汚れや涙・目ヤニのないキラキラした目は、愛犬の健康と元気の証!
ですが、中には、犬種の骨格や被毛の特性上、涙やけになりやすい、目にトラブルを抱えやすい犬もいます。ほかにも、アレルギー症状(食物アレルギー・環境アレルギー)、個体の特性として体質の問題から涙やけが出ていることもあるものです。

食べ物で対策はできないものかね?
今回は、犬種の特性(骨格や毛質)、病気やケガなどの外傷、アレルギー(体質)など、さまざまな角度から、犬の涙やけや目ヤニのトラブルの考えられ原因と、改善方法や食べ物でできる対処法について考えていきます。
なお、いろいろ書いてありますが、個体差もあり、体質によってやり方や考えられることは異なりますので「うちの子に合う方法を聞きたい・相談した」いという方は、お気軽にお問い合わせください。(※状況によっては、動物病院へ行くことをおすすめすることもあります)
涙やけ(流涙症)になりやすい・涙が出やすい犬ってどんな犬?
まずはじめに、どんな特徴をもつ犬が涙やけが出やすい・涙が出やすいのか、代表的なものをざっくりご紹介しますと、
などが挙げられます。
具体的な犬種でいうと、シーズー、シュナウザー、ポメラニアン、チワワ、キャバリア、マルチーズ、トイプードル、フレンチブルドッグ、パグ、ビションフリーゼ、パピヨン、アメリカンコッカースパニエル、柴犬、ミニチュアダックスフンド、テリア系…などさまざまです。
※上記に該当する犬でも、全然問題ない子もいますし、逆に上記に該当していなくても涙やけが出ている子もいますので、これに限りません。
犬種に限らず、犬の特性・個性・体質・年齢なども涙やけは関係します
犬種に関係なく、白い被毛の犬は、涙やけが目立ちやすい毛色ですので、余計に涙やけが目立って見えてしまうこともありますし、犬の年齢や体質など、さまざまな要因から涙が出やすい状況になっている子もいます。
ほかにも、季節的な環境の変化(湿気、気温、花粉など)も考えられますし、食物アレルギーか涙が出たり涙やけを起こしたりしている可能性も否めません。
などがあり、一時的なものではないようだ…という場合は、獣医さんに判断した上で、しかるべき対応をとるのが理想です。決して個人判断でなにが原因かは決めない方がベター。とはいえ、獣医でも原因がわからないこともありますのでご注意くださいね。

目薬で軽減することもあるよ
もしかしたら、その涙やけの裏には病気やケガが潜んでいる可能性もゼロではありません。ですので、一度は獣医に症状を診てもらっておいた方が安心ではあります。
中には、
- たかが涙やけ、毎度のこと、いつもここと
- 犬種的に仕方ない、この犬種を飼う以上当たり前
- なにやっても治らないんだろうし…
と思っている方も…。涙やけは慢性化しやすいこともあるので、病院に行ったり、食べ物を変えたりしてみても、原因が正しくわからないこともあったり、いろいろ試しても改善されないこともあるかもしれません。
しかし、このように、仕方ないこととして対処しないという選択ではなく、できること・正しい対処法をしてケアしていけるようにしたいところです。
涙・涙やけ・目ヤニに気づいたら、自宅ではどう対応したらいい?
涙や涙やけに気づいたら、できるだけこまめに・早めに拭きとって、清潔に保ってあげるようにしましょう。涙が溜まったままにしておくことで、目の周りが不衛生になってしまい、細菌が繁殖してしまう可能性があるからです。
涙を拭くときは、清潔な柔らかい布やコットン、綿棒などで優しく拭き取るようにしてあげてください。指や濡れた布で拭いたり、強く擦ったりすると患部に負担がかかって、より不衛生になってしまい悪化してしまう危険があります。

