単なる思い込み・なんとなくメリットしか知らない薄い栄養知識や犬の食事の知識だけで、愛犬に間違った食事をさせていないでしょうか?信じて疑ってもいなかったことが、実は間違った認識・常識だったということはよくある話です。
しかし、それに気づくには、自分の常識や思い込みを疑うところからスタートするため、簡単にできることではありません。人間は自分の思っているように考える・都合のいいように情報を捉える生き物ですので、常識や思い込みを切り離すのは意識しないと難しいものです。

人間とは勝手な生き物なのだよ
でも…そのせいで、愛犬に誤った食生活を送らせてしまっていたらどうでしょう?大事な愛犬を、飼い主さんご自身が苦しめているなんて血の気が引く思いですよね。そんなことにならないよう、今回の記事を機に、愛犬への対応を思い返してみてください。
なお、いろいろ書いてありますが、犬には個体差もありますし、愛犬の体質に合わせて考えたいという場合には、当サイトでは各わんこに合わせた食事の提案のお手伝いが可能です。お気軽にお問い合わせくださいね。
ドッグフードにはトッピングした方がいい?飼い主の自己満足では?
結論からお伝えしますが、しかるべく目的・理由がないのであれば、フードにサプリメント・ふりかけ・茹でた野菜やお肉・カットフルーツなどのトッピングをする必要は一切ありません。
特に、トッピングするアイテムの栄養的な意味を、なんとなくしかわかっていないで与えるのは、本当に危険なのでやめましょう!少なくとも、トッピングするアイテムの栄養価・メリットとデメリットを正しく確認してからにしてください。(特にデメリット)
たとえばサプリメント。皮膚炎が治る・口つきアップになる・歯のケアに良いなどという売り文句の商品って、たくさん販売されていますよね。本当に原材料も把握していて、今の愛犬に必要で合っているものであれば、与えて大丈夫ですが、

レビューも良いし人気だし!よさそう!
と与えるのはいかがでしょう。冷静になってください。レビューやクチコミ、犬の食べ物関する評価サイトの情報に惑わされて、飛びついたあなたはまさに、ネットビジネスのいい鴨です。その情報操作に引っかかって、愛犬に合わないものを与えるリスクまで考えているでしょうか?
犬の食事に詳しくない人が運営しているサイトはくさるほどありますし、詳しい人が運営しているサイトでも危険な内容を紹介しているサイトもありますし、さらにはビジネスサイト(運営により宣伝して、利益を受けているサイト)もあります。
そういった場合、サプリやトッピングアイテムのメリットばかり紹介して、デメリットはぼやかして、あたかもとてもいいことのように紹介しているので、飼い主さんがその真偽を見抜けるようになれるのが一番なのですが…。

薄い情報やビジネス情報に振り回されないでほしいです
そういった危険な情報発信サイトの場合、
など書いてありますが、犬の体質・性格などによっては、デメリットの方が大きいケースもゼロではありません。すべての犬に良いことのような表現をしているサイトは、個々の体質などを考慮していないサイトという証拠です。
上記に挙げたメリットと言われている内容は、そのメリットを覆すデメリットがあり(理由はここで書くとただの批判になるので書きませんが、知りたい方はお問い合わせください、個別にお伝えします)、栄養士としてはメリットとして推す内容ではありません。
サプリやふりかけなど以外の茹で野菜や肉・魚・フルーツ(果物)などであっても、

トッピングしたほうが見栄えもいいし、おいしそうだから
と思っている飼い主さんもいます。
などと思っているのであれば、それは大間違いです。
そもそも総合栄養食(一般的にいうドッグフード)は、それと水さえあれば犬が健康に生きていくために必要な栄養が取れるという定義があります。つまり、トッピングをすることで、すでにできあがっているトータルの栄養を、飼い主自らが壊しにいっているということです。

