ酸成分表編
文部科学省・食品成分データベース
日本食品標準成分表  他

 

鹿(鹿肉)・ベニソンの栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

ジビエの代表的存在として、昨今、市場でよく見かけるのが、鹿肉(ベニソン)フードです。鹿肉ジャーキーや、鹿角をはじめ、フードの種類も増えてきています。そんな鹿肉の栄養はどのようなものがあるのでしょう?

まず、一般的によく言われることですが、良質なたんぱく質も含んでいて、低脂質という特徴があります。そして、鉄分やビタミンB群が豊富ということも特徴です。

先に、比較表を確認してみましょう。

鹿肉 鶏むね肉
カロリー 102kcal 113kcal
アミノ酸スコア 100 100
たんぱく質 22.3g 24.4g
脂質 1.5g 1.9g
鉄分 3.1mg 0.4mg
ビタミンB群 11.51mg 15.36mg

今回はアカシカ(海外の鹿)の情報を記載しています

なお、上記の情報は、鹿の種類によっても多少の数値は異なります。ニホンジカ、エゾシカなどでも異なるので、購入する際には原産国や鹿の種類も注意してください。

鹿肉の特徴にもなっている、鉄分やビタミンB群の働きは以下のとおりです。

  • 鉄分は健康な血を作り、酸素を体に運ぶ役割があるミネラル成分
  • ビタミンB群には皮膚の健康維持、疲労回復や成長にも関係する成分

なお、鉄分が多いとはいっていますが、市販のドッグフードを食べていたら、鉄分は十分に摂取できるので、鹿肉にこだわらなくても、鉄分が欠乏する心配はありません。また、鉄分の過剰摂取は肝機能トラブルの原因になります。

そのため、のみ・ダニの寄生などから鉄分の欠落し貧血状態になっている場合や酸素不足、術後などでもない限り、重視しなくても良いといえる成分です。また、ビタミンB群を多く摂取したことによる中毒などは報告されていません。(お薬を飲んでいるなどの場合は除く)

こうやって見てみると結石リスクは高いかも…。

上記を踏まえた上で、鹿肉のフードは、

  • チキン(家禽類)にアレルギーがある子
  • 少し体重を減らしたい子
  • 皮膚炎など皮膚トラブルを抱えている子

などに、おすすめといえるでしょう。

また、鶏肉よりも鹿肉の方がアレルギーリスクが低いので、チキンにアレルギーがあるわけではないにしても、アレルギーリスクが低い主原料(お肉)でフードローテーションをしたいと考えている人にもいいと思います。

 

猪(猪肉)・ワイルドボアの栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

日本でもボタン鍋などイノシシ肉を使った食べ物がありますが、海外的にもイノシシ肉は食べる文化があります。みなさんは食べたことがありますか?実際に、イタリアなどではイノシシ肉が特産の州もありますし、猪を主原料にしたドッグフードも販売されています。

人が食べる場合、豚よりもヘルシーで弾力があって、時期の良いものだと豚よりも味も濃厚で旨みが強いと言われ、実際に私も食べることがありますが、良い時期のものだと本当に美味しいんですよね。

ただ、犬には旨味だの食感だのは関係ありません。ですので、栄養成分の事実だけでお話をしてきますと、鹿肉と同様、ビタミンB群が豊富で、鉄分が多いことが猪肉の特徴です。また、他のお肉よりも脂質に多価不飽和脂肪酸が多く、皮膚再生にも効果が期待できます。

鹿肉や猪肉は生では食べないでね!

本来は、猪肉は豚肉と比較されることが多いのですが、今回はあくまでドッグフードでの紹介・比較なので、前提条件と同じく、鶏むね肉・皮なしで比較していきます。

ただし、猪肉に記載している数値は、脂身を含めた数値ですので、脂質やカロリーは異常に高く見えるかもしれません。※根拠ある情報で、脂なしというものがなかったため。

そのため猪肉だけ、皮つきの鶏むね肉の情報も、比較対象として記載しておきます。

イノシシ肉 皮なし鶏むね肉 皮つき鶏むね肉
カロリー 249kcal 113kcal 229kcal
アミノ酸スコア 100 100 100
たんぱく質 18.8g 24.4g 19.5g
脂質 19.8g 1.9g 17.2g
鉄分 2.5mg 0.4mg 0.3mg
ビタミンB群 14.8mg 15.36mg 14.65mg

