最近、「四毒抜き(4毒抜き)」という言葉をよく耳にするようになりました。四毒抜きとは言葉のとおり、4つの毒となりうる食材を抜いた食事法のことを指します。
言葉だけを見ると、「毒を抜いた食事=健康にいい」と思うかもしれません。実際に、4毒抜きに取り組み、体調がよくなったなんて声(ネット記事)も多くなっているので、一層、いいのだろうと思う方が増えているように思います。
…でも、4毒抜きについて、詳しく・正しく理解している方はどれくらいいるのでしょう?

「良いと聞いたからやる」ではなく、「納得したからやる」
「良いという声が多いからやる・良いと言われたからやる」のと、「理解して納得したから、自分もやってみる」のとでは、まったく話が違います。簡単にいうと主体性の有無の違いですが、主体性は、行動を起こす時に極めて大事なことです。
そこで今回は、4毒抜きの考えと、犬にとっての4毒抜きの是非を考えていきたいと思います。ここでご紹介する内容をヒントに、ご自身の愛犬の食事に4毒抜きを取り入れるべきか、4毒と呼ばれるものとどう付き合っていくかを考えていただければ幸いです。
なお、いろいろ書いてありますが、犬の体質には個体差があります。愛犬の健康状態や食事ついて詳しく相談したい・愛犬に合うドッグフードを教えてほしいという方は、お気軽にお問い合わせくださいね!
人間の食生活における「四毒抜き」とは?その考え方を知ろう!
四毒抜きとは体にとって毒・リスクになりうるとされている、以下4つの食品を抜く食事法のことを指します。
- 小麦
- 乳製品
- 植物性油脂
- 甘いもの(糖)
これらは、便利さやコスト面、嗜好性を追究していった結果でもあり、また、戦後GHQのPL480法を受けてアメリカと余剰農産物協定を締結したこともあり、現代の食生活に定着していったものです。(※GHQの件は追ってご紹介します)

戦後、一気に食の欧米化が進みます
毒という表現がされていますが、絶対に誰からしても毒という捉え方ではなく、健康を損ないかねないリスクが懸念されているものという意味が強く、前提としても、個々の体質や遺伝、持病の有無なども関係しますし、これらを食べたらダメという意味ではありません。
あくまで、4毒と呼ばれる食材は「長期的な摂取が体に負担をかける可能性が高い」という考え方をしておいたらいいと思います。
※なお、食事ついてどう考えるのかは個々の自由です。食事が体に及ぼす影響を気にしていないに人や、この類の内容が苦手な人にとってはこのテーマは刺さらないと思います。その場合は当ページを閉じてください。

もともとは日本になかった食文化…なぜ日本に入ってきて浸透したの?
先ほど軽く触れましたが、実はこの4毒と呼ばれるものは、戦後、GHQとの協定締結によって日本に無理やり定着させざるを得ない状況になり、日本の食卓に並ぶようになった経緯があります。以下、わかりやすい内容が記載されていたので、引用しますと…
米国の意図は実現された
GHQの日本占領政策の第一は、日本農業を弱体化して食料自給率を低め、①日本を米国の余剰農産物の処分場とすること、②それによって日本人を支配し、③米国に対抗できるような強国にさせないこと、であった。①のためには、日本人がコメの代わりに米国産小麦に依存するようにする学校給食を使った洗脳政策も行われた。
引用元:JA/食料・農業問題 本質と裏側
アメリカで余った食材を日本に買い取らせるという内容で、大げさな表現かもしれませんが、簡単にまとめると、日本はアメリカの思うようになる国という約束なんですね。
よくいえば、戦後の食糧不足を補填してくれたという受け取り方もできますが、悪くいえば、アメリカの思う壺で、いいようにされたとも取れます。日本がアメリカを支えるようにできているのです。

これを機に日本の食文化が壊れ始めました…
ほかにも、食糧を増産させるために、日本の固定種ではなく、アメリカナイズされた品種改良された食物(F1種)が増えていった経緯もあります。栄養学とは違う話ですが、日本ってアメリカにいいようにされているところもあるのは、事実ではないでしょうか…。
もともと日本では食べる文化がなかったものということもあり、体質的にも合わない人がいたり、なんらかの疾患の原因になったりすることも絶対にゼロとは言い切れません。まして、今になって、世界的に日本食が健康にいいなんて注目されていますよね。
なお、個人的にも、以下の記事でも軽く触れましたが、アメリカの食品加工技術(ミール加工、加水分解、遺伝子組み換え食材)などはあまり好みません。※アンチアメリカなどではありませんので、誤解しないでください。
4つの食材が「毒」と呼ばれているのはなぜ?理由を考えてみよう
なぜ、小麦や乳製品、植物性油脂や甘いもの(糖を多く含むもの)がよくないと言われているのでしょう?簡単に「毒」と言われる理由をまとめてみます。
小麦 |
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乳製品 |
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植物性油脂 |
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甘いもの・糖 |
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こういった理由があるのですが、ひと言で簡単にまとめると、病気のリスクを上げるということです。
ここで少し、誤解されがちな「小麦」について詳しくご紹介します。※ただし、前提として、個々の体質によることもあるので、絶対という話ではありません。
「小麦」が4毒のうちのひとつとして挙げられる理由
日本人は昔から、小麦で作るうどんを食べてきてたのに、なにを今さら。毒扱いだなんてと思うかもしれません。でも、これは、先ほど少し触れたGHQの品種改良による影響が関係しています。
品種改良されるまでの時代に、もとから日本にあった小麦と、現代の小麦は違うものになっていると考えた方がいいかもしれません。このアメリカナイズされた品種改良によって、小麦が消化しづらくなってきていて、体の負担になるともいわれています。
グルテンは小麦に含まれているたんぱく質の一種で、消化酵素で完全に分解されにくく、分解途中の物質が炎症を引き起こして消化吸収機能の障害をもたらす可能性があり、体質によって消化不良、便秘、下痢、アレルギー反応を引き起こす、思考力減退、疲労感、自己免疫疾患につながる可能性があるようです。
引用元:大賀薬局