いいことをしているわけでも、贅沢しているわけでもありません
食いつきがよくなるようにしたいのであれば、まず、なぜ食いつきが悪いのかを考えるのが先ではないでしょうか?簡単にトッピングをするのは得策ではありません。食いつきが悪いの時の対策を間違えると、最終的に愛犬が苦しむ羽目になります。
また、色んな食材を与えるデメリットも理解しないでトッピングをしていると、思いがけない不調が愛犬に出てしまう可能性も…。特にアレルギー体質の子については、あれこれ与えるのは本当に危ないので、当サイトではおすすめはしません。
繰り返しになりますが、トッピング(サプリメント・ふりかけ・茹でた野菜やお肉・魚・カットフルーツ)は、本来は必要ないものです。与えるにしても、クチコミや評価サイトで決めるのではなく、愛犬の体質と、そのトッピングアイテムの原材料を理解したうえで選びましょう。
犬にもおやつ・間食は必要?習慣的におやつを与えるのはNG
日常的に、当たり前のようにおやつを与えていないでしょうか?おやつをしつけやトレーニングなどのご褒美に使用するのは、悪いことではありません。ブラッシングの時、ハウスをしたと時、待てができた時などのご褒美としては全然OKです。
これは、「愛犬とのコミュニケーション」の目的としておやつを与えるということであって、ただなんとなく習慣的に与える「3時のおやつ」や、「ただの間食」とはわけが違います。
そもそも、本来は、犬におやつ・間食は必要ありません。しかし、あまりに当たり前に愛犬におやつを与えている飼い主さんが多いです。人間が食べているのを見て、愛犬も食べたそうにしてるから…とほしいアピールをされると、ついつい与えたくなるかもしれません。

そんな食べたそうな顔をされたら…ねぇ
しかし、どんなにかわいいお顔で見つめてられても、そこは愛犬の健康を本当に思うのであれば、飼い主さんがグッとこらえましょう。催促されて(吠える・手でちょいちょいと要求されるなど)与えるのはNG。悪い癖をつけさせてしまい、結果困るのは犬であり飼い主さんです。
また、なにもしていないのに、当たり前のようにおやつを与えるのはやめましょう。愛犬をかわいがるって、おやつをあげたり、思うままに食べたがるものを与えたりするのとは違います。
そのような、おやつが当たり前のような生活をしている子の場合、体型維持ができない・小さいうちはよくても年を重ねてきた頃に、なんらかの不調が出るというケースが多いものです。愛犬の健康を思うのであれば、飼い主さんがまず、自制することも必要ではないでしょうか。
「ミールは粗悪な原材料からできているので避けた方が良い」は…嘘
よく、アフィリエイトサイト・ドッグフードの評価サイト・ランキングサイトなどで、
など、ミールは危険ということを書かれています。
上記のような情報を信じたい人は信じたらいいと思いますが、私が知る限りでは、こういった情報を拡散しているサイトは、信用に値しないと思っていいと思います。多分、その情報を書いた人はほぼ、ドッグフードの知識がありません。
正直、この情報を鵜呑みにしていたら、ドッグフードの選択肢はほぼなくなるのではないでしょうか…。ミールフリー(ミール不使用)のフードもありますが、無条件に高額なフードを選ぶはめになるだけです。

ミールがなにか、メリット・デメリットを知らない人の意見です
100歩譲って、悪質なフードメーカーだったら、品質のよくない原材料のものを使っている可能性はあるのかもしれませんが、それはメーカーのみぞ知る話です。それに、可食部・ヒューマングレードの食肉をミール加工しているメーカーもありますし。
ただ、アメリカだろうが日本だろうが、どんな品質の肉や魚をミールに使用するのかの規定はありません。逆に言うと、どんなものを使っていようが、レンダリングされてできたものはミールと表記されます。
ミールがすべて、粗悪な原材料から加工されたものというわけではありません。ミールのそもそもの加工前の状態・質がよくない悪質なフードメーカーもあるかも?というレベルの話です。その場合、明らかに安価なフードですから、簡単に見抜けると思います。

ミール全部が悪のような伝え方をしているサイトのほうがよっぽど悪
それに、〇〇ミールという言葉だけに敏感になっている人もいるかもしれませんが、レンダリングの工程(焦げない程度の低温の火に1~2時間かけ、脂質を肉から溶け出させ、たんぱく質の塊と脂質に分離させる工程)のすえ、残ったたんぱく質の塊を、
- 乾燥させたもの→乾燥○○肉、ドライ○○
- その乾燥したものを粉にしたもの→○○ミール・○○粉(パウダー・骨粉)
と呼びます。
乾燥させたものなのか、乾燥させたものを粉末にしたものなのかというだけのことで、○○ミールも、〇〇粉も、ドライ○○肉も、乾燥○○肉も、〇〇パウダーも、呼び方が変わっていたとて、いずれも結局はミールなんですよね。