あれ?あたくしのお肉の方がいいかも(笑)

こうやって皮つきの鶏むね肉と比べてみると、鶏むね肉の方が基本的な栄養価は上な面もあるので、正直、猪肉のドッグフードはそれなりの理由がないのであれば、率先して選ぶ必要もないのかもしれません。鶏むね肉の方が、高たんぱく・低脂質になっていますしね。

猪肉の特徴にもなっている、鉄分やビタミンB群の働きは以下のとおりです。(鹿肉の説明と同じ)

  • 鉄分は健康な血を作り、酸素を体に運ぶ役割はあるミネラル成分
  • ビタミンB群には皮膚の健康維持、疲労回復や成長にも関係する成分

なお、鉄分が多いとはいっていますが、市販のドッグフードを食べていたら、鉄分は十分に摂取でき、特に欠乏する心配はありません。また、逆に、鉄分の過剰摂取は肝機能トラブルの原因になります。

また、ビタミンB群を多く摂取したことによる中毒などは報告されていません。(薬を飲んでいるなどの場合は除く)猪肉はビタミンB群の中でも、ビオチン(ビタミンB7)が多く、脱毛などにも効果があるとされています。

しかも、猪肉のフードって高いのが多いんです…

上記を踏まえた上で、イノシシ肉のフードは、

  • チキン(家禽類)にアレルギーがある子
  • 皮膚炎など皮膚トラブルを抱えている子
  • 寄生虫などの影響で鉄分の欠落している子

などに、おすすめといえるでしょう。

最近では、市販のフードで猪肉が配合されているものも増えてはきていますが、チキンフードほどの価格で販売されることは、まずありません。猪肉配合で安いフードがあったら、逆にそれなりに安くなる理由が(悪い意味で)あるのかも…。

また、鶏肉よりは猪肉の方がアレルギーリスクは低いのは事実です。チキンにアレルギーがあるわけではないにしても、アレルギーリスクが低い主原料(お肉)でフードローテーションをしたいと考えている人にもいいと思います。

 

うさぎの栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

見た目のかわいさから、「うさぎを食べるの?!」と思う方もいるかもしれませんが、うさぎを使ったドッグフードも、(そんなに多くはないのですが)あります。昨今、ペットとしてうさぎを飼われている方も多いので、恐縮ですが…。

うさぎの肉も原則、鉄分やビタミンB群が多く、高たんぱくではあるといわれているのですが、特筆すべきはカリウムとリンの多さだと思います。ちなみに、低脂質かというと、鹿肉や脂質のないササミ肉などよりは、全然脂質はあるんですよね。(ご参考:ササミの脂質は1.1g)

うさぎ肉 鶏むね肉
カロリー 131kcal 113kcal
アミノ酸スコア 100 100
たんぱく質 20.5g 24.4g
脂質 6.3g 1.9g
リン 300mg 150mg
カリウム 400mg 210mg

どうも。リンとカリウムが多いうさぎです。

鶏肉と比べての結果ももちろんですが、上記に挙げた鹿や猪よりも断然リンやカリウムが多く、鹿のリンは170mg・カリウムは270mg、イノシシ肉はリンは200mg・カリウムは350mgなので、うさぎの含有量は、圧倒的な数値なのがお分かりいただけると思います。

うさぎのお肉の特徴にもなっている、リンやカリウムの働きは以下のとおりです。

  • リンは体内の機能を活性化させるために必要なミネラルであり、骨や歯を構成する成分
  • カリウムは、塩分バランスの調整、神経伝達などに必要な成分

ただし、リンの過剰摂取は結石の原因になることがあるので、結石を患っている子や、その予備軍に与えるには注意が必要な成分ですので、リンが多い=いいものをいう認識はしないでくださいね。

シニア期など泌尿器科ケアが必要な世代は注意

また、カリウムは、体内にとどめておくのが難しい成分(=排出される成分)なので、腎臓に不調がない限り、特に過剰摂取になるようなことはありません。

上記を踏まえた上で、うさぎのお肉を使用したフードは、率先して与えるメリットはないかなというのが本音です。たんぱく質も鶏より低くて高脂質なので、痩せ型な子やあまり量を食べない子にはいいかもしれません。