古くから続く古代小麦は農薬も必要ないし、消化吸収もいい
現代でいうと、小麦はパンにうどん、パスタ、ラーメンなど、当たり前に食事として食べる機会があるものに含まれているので、いきなり一気にゼロにするというのは難しいと思うかたもいることでしょう…。全部美味しいですもんね。
しかし、グルテンフリー(小麦不使用)にしたことで、
- 肌荒れが改善された
- 蕁麻疹が落ち着いた
- 集中力が上がった
- 便秘が解消された
などの声も、実際に多数あります。
もし、小麦を抜いたことで体調が幾分よくなっている感じがあれば、その人の体質には、グルテンがあまり合っていなかったということでしょう。ちなみに犬も小麦が原因でアレルギーが出ることがあります。
4毒が多く使用されている食べ物ってどんなもの?
4毒と呼ばれるものでできている食べ物、考えてみてください。きっと、みなさんの生活の周りにも溢れかえっているでしょうし、たまのご褒美に食べたくなるようなものが多いと思います。
たとえば…
ケーキに、生クリームたっぷりのパンケーキ、油で揚げたドーナッツ、ビスケットやアイスクリーム、ジュース(加糖飲料)、甘い菓子パン、スナック菓子などなど…4毒の多い食べ物は、案外、ふつうに食べているものではないでしょうか?

げ…楽しみなくなっちゃうじゃん…。
また、上記に挙げた嗜好品(おやつ系)以外にも、レトルト食品や冷凍食品といった加工品にも4毒が使用されていることも多いですし、ラーメンやパスタなど、忙しい方でもサッと食べられるような食べ物にも、4毒は多いんですよ。
これだけ世の中にいろんな食べ物(加工品・嗜好品)も多く、現時点で4毒と呼ばれるものを食べていても健康な人からしたら、一切4毒を排除するというのはかなり大変なことではないでしょうか。食の楽しみもバリエーションも減っちゃう…という気持ちも否めませんよね。
もちろん、それらを食べているから、絶対不調が起きるなんてこともありません。病気は遺伝的な原因もありますし、突発的なことも考えられます。ただ、こういった食べ物は、不調を誘発させかねないということは、頭においておいていいかもしれません。
4毒抜き食事法の是非は個々の体質や考え方・日ごろの食生活次第!
4毒抜きの是非は、実際にやった人じゃないとわからないと思いますし、間違えた知識でやっても意味がありません。完全に抜かないと効果を感じない人もいますし、食材・食品についての正しい知識も必要です。
この食事法については、健康志向かというよりも、
などにもよると思いますので、賛否あるかもしれません。普段食べてるもの、毒とか言われたら癪に感じる人もいると思いますし。
それに4毒抜きの考え派の人もいれば、中医学の薬膳思考の人、アーユルヴェーダ、マクロビ、ベジタリアン、とりあえず添加物だけは避けるなど、どれをよしと思うかは人それぞれです。なにも考えず、フリースタイルな食生活でも元気な人もいますしね。
また、

4毒だろうが食べるし、健康だし、細かいことはめんどくさい!
という方もいるでしょうし、そこまでしたら、食事が楽しくなる…という方いることでしょう。個人的にも、4毒と呼ばれるものに気を付けていない人が不健康だなんて思いませんし、まして、現代の食生活に慣れている以上、これらを抜くってそんなに簡単なことではありません。
ポイントは、ふだんどんな食生活をしているのかです。そもそもの体質や遺伝要素については人それぞれ違うので、4毒抜きを採用するかどうかは自由ですし、その人次第。個人の判断で決めればいこと。
知識を持たない人や、なんとなくしかわかってない人が、4毒抜きを推奨するのは違うと思いますし、やったこともない人が、バランスが崩れるだのアンチな発言をするのも違うと思います。知識があっても、それを人に強要するのも違う…それが私個人の見解です。
犬にとって「4毒抜き」ってどうなの?四毒抜きしたほうがいい?
犬と人間では体質も、持ち合わせている消化酵素も違います。そして、そもそも、まったく違う生き物ですので、あくまで個人の意見ではありますが、人間のいう4毒抜きを、まるまる犬に当てはめて考えるのは違うかな…という気持ちはあります。
ただし!実はこれまで、当サイトが犬のごはんの選び方についてご紹介している内容からすると…すでに4毒抜きに近い内容はお伝えしていました。ですので、個人的には犬の4毒抜きは完全なしという感じではありません!
体調に不安がある子は、リスクになりうるものは少し節制するようお伝えしています。また、個人の考えですが、不調が出たり、病気になったりしてから4毒抜きに取り組むのではなく、毎日のケア・ごはんを大事にすることが重要です。(もちろん、病後でもありだとは思いますよ)
4毒と呼ばれるものが犬に与えるデメリットとは?
人間の場合の、4毒がなぜよくないかというお話は、先ほどご紹介しましたが、犬にとってデメリットととなりうること(避けたほうがいいとしている理由)も見ておきましょう。
小麦 |
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乳製品 |
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植物性油脂 |
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甘いもの・糖 |
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と、基本的に人間と同じような内容です。特に、甘いものについては、フルーツも糖質が高いので、おやつとしては与えない方が得策かもしれません。