こまめに、優しく拭いてあげましょう
しかし、気になるからといって、過剰にやりすぎないようにも注意してください。頻繫に涙が出ていたら、拭くことばかりに気が取られてしまいがちですが、やりすぎてしまうことで、かえって刺激を加えてしまいかねません。
なお、動物病院に行くと、獣医の判断次第・愛犬の症状次第ですが、犬用の抗菌・抗炎症用の目薬を処方してもらえることもあります。嫌がるかもしれませんが、すぐに慣れると思いますので点眼してあげましょう。決して人間用の目薬を使用しないでくださいね。
目のトラブル・涙やけ・目ヤニが出る原因として考えられること
ここからは、犬種的な理由以外にも考えられる、目のトラブル・涙やけや目ヤニが出るような原因を確認してみましょう。
飼い主さんの管理で防げることもある反面、病気などの可能性もあります。ご紹介することを知っているだけでも、飼い主さんスキルは上がるので、参考にしてくださいね。
目のケガ・ゴミや植物片など異物混の混入・細菌や雑菌の繫殖
散歩中はどれだけ気に掛けていても、予測できないことも起こるもの。もちろん、散歩中だけに限らず、ドッグランで遊んでいた時や、ほかのわんことじゃれている時などでもありえることですが、
などから、涙量が増えることがあります。目に異物が入ったら、涙が出てその異物を排除するようにできているのです。涙を出しても出しても異物が取れなくて、ずっと目に違和感がある状態だと、涙が出続けてしまうこともあります。

違和感があるのだ…
犬の目線の高さにかがんでみると、普段は気づけないような危険もあって、
- 草やなにかしらの障害物で擦ったりぶつけたりして、目の周辺にケガをしてしまる
- 感染症や花粉など、なんらかの刺激で結膜炎などの炎症が目におきてしまっている
- 空気の乾燥や冷気で涙管が刺激されてしまっている
など、目の乾燥を防ごうとしたり、菌や異物と戦って出てきた老廃物を排除するために涙を出そうとしたりして涙量が増えるケースも。草むらを歩いたり、地面に体をこすり付けたりしているとし、一層、菌や植物片が目に入るリスクも上がりますよね…。
余談ですが、我が家の愛犬も茂みにいた猫に猫パンチをされて、ケガをしたことがありました。幸いすぐ治るものでしたが、つくづく…猫の外飼いはやめていただきたいな…と思います。。
「異所性睫毛」や「逆まつげ」などのまつ毛の生え方によるトラブル
人間でいう逆まつげのように、まつ毛が生える向きが悪く、目に触れてしまうことにより、涙が増えてしまうことがあります。あるいは、異所性睫毛(いしょせいしょうもう)といって、本来まつ毛が生えるべきではないところ(まぶたの内側など)から毛が生えてしまうことも…。
そういった正常な生え方ではないまつ毛が眼球に触れて、角膜を傷つけてしまい目が乾燥してしまったり、痛みや違和感を感じたりすることにより、涙が出ていたりする状態です。
まばたきが増えたり、目がショボショボしていたりするような感じがあれば注意してください。

目がちくちくしている感覚…
もし、動物病院で愛犬にそのような診断がされた場合には、
- 逆まつげの場合は局部麻酔を使用し、原因になっているまつ毛を抜き取る処置をする
- 異所性睫毛で生えている場所が悪い場合は、手術が必要になる
こともあります。

緑内障・角膜潰瘍・結膜炎・鼻涙管閉塞・チェリーアイなどの眼病が原因
緑内障を患っている場合や、眼球や角膜が傷ついているなどの場合でも、涙量が増えてしまうことがあります。放っておくと失明や視力低下・強い痛みを感じて目を開けられなくなるなど、愛犬の生涯に関わるトラブルに直結してしまう可能性もあるので注意が必要です。
ここでは目の病気やケガとひとまとめにしていますが、これらの症状の場合は、抗生物質・ステロイド剤の投与など、獣医による処置をしなければなりません。
飼い主さんがどうこうできることでもなく、あれこれやってみてもかえって病状を悪化させてしまう危険もあるので注意しましょう。そうなる前に、早期通院・早期治療ができるようにしておくようにしましょう。