なお、チキンやビーフよりはアレルギーリスクは低いので、チキンが食べられない子や、フードローテーションのひとつに採用するのはあり。ただし、なにがなんでもウサギというふうに、こだわる必要はないように思います。

 

 

ダック(鴨)の栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

日本でも鴨肉は馴染みがある方も多いのではないでしょうか?鴨南蛮や合鴨スモーク、ロースなど、身近にもあるジビエの代表でもあると思います。

鉄分は4.3mgとほかのジビエの中でも群を抜いて鉄分が多いのですが、鉄分に関してはこれまでにもご紹介しましたし、それではおもしろくないので、鴨肉の特徴としてご紹介するのは却下しましょう。

鉄分以外で鴨肉で特筆すべき栄養成分に、ビタミンDパントテン酸(ビタミンB5)があります。

聞きなれない成分でございますなぁ

ダック(鴨)肉 鶏むね肉
カロリー 118kcal 113kcal
アミノ酸スコア 100 100
たんぱく質 23.6g 24.4g
脂質 3.0g 1.9g
ビタミンD  3.1μg 0μg
パントテン酸(ビタミンB5) 2.17mg 1.13mg

鴨肉の特徴にもなっている、ビタミンDやパントテン酸(ビタミンB5)の働きは以下のとおりです。

  • ビタミンDは骨にカルシウムとリンを吸収させる役割があり、骨を丈夫にする
  • パントテン酸は体内を活性化させ、代謝をサポートする役割がある

一見、脂質が高く見え、カロリーも高く見えるのですが、鴨の脂質は不飽和脂肪酸が多く(=簡単にいうと、体にいい脂質)、コレステロール値を上げ、血流を安定させる作用があります。

鴨肉は鶏肉くらいの栄養があると言えるね!

上記を踏まえた上で、鴨肉(ダック)のフードは、

  • チキンにアレルギーがある子
  • ある程度、栄養があるものを食べさせたい子
  • 運動量が多い子(栄養価が高くなりがちなため)

などに、おすすめといえるでしょう。

実は鶏肉って、お肉の中でも牛・ラムについでアレルギーリスクが高く、チキンを食べられない子もいます。しかし、チキンはダメでもダック(鴨)やターキー(七面鳥)だったらOKという子もいますので、チ鶏肉以外の家禽フードをお探しの方におすすめです。

ただし、家禽類全般だめという子もいるので、そういったわんちゃんには、鴨肉(ダック)のフードはおすすめしません。

 

 

あまり食べたことがないお肉「新奇たんぱく質」のドッグフード

新奇たんぱく質とは、これまでに口にしたことのないしくてめずらしい(=)食材のたんぱく質のことを指します。

ドッグフードって、鶏肉や牛肉、サーモンなどを主原料としたものが多いのですが、最近では、そういった主流ではない肉(魚)などを使用しているフードが、海外を中心に増えてきているんですよね。みなさんも、見慣れない主原料のフードを目にしたことがあるかもしれません。

その理由は、同じものばかりを食べて、栄養が偏らないようにというのもありますが、実は、新奇たんぱく質はアレルギーの子にとっては最高の味方になる食材だからなんです。

なぜ?アレルギー対策にいいといわれているの?

ハッキリわかっていない部分もあるのですが、アレルギーはたんぱく質に反応して起きると考えられています。これまで口にしたことがある(=経験値がある)たんぱく質に、免疫が過剰反応してしまい、症状が出るということなんですね。

そのため、アレルギーが出るものを避けるには、今までに口にしたことがないたんぱく源に変えるということが有効とされています。経験値がない物質なので免疫も反応が鈍るので、アレルギーにお困りの場合は、新奇タンパク質のフードを選ぶというのもありなんです!