言葉のあやだけで、結局ミールなのよ
ですので、ミールってなに?なんのために使用しているの?どんなメリットがあるの?デメリットは?ということを正しく理解していれば、こんな、ミールが悪かのような情報を拡散しているほうがおかしいということに気づけます。
インターネット・SNSは、気になったらすぐにいろんなことを調べられるツールではありますが、中には間違った情報も腐るほどありますし、私欲のために書かれた情報操作の内容もありますし、正しいかどうかではなく、いろんな信念・考え方があるのは当然です。
でも、そういった不安をあおったり、いいことばかり・悪いことばかりのような伝えかたをしている情報サイトには、振り回されないことが一番!見るべきはネットの情報ではありません。愛犬の体質を見て、それに合う正しい情報を見つけることです。
「犬に塩は与えてはいけない」は間違い!適量の塩は犬にも必要
ECサイトのクチコミなどでよく、犬に塩は絶対にダメというようなことを書いてあるのを見かけます。しかし、犬にとって少量の塩分は必要なミネラル分ですので、「塩が入っている=悪い」という認識は大間違いです!その前に、塩分なしで総合栄養食は作れません。
摂取量には気を付けないといけないというのが正解で、取ってはいけないというのは誤解です。
もちろん、不調があるわんこなど、塩分の摂取量を控えておいたほうがいい犬種はいます。特に病気の場合は、塩分の摂取量は注意する必要があるケースも多いのですが、完全にゼロにしろというわけではありません。

メーカーからしたら、とんでもない風評被害
にもかかわらず、そういったことに気を付けたいわんこでもないのに、塩分=犬には悪というようなことを書いている人が多く、さらに、犬の栄養学にうといかたは、そういった間違えたクチコミを鵜呑みにしてしまいます。
実際に私も知人から、◯◯は塩が入っていないから犬に与えて良いという話をされたことがありました。こういう間違えたアドバイスがSNSなどでも派生していくのが、今の世の中なのでしょう…。
AmazonやYahoo!ショッピング・楽天などでも見たことがあるクチコミは、
などどいう内容が多く、塩を目の敵にしたようなものが多く感じました。
良識ある飼い主さんなら、そんな間違いだらけのクチコミやレビュー投稿に惑わされないでください。

どういう子にどうだめか説明してほしいものです
クチコミ・レビューなどだけではなく、あまり犬の栄養学をわかっていない人が書いたであろう記事にも、塩はダメみたいなことが記載されているケースもあります。そんな間違えたクチコミを拡散している人に、なぜダメか、どういう子にダメかなど、説明してほしいものです。
それに原材料の一覧を見たらわかりますが、「塩」と書いているものだけではありません。同じ「塩」であっても、
- 食塩
- 岩塩
- シーソルト
- 塩化ナトリウム
- 塩化Na
- ナトリウム
- Na
- 海塩
など、直接、塩とわかる表記になっていないものであっても、結局は、全部「塩」の意味です。

原材料表記をよく見てみてください
それもわかってこのようなクチコミを記載しているのか…。と考えると、わかっていないから、このような間違えたクチコミや評価を書いて、あたかも正しいかのように拡散してしまう人がいるのでしょう。
これを読んだ飼い主さんには、少なくとも、そういった間違いを鵜吞みにしたり、さらにはそういった間違いを拡散したりするようなことはないようにしてください。
ただし、フードで塩分を取っているのに、おやつでも上記のような成分を取ると、過剰摂取になってしまう危険があります。おやつに配合されている塩分ナトリウム(=塩)には十分に注意するようにしてください。(フードは主食、おやつは注意しようということです)
タンパク質含有量30%以上の高たんぱくなドッグフードは危険です!
たんぱく質は筋肉や骨、皮膚の発達や回復、維持に作用するなど、生きる上で必要な栄養成分です。犬にとっての三大栄養素(たんぱく質、脂肪、炭水化物)のひとつでもあります。が、たんぱく質を取ると筋肉が増えるという意味ではありません!
高たんぱくなものを食べたら筋肉がつくのではなく、筋肉運動+たんぱく質で、はじめて、筋肉が育つという考えが正解で、たんぱく質の効果はあくまで運動ありきということです。
アスリートや筋トレ・運動量が多い生活をしている人が、たんぱく質をたくさん取る必要があるのは、運動で傷ついた筋線維を回復させるためで、体のメカニズムとして理にかなっています。

逆に、それなりの運動がないなら高たんぱくは必要ないということ
運動量と摂取たんぱく量が見合っていなければ、有効に働くものではありません。かえって、高たんぱくのデメリットが出るだけですので、筋肉を増やすには高たんぱくという浅はかな考えはしないように気をつけてください。
運動量に見合わない高たんぱくなものの過剰摂取で、どんな症状が見られるかというと、
などがあります。
特に肝臓は、「沈黙の臓器」とも呼ばれ、検査をしていても発見しにくいこともあり、症状が出てはじめて不調があることに気付くケースも多いので厄介です…。異常が出ている=進行している可能性があります。