目の粘膜や目の周りはデリケートなので注意して!
軽くですが、各病気・症状の特性、原因なども念のため、まとめてご紹介しておきますが、思い当たることがあれば、素人判断ではなく、かかりつけ獣医相談してくださいね。
原因・特徴 | 症状 | |
緑内障 | 遺伝が関係しているケースが多い 他の症状から派生して起こる |
白目が赤くなっている 目が開けられず、目を閉じがちになる 目をかこうとする仕草が増える 涙量が増える |
角膜潰瘍 角膜炎 |
短頭種で目が大きい犬に多い ケガや細菌により角膜に傷がつく (炎症が起きする) 免疫異常 老犬の場合、進行が早くなりやすい |
角膜が剝がれる・傷ついている状態 頻繫に瞬きをする 目を開けられない |
結膜炎 | ウイルスや花粉などのアレルギー 免疫異常 アトピー体質 先天的な異常 |
目ヤニや涙が出る 目の充血 まぶたの腫れ |
鼻涙管閉塞 | 短頭種に多い(先天的な原因) 涙の量を調整する鼻涙管の詰まり 鼻涙管の腫瘍 目や鼻涙管付近にケガをした |
涙の量が増える 目やにの増加 |
チェリーアイ | 遺伝的な要因(?) ※正確な原因はわかっていません |
目頭が赤く腫れて見える 目を掻き、痒そうな素振りをする 目が赤くなり、涙が増える |
たかが涙やけと思っていたら、その汚れた・湿った状況から菌が繁殖し、皮膚炎などにまで進行することもあるので注意しましょう。
パピー期など成長段階では筋肉が未発達・シニア期は筋肉がゆるむ
パピーの場合は、涙量を調整する筋肉が未発達で、調整がうまくできずに涙が出がちになったり、目ヤニが溜まったりすることがあります。逆にシニア犬になると、筋肉が弱ってきて、涙量が増えてしまうのですね。(目の周りの筋力の低下)
これはアレルギーではなく、どんな子にもありえることなので心配ありません。
○ 目の周囲の筋肉が発達していない。
眼の周囲の筋肉が発達していないため、涙の産生、排出に異常がなくても涙があふれることがあります。目の周囲の筋肉は2-3歳頃に発達が完了するので、若齢での涙やけは成長とともに改善することもあります。
引用元:井上動物病院/涙やけについて
とはいえ、今まで問題なかったのに、急に涙が出るようになったら心配ですよね。

たまたまかもだし…なにか原因があるかもだし
パピーの場合は、成長とともに涙が出なくなるようになっていくこともある反面、シニア期の場合は、徐々に涙が増えていってしまうこともあります。
みんながなるというわけではないので、あまりにも涙の量がおかしい、成犬になっても出続けているなど心配な場合は、念のため獣医師に確認だけでもしてもらっておいた方が安心です!
とはいえ、目の周りが濡れている状態のままにしていると、菌が繁殖して不衛生な状況になってしまうので、「いつものこと」「仕方のないこと」と思って見過ごしてしまわないように注意しましょう。
食物アレルギーが原因で炎症が起きてしまっている
愛犬が食べているものが、体質に合っていないことが原因で涙が出てしまうことがあります。これまでにご紹介してきたような外的要因ではなく、食べたものにアレルギーが出てしまっている状態です。年齢や毛質、愛犬の骨格なども関係ありません。
合わない食べ物を摂取し続けていると、食物アレルギーとしての涙やけから、眼病に移行してしまう危険もあるので注意が必要です。
食物アレルギーは個体差があり、なにが原因かを見極めるのは簡単なことではありません。犬のアレルギー検査は、人間のアレルギー検査ほどの正確性はなく、時間をかけて地道に食べられるものを確認していき、安全に食べられるものを見つけるのも対策のひとつです。

アレルギーが出やすい食材は極力とらないようにしよう
あくまで参考までにですが、アレルギー体質の子の場合には、
などの対処法があります。
なお、食物アレルギーの場合は、すぐに効果が出るケースもありますが、体質改善が必要な場合には2,3か月かかってしまうこともあるので、結果を急いであれこれしようとすると、元も子もないことになってしまうので注意してください。
一時的に涙が出ているだけなのか?ケガや病気ではないか確認しよう
知る限りでも、涙が出ている状態や涙やけが出ている状態であっても、「この子はそういう子」という感じにあまり気にしていない飼い主さん結構たくさんいます。
それ以上悪化しているような様子はないのであれば、獣医に確認してそのまま経過観察でもいいと思いますが、かわいいわんちゃんのおめめが涙やけで茶色くなってしまっていたり、ねばねばなヤニがついている状態のままおいておくのは少し心配です。
獣医さんの処置で治ることも、食べ物に気をかけるだけで軽減することもありますし、反面、獣医にみてもらったからこそ眼病などを発見できるかもしれません。「どうせ治らない」「もとからそういう子だから」と決めつけないで、できる対策を考えてみてくださいね。
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