ここからは新奇たんぱく質に特化して、ジビエと同様、鶏むね肉(皮なし)の栄養価と比較してご紹介していきます。ただし、新奇タンパク源のフードは、珍しい動物性のお肉ということもあり、コストがかかりがちということは、ご了承ください。

 

 

馬(馬肉)の栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

日本でも馬肉は食べる文化があるので、そんなに珍しいとは思わない方も多いかもしれませんが、ここ数年で一気に、犬のフードに馬肉が採用されるフードが増えてきた印象です。

馬はもともと、体温が高いので、菌や虫が繁殖・寄生にしくく、生食(馬刺し)もできるお肉としても有名ですが、これまでご紹介したお肉と同じく、高たんぱく・低脂質・高鉄分といわれています。が、高たんぱく・低脂質のくだりはなにと比べてなのかによるのであてにしなくていいです。

現に、鶏ささみや鹿肉のほうが低脂質ですし、高たんぱくといえど、鹿肉よりもたんぱく質含有量は低いので、ありきたりな高たんぱく低脂質の文言に振り回されないでくださいね。こうやってみると、鹿肉が優秀に見えてきました(笑)

実際の栄養価をみた方が確実です

馬肉の特筆すべき栄養価は、鉄分グリコーゲンの含有量です。実際の成分を確認してみましょう。

馬肉 鶏むね肉
カロリー 102kcal 113kcal
アミノ酸スコア 100 100
たんぱく質 20.1g 24.4g
脂質 2.5g 1.9g
鉄分 4.3mg 0.4mg
グリコーゲン 2,290mg 0mg

鉄分は、鶏レバー(9.0mg)や豚レバー(13mg)などの明らかに鉄分の多い部位に比べると劣るとはいえ、赤身肉として考えると、動物性の肉の中でもかなり優秀な含有量だと思います。

生馬肉を与える場合は、人間が食べるクオリティーのにしてね

なお、鉄分やグリコーゲンの働きは以下のとおりです。(鉄分の説明は鹿肉の説明と同じです)

  • 鉄分は健康な血を作り、酸素を体に運ぶ役割はあるミネラル成分
  • グリコーゲンは筋肉と肝臓に蓄積される成分で、エネルギーを発揮する源になる、疲労回復に効果がある成分

ただし、繰り返しですが、鉄分が多いとはいえ、市販のドッグフードを食べていたら、鉄分は十分に摂取でき、特に欠乏する心配はありません。また、逆に、鉄分の過剰摂取は肝機能トラブルの原因になります。そのため、今回、最大の強みはグリコーゲンといえそうですね。

上記を踏まえた上で、馬肉のフードは、

  • シニア期に近づいてきているライフステージの子
  • チキンにアレルギーがある子
  • 寄生虫、術後などの影響で鉄分が足りていない子

などに、おすすめといえるでしょう。

また、これまでと同じくアレルギーリスクが低いお肉ですので、チキンにアレルギーがあるわけではないにしても、アレルギーリスクが低い主原料(お肉)でフードローテーションをしたいと考えている人にもいいと思います。

しかし、低カロリーである程度たんぱく質含有量もあり、脂質も高いわけではないので、適度に運動をしている子にはいいと思いますが、現在販売されている馬肉フードは、私が知る限りでは、そんなに栄養価が高いものはありませんので、アクティブなわんちゃんには不向きかもしれません。

 

カンガルーの栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

オーストラリアでは、野生のカンガルーを狩猟で捕獲するため、ジビエに該当するのですが、日本では主流ではないため、新奇たんぱくとしてのご紹介です。カンガルー肉は「ルーミート」とも呼ばれ、オーストラリアをはじめ、食用としてさまざまな国で流通しています。

ちなみに、まだ数は少ないとはいえ、日本でも提供しているお店もありますし、ネット購入もできます。(カンガルー肉の犬用トリーツもあります)

カンガルーは引き締まった赤身肉が特徴で、高たんぱく・低脂質な上に、脂肪燃焼効果が高い「共役リノール酸(CLA)」が、すべての食品の中で、一番多いということがわかっています。また、体内生成することができない、多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)も多く含んでいるんですよ。

飛び回るマッチョな体だからね~!

まずは、その実力(成分値)を確認してみましょう。

カンガルー肉 鶏むね肉
カロリー 110kcal 113kcal
アミノ酸スコア 100 100
たんぱく質 23.6g 24.4g
脂質 0.9g 1.9g
共役リノール酸(1gあたり) 16.3mg 0.9mg ※もも肉
多価不飽和脂肪酸 40g 29.1g

ぶっちぎりですね。

脂肪酸が大区分としてあって、その細分化したところに多価不飽和脂肪酸、さらにそれを細分化したところに共役リノール酸がある(共役リノール酸<多価不飽和脂肪酸<脂肪というイメージ)ので、カンガルー肉は良質な脂質の宝庫だということになります。

カンガルー肉の特徴でもある、共役リノール酸多価不飽和脂肪酸の働きは以下のとおりです。

  • 共役リノール酸は、パフォーマンスを向上させ、脂肪燃焼や発がんリスク軽減に効果が期待できる成分
  • 多価不飽和脂肪酸は血圧を下げ、血流をサラサラにすることにより、皮膚炎予防にもなる

などがあります。

体内生成できないから食べて取らないとね!