1にも2にもまずは、日々の食生活の見直しです
実際に私が感じる中でも、わんこの不調にお悩みの方の食生活を聞いてみると、
など、日々のちょっとした知識不足やケア不足から、愛犬の健康を日々、むしばんでいきかねない飼い方をしている方も多いものです。
この野菜は食べてもいい、このフルーツは食べても良いなんて記事がネットで出回っていますが、食べても良いにしても、糖質が高い食材かまで詳しく書いているサイトは少ないので、あまりあてにしないほうがいいとは思います。(個人の意見です)

犬の4毒抜き食事法はマストではない!でも意識しておいて損はない!
お伝えしているように、4毒を抜いたり、原材料にこだわった食生活をしていたり、運動もしっかりしていたとしても、遺伝的な要素や突発的要素から病気を発症してしまう子はいます。
それは人間だって同じですよね。超健康マニアな人でも、病気になるときはあります。遺伝・体質に起因するトラブルもあるのですし。
4毒抜きをしていたからといって、病気にならない保証もありませんし、今ある不調が100%絶対に改善されるという保証もありません。

これをしてたら大丈夫なんてことはありません
ですので、犬について、飼い主さんがどう考えているかがポイントです。
たとえば、4毒抜きをしていたり、日々の食事で注意したいものを控えたりと、ちゃんと管理していた子が、10歳でなんらかの病気になったとします。その時、
- 4毒抜きをしていなかったら、もっと早くに発症していたかも(やっててよかった)
- 日々のおやつをコントロールしていなかったら、もっと治りも遅かったかも…
- せっかくこんなにケアしてきたのに、病気になったじゃない!4毒推奨した人の嘘つき!
- まだ10歳だし、4毒抜きもしてたのに、全然ダメじゃない!
- どうせ病気になるなら、なんでこんなに気を付けてきたんだろう…
などと、さまざまな受け取り方ができると思います。やっててよかったと捉えるか、やってたって無駄だったと捉えるかは、個人の性格・考え方の問題です。

人のせいにしたいか、現実を受け止めたくないのか…
良いと思って一生懸命やってきたことが、実は間違えていたり、思うようになっていなかったりしたら、自分の努力が無駄だった・無下にされたように感じるかもしれませんが、でも、それを採用したのはご自身です。
犬の管理栄養士としていうと、やってみても良いと思うし、やらなかったことで後悔するくらいなら、やるだけやってみても良いと思います。そして、犬にも毒抜きをする発想は、あながち間違ってもいません。採用するもしないも、決めるのは本人です。
でも、さらっとインターネットで「犬、4毒抜き」と検索をすると、言葉の表現が難しいのですが、どうも、4毒抜き信者みたいになっている人や、いいことをやっているんだから絶対にいいんだという内容も多かった気はします。それをどう受け取るかは、ご自身で決めてください。
【おまけ】犬の管理栄養士は本当はこういった話は範疇外です!
実はこの話の内容は、犬の管理栄養士の資格とは直接関係はありません。しかし、あえて書きました。というのも、みなさん、
- 愛犬とお出かけ(宿泊)をした時
- 愛犬の記念日など特別な日
- イベントの日(お祭り、正月、クリスマスなど)
などに、

せっかくだから今日くらいいいよね!
と、何カロリーなのか、どういった原材料なのかもあまり気にしないで、特別メニューを与えていないでしょうか?マーガリンや小麦、砂糖が大量なものや、AAFCOの基準に満たないごはんも多いので、ちゃんと選ばないと本当に危険です!
個人的に、たまにくらいなら、まぁ良いんじゃないかなとは思う気持ちもある反面、そういったおやつやフードを与えるのであれば、トータルの栄養バランスを考えてコントロールしてあげる必要があります。「ちょっとくらい」の積み重ねって怖いものです。
それに、ドッグフードさえちゃんとしていれば、おやつは気にしなくていいなんてこともありません。愛犬に長生きしてほしいなら、その時の楽しみだけで、愛犬の健康を破壊するような飼い主さんにならないようにしたいものですね。
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