愛犬のコンディション・運動量・年齢など、適正を見極めて!
いくらたんぱく質は必要な栄養だとはいえ、上記のリスクを見てもわかるように、過剰に摂取させるのは危険で、逆にいうと、高たんぱくなフードは与える子を選ぶので、どんな子にも与えても良い・メリットばかりということではありません。
相当な運動量(定期的にドッグランで1~2時間は走り回る・1日の散歩は3時間など)の若年層の成犬や、アジリティードッグなど筋力を必要とする犬、成長段階にあるパピーでもない限り、30%以上のたんぱく質量のフードは選ぶ必要はないと言われています。
量を食べられない子なら、少量食べるだけで栄養が取れるメリットはありますが、規定量なのに太る・おなかの不調などあれば、運動に見合わない高たんぱくさが原因です。給仕量を減らして体重がキープできたとしても、トータルの栄養バランスが壊れていくのでご注意ください。
犬は肉食なので動物の肉がいいはうそ!魚のほうが合う犬もいます
犬にはやっぱり動物性のお肉でしょ!と思っていませんか?実際はそうとも限りません。肉より魚のほうがいい子もいます。
たしかに、鶏肉や牛肉を主原料にしたドッグフードって多いですし、「犬の祖先ともいわれるオオカミは肉食動物だから、やっぱりワイルドに肉にかぶりついてる印象だし!」なんて考えの方もいるかもしれません。
もちろん、食べられる子であればチキンやビビーフ、ポークなどのドッグフードを与えていてOKです。でも中には、動物性の肉より魚のほうが合う子もいますし、お肉系のものばかり与えるのではなく、魚系とローテーションしたほうがいい体質の子もいます。

アレルギーがある子(もしくはその傾向にある子)は注意。
そもそも犬のみならず、人間もなのですが、アレルギーの全容は解明されていません。ただし、体内に入ってくるもの・触れるもの(本来は悪いものでもないもの)に免疫が異常反応をして攻撃することで起こるということがわかっています。
食べ物のでは、主にたんぱく質で起こる傾向が強く、「体によくないものが入ってきたから追い出そう!」と体を守るシステムが、誤作動してしまうイメージです。個体差があり、なにが原因でどこにどんな症状が出るのかも違うため、判断し難い面もありますが…。
そのアレルギーの原因となる成分(=アレルゲン・抗原物質)は魚よりも肉のほうが多く、食べ続けることで、アレルギーを発症してしまう危険はゼロではありません。

体質によるから一概にはいえないのですが
ですので、お肉もお魚も食べられる子なのであれば、肉・魚と交互にフードローテーションで与えて、アレルギーリスクを減らしてもいいですし、お肉が体質に合わないのに、無理して「犬には肉に決まってるでしょ」と肉系フードを与える必要もありません。
もし、お肉系がダメな子であったとしても、魚系のフードだけでもフードローテーションは可能です。サーモンのフードやホワイトフィッシュ(白身系の魚)、まぐろ・かつおなど、魚系のフードでも今はたくさんの種類が出てますしね♪
ただし、いろんなものを食べられる子もいれば、今では犬用のベジタリアンフードもあるほどで、悲しいことに体質的に、魚も肉も体質的にダメなんだ…という子もいるのが現実です。無理させることなく、愛犬の体質を理解して、合うフードを選べるようにしておきましょう。
かつての犬の常識は今では大間違い!情報をアップデートしていこう
これまで当然と思っていたこと・信じて疑ってもいなかったことでも、調べ直したら、実はとんでもない勘違いで間違えたことだったなんてことは、よくある話です。私でもそういった経験は今でもあります。
よかれと思っていたとしても、体質によって合わないこともあるので、「絶対にこうなんだ」「これが正解なんだ」という考えや思い込みはなるべくなくし、余白のある考え方をしたいものです。こういった思い込みや自信があると、本当にろくなことになりません。
犬の生体の研究が進むにつれて、これまでの考え方が180度変わってしまうこともありますし、確固たる証拠や研究結果をもって、変わらない考え方やデータ、常識、結論が出ていることもあります。それらにいかに柔軟に正しくとらえて、アップデートしていくか。
それが、愛犬の健康を握る鍵ではないでしょうか。飼い主さんはぜひ、自分の信じている考え方や犬に関する常識に思い込みがないか、たとえ犬に良いとされていることであっても、愛犬には合わないことをしていないか?この記事を機に、一度考える機会にしてみてくださいね。
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