血流がよくなる・血がきれいになるというだけでも、皮膚や被毛のケア、乾燥肌・粘膜ケアにも有効です。脂肪と聞くとなんとなくよくないものと思うかもしれませんが、良い脂質は味方につけて上手に健康に生かしていきましょう。

上記を踏まえた上で、カンガルー肉のフードは、

  • 活発に運動する子(筋力アップ)
  • ダイエットが必要な子
  • チキンにアレルギーがある子

などに、おすすめといえるでしょう。

また、これまでと同じくアレルギーリスクが低いお肉ですので、アレルギーリスクが低い主原料(お肉)でフードローテーションをしたいと考えている人にもいいと思います。ただし、日本ではメジャーではないだけあって、正直、他のフードよりもお値段は高くなるものが多いです…。

 

 

なまずの栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

うなぎを使ったものもありますが、全体的に、うなぎとナマズでは、なまずの方が市販のドッグフードとしては見かけることが多いので、今回はなまずに絞ってご紹介していきます。(ご参考までにうなぎは、ナマズよりも高カロリー・高脂質・低たんぱくです…)

チキンもビーフもダメ、サーモンもダメ、赤身の魚(マグロやカツオ)もダメ…となってくると、白身魚という手があり、昨今ではヒラメやメンハーデン(北大西洋に多い白身魚)などの白身魚を主にしたフードも増えてきているんですよね。

中でも、今回ピックアップしているなまずは、見た目からもわかるように、他に挙げた白身魚よりもちょっと、プルプルな見た目をしていますよね。実はそのプルプルは、他の陸上動物や赤身の魚にはない栄養も豊富なんです!

実はオイラそこそこ良い栄養なんだ!

まず、比較を確認してみましょう。

なまず 鶏むね肉
カロリー 145kcal 113kcal
アミノ酸スコア 100 100
たんぱく質 18.4g 24.4g
脂質 8.6g 1.9g
ビタミンB1 0.33mg 0.06mg
ビタミンE 6.4mg 0.1mg

一見、カロリーも高いし、なのに、たんぱく質も少ないし、脂質は多いし…とそんなにいいところがないように見えるかもしれませんが、ナマズの脂質はオメガ9(n-9系・一価不飽和脂肪酸)が多くて、適切な食べ方であれば、肥満リスクなどはありません。

ナマズに多い脂質・n-9系の脂質は、DLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を減らして、血栓・心臓病などの予防する働きをするのです。

過剰摂取すると肥満リスクにつながるよ

一般的なフードとして食べる、おやつとして食べる適量であればOK!それに、詳細はカットしますが、基本的にナマズはビタミン・ミネラル分も豊富なので、サプリのように施主することもできますよ。

また、ナマズの特徴でもある、ビタミンB1ビタミンEの働きは以下のとおりです。

  • ビタミンB1は疲労回復作用や、神経伝達を活性化する作用
  • ビタミンEは細胞の老化を予防する抗酸化作用や血圧を安定させる作用

などがあります。犬にナマズなんて…と思う方もいるかもしれませんが、実は案外、栄養もあるんですよね。たんぱく質はもう少しあると良いかなとは思いますが。

上記を踏まえた上で、ナマズ肉のフードは、

  • シニア期の運動量が減ってきている子
  • ダイエットが必要な子
  • チキンにアレルギーがある子

などに、おすすめといえるでしょう。

また、これまで同様アレルギーリスクが低いお肉ですので、アレルギーリスクが低い主原料(お肉)でフードローテーションをしたいと考えている人にもいいと思いますが、そこまでスゴイ栄養というわけではないので、若い世代の子・元気な子には率先して与える必要もないと思います。

 

あひるの栄養価と特徴とは?どんな子におすすめ?

ドッグフードって、漠然と「ダック」としか書かれていないものがありますが、みなさんは、ダックと聞くと「鴨」を思いますか?もしくは、「あひる」をイメージするでしょうか?

実は、英語でいうDUCKって、日本語で訳すと「鴨」と「あひる」、どちらのことも指すのですが、正式には、

  • あひる:domestic duck(飼育されている)
  • かも(鴨):wild duck(野生)

という呼び分け方があるんだそう。そして、主流としてドッグフードに使用されているのは、「鴨」のほうが多いです。そのため、今回はアヒルは分けて紹介しています。

鴨と一緒にしないでくださる?

あひるも鳥だし、鶏むね肉とさほど変わらそう…という印象もあるのですが、果たして栄養はどうなんでしょう?

実は、鶏むね肉より全然鉄分が多いですし、ビタミン・ミネラルのバランスもよく、脂質も鶏むね肉よりもオメガ3が多く含まれています。

あひる 鶏むね肉
カロリー 94kcal 113kcal
アミノ酸スコア 100 100
たんぱく質 20.1g 24.4g
脂質 2.2g 1.9g
 鉄分 2.4mg 0.4mg
オメガ3(n-3系脂肪酸) 27mg 22mg

同じような見た目でもいろいろ違うんだね

同じような家禽類のお肉でも、鉄分量が違うことがわかりましたね。健康的な血液を作るには鉄分は欠かせません!今一度の説明になるものもありますが、あひる肉の特徴にもなっている、鉄分やオメガ3の働きは以下のとおりです。(鉄分は説明とこれまでと同じ)

  • 鉄分は健康な血を作り、酸素を体に運ぶ役割はあるミネラル成分
  • オメガ3には抗炎症作用や動脈硬化の予防をする作用がある

なお、鉄分が多いとはいっていますが、市販のドッグフードを食べていたら、鉄分は十分に摂取でき、特に欠乏する心配はありません。また、逆に、鉄分の過剰摂取は肝機能トラブルの原因になります。

上記を踏まえた上で、あひる肉のフードは、

  • 皮膚炎や関節炎など炎症を鎮める効果が欲しい子
  • チキンにアレルギーがある子

などに、おすすめといえるでしょう。

ただし、チキンにアレルギーがあり、さらにチキンのみならず、家禽類全般にアレルギーが出てしまう子もいます。その場合には率先して与える必要はありませんし、抗炎症作用を求めるのであれば、魚系のフードを与える方がいいかもしれませんね。

 

どの肉・魚がいいのかは愛犬の体質次第!見極めて与えるように!

ご紹介した以外にも、エミューやダチョウ、ガチョウ、ワニ、ウズラ、七面鳥(ターキー)など、ジビエ・新奇たんぱく源となるものはたくさんあります。そしてご紹介したお肉を主原料にしたドッグフードを取り扱っている店舗は少ないかもしれません。

ただ、ジビエ肉や新奇たんぱく系のお肉は、

  • アレルギーなどで、一般的なチキンなどの原材料のフードが食べられない
  • フードローテーションのフードのひとつとして採用したい(飽きるのを防止する、食に興味を持たせる)

などの特別な理由がないのであれば、正直なところ、別に率先して与える必要はありません。

というのも、チキンやサーモンなどのフードのほうが、結果的にはトータルの栄養バランスは良いものが多いから。さらに、新奇たんぱくフードは値段も高くなりがちですし、安定需給が難しくなることもあります。

やはり、チキンやサーモンなどのフードは、市場に主流に出回るだけあって、コストも栄養も安定するのですよね。ですので、

なんとなく与えてみたい!よさそう!変わってるし与えてみたい!

という理由だけで、ジビエ肉や新奇たんぱくのフードを採用するのは、おすすめはしません。それに、いくらご紹介したお肉を使用していたとしても、ほかにどんな食材を配合するのかによっても(メーカーの裁量次第)、フードの全体的な栄養バランスはまったく変わってきます。

なので、この記事を書いておいてなんですが…どの主原料のフードを選ぶのかより、どのフードを選ぶのかの方が重要です。目先の情報だけに振り回されないで、トータルバランスを見てフードは選ぶようにしましょう。

なお、今回お伝えしていないチキン(鶏肉)、ビーフ(牛肉)、サーモン(ます)などの強み・特徴については、以下の記事にてご紹介しています